銚子商vs千葉英和
宇井野 一真(銚子商業)
銚子商業、秋6年ぶりのベスト4進出!
古豪復活の期待がかけられる銚子商。
ボール回しはきびきびと行い、シートノックも基本忠実にこなす。凄みはないが、実に破綻が小さい堅実な野球を展開する。その動きはきびきびとしていて、さすがベスト8まで勝ち進んだチームであることがうかがえる。
対するは昨秋優勝の千葉英和。
潜在能力の高い選手が今年も集まっており、ベスト8まで勝ち進んだ。その千葉英和に対して、銚子商はどのような試合運びを見せていくか。
千葉英和の小又 圭甫。180センチ近くのすらっとした投手体型。腕を鋭く振り下ろすオーバーハンドで、直球の勢いは中々のモノがあり、135キロ前後。最速で140キロ近くに達していてもおかしくないストレートであった。銚子商は、小又のその速球にしっかりと付いていくことが出来ていた。
銚子商はエース宇井野 一真。1年秋から登板している投手だが、この1年間で格段に伸びた左腕投手だ。まず下半身が太くなった。
170センチには満たさない投手だが、しっかりと鍛えこんでいたのが伺える。何よりも顔つきが変わった。千葉英和打線に臆する様子は全く見られない。小さなテークバックから振り下ろすキレのある直球をコーナーギリギリに投げ分け、追い込んでからは懐へビシッと投げ込み、見逃し三振を奪っていく。精神的な強さも感じられた。
4回表、銚子商は3番宇井野が四球で出塁。4番金井 大和がライト前ヒットで、無死一、三塁のチャンスを作る。海老 捷の犠牲フライで1点を先制。
さらに6回表、一死から2番三島 直之がレフト線へ二塁打を放ち一死二塁。3番宇井野のレフト前ヒットで一死一、三塁となって4番金井がセカンドゴロ。万事休すとなったが、ここで相手野手のエラーで1点を追加する。
小又(千葉英和)
銚子商は、その後1点ずつ追加していったが、4回では1点を取って一死一塁で6番伊豆野の併殺。6回表で1点を追加した後も後続が続かず、8回表も一死満塁のチャンスを作りながらも5番海老の併殺で無得点。チャンスを作るものの、押し切ることが出来ない。
宇井野は2点リードの中、動じずに投げることが出来ていた。6回表には二死一、二塁で4番小又を直球でねじ伏せてキャッチャーフライに打ち取った。7回表は無死から出塁を許したが、エンドランを読んで、ウエスト。一塁走者を刺して、さらに6番鈴木 辰徳を空振り三振。要所で締めて千葉英和から得点を許さなかった。
そして9回表。二死一、二塁のピンチを迎え、7番尾崎 悦隆。尾崎が振り抜いた打球はレフト前ヒットに。レフト・稲村 和樹がバックホーム。クロスプレーとなったが、タッチアウトとなり、試合終了。銚子商が2006年以来のベスト4進出を果たした。
同じく4強入りした2006年のチームは中嶋 辰也(立正大~住友金属鹿島)、木内佑季(東日本国際大~明治安田生命)、嶋田源太郎(流通経済大~JR北海道)とタレントが揃ったチームだったが、今年は宇井野という柱が出来上がった。
彼の良さはピンチに動じない精神力の強さ、狙った所へ投げられるコマンド能力の高さは県内でもピカイチではないだろうか。
関東大会まであと1勝。相手は専大松戸。専大松戸は、持丸監督が就任して以来、県内屈指の強豪校に成長したものの、あと一歩のところで敗れて甲子園を逃している。
10月6日の準決勝戦。関東大会出場の切符をかけて行われる一戦は激しい戦いが予想されそうだ。
(文=河嶋宗一)