愛知啓成vs栄徳

愛知啓成、初回に栄徳の勢い止める猛攻でベスト８決める

　前日の４回戦を逆転サヨナラで勝ち上がってきて勢いに乗る栄徳。これに対して、愛知啓成は初回そんな栄徳の機先を制するような素晴らしい攻撃を仕掛けた。

先攻の愛知啓成は、先頭の石田君が右前打で出ると、すぐにバントで二塁へ送る。野田君が中前打でつないで、１死一三塁とすると、大西君が一二塁間を破って先制。さらに、浅井君がカウント２―１から左翼へ豪快な３ランを放り込んだ。なおも、死球と小田君の右前打などが続いて、愛知啓成の勢いはとどまることを知らないかのようだった。しかし、浅田君の一打を二塁手森田君が好捕して、これで愛知啓成の攻撃は収まった。それでも、栄徳の勢いを止めるには十分の初回の猛攻だった。

愛知啓成岡田敬三監督は、「去年も当たっているのですが、角岡君は立ち上がりがよくないということが分かっていましたから、先攻でしたし、とにかく早い回で点を取っていこうと思っていたのですが、それが思い通りになりました」と、初回の狙い通りだった。好球を逃さず振っていく積極的な姿勢も功を奏した。

岡田監督の読み通り、その後、角岡君は徐々によくなっていき、走者は出しても切れのいい変化球でその後を封じていた。終わってみたら、11奪三振で、初回を除くと、本来の投球はできていたといっていいだろう。

　愛知啓成としても、７回、８回あたりは無死で走者を出して、追加点のチャンスもあったのだが、あと一本が出せず、逆に栄徳に追い上げられていくという展開になってしまった。それでも、先発浅田君は、「６回までを何とか抑えてほしい」という予定以上の７回途中まで投げ、以降はエースナンバーを付けた土本君が抑えた。

浅田君は身長191cmという大型投手だが、フィールディングも巧みで、しなやかな感じの投手だ。角度のあるストレートが決まると、そうは打たれないという感じだが、時に甘く入ることもあり、栄徳打線はそこを打ち切りたいところでもあったが、結局、初回に四球の走者をバントと捕逸で三塁まで進め、内野ゴロの間に挙げた１点と、７回無死満塁から、併殺の間に挙げた得点のみにとどまってしまった。
土本君はリリーフした７回こそ、やや力みもあって、四死球を与えたものの、８回、９回は３人ずつでピシャリと抑えて、安定感のあるところを示した。

栄徳としては、打線がもう一つ打ち切れず、２回以降の角岡君の好投に報いることが出来なかった。

（文＝手束仁）