【第31回高校野球研究会】西村典子氏が高校球児に必要なフィジカルトレーニングについて講演
講演する西村典子氏
▲会場の様子
12月13日、都立青山高校にて第31回高校野球研究会が開催され、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーの西村典子氏が招かれた。西村氏は、高校野球ドットコムで【セルフコンディショニングのススメ】の記事を月に2回配信している。今回は、“高校球児に必要なフィジカルトレーニング”というテーマで講演をした。
初めに西村氏は、“なぜ体力を鍛える必要があるのか”、今回の講演のテーマの必要性を語った。高校野球というものは入学から引退までの約2年半という限られた僅かな期間である。そんな限られた時間の中でケガをするとプレーができない時間が増えてしまう。そういった事態を避けるために、そして、限られた時間の中で野球を上達するために、体力の必要性と球児がケガをしやすい一因について解説した。
西村氏は、高校生は体が成長段階にあるために、骨と筋肉・靭帯の成長バランスから起こることが多いと言う。また、ケガが起こりやすいのは3~5月であり、オフシーズンが終わる時期に当たる。
次に、筋力を鍛える理由として、体力を鍛える理由と同じく、競技力向上のため、そして、ケガを予防するため、と語った。「特に野球は非対称性の動きをするため、トレーニングが必要」と語ったとき、参加した指導者が一同頷いている様子だった。
トレーニングといえば、“キツイもの”と想像しがちだ。しかし、度を超えたトレーニングをしすぎた結果、ケガを誘発してしまうこともある。また、新入生が3年生のメニューについていくのは困難だ。なので、個々にあったものを、自分の限界を超える負荷がかかるものをすることに意味があると、講演の中で何度も主張した。
講演の中盤では、“行動を起こす能力”“行動を調整する能力”“行動を持続する能力”の3つの鍛えるべき体力を鍛える必要性と具体的なトレーニング内容を1つずつそれぞれ語った。「トレーニング、エクササイズをすることで、初めは痛いと言っている選手もいるが、続けることで痛くなくなる」と、実際に、西村氏の経験談も盛り込むことで、続けることの大切さを会場にアピールした。
最後の質疑応答では、活発なものが展開された。肩周りのストレッチについての質問が飛び交い、実際にその場で実演することで、会場の理解をより一層深めた。
冬である現在、オフシーズンの野球。ボールに触れ合う機会が少なくなるが、これから始まる選抜に向け、個々の体を鍛える必要性を改めて気づかされるタイムリーな講演になったのではないだろうか。
またこの研究会では、講演会後に指導者同士の懇親会がセットで行われ、そこで、指導者同士が一年の苦労をねぎらう場所でもある。今年は高校野球研究会会員の1人である都立篠崎の牛久保和哉監督(32)が、昨秋、本大会ベスト8、そしてこの夏は東東京4強に導く手腕を発揮した。その牛久保監督に多くのベテラン指導者たちが牛久保監督を祝福。
ベテラン指導者の労いに牛久保監督はとにかく恐縮している様子だったが、この会は20代~30代の指導者も快く受け入れる懐の良さが魅力。若い指導者の1人である牛久保監督がこのような形で実績を残したのは、高校野球研究会にとってはとても誇れることであることは間違いない。こうして常に指導者同士で研究を重ね、そしてお酒を交わし、健闘を誓う合うことで、都立校は実力を底上げさせるのと同時に東京都のレベルを引き上げてきたのだ。高校野球研究会は東京都の高校野球の発展するには欠かせないモノとなっている。
【高校野球ドットコム編集部】
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