中山、早、土田、西野など…合同練習初日で超高校級のパフォーマンスを示した8人の逸材たち
8月29日、阪神甲子園球場で、阪神甲子園球場で「プロ志望高校生合同練習会」が開催された。初日は投手はマウンドに上がらず、ブルペンでの投球となった。シートノック、フリー打撃で多くの選手が快音を響かせたが、その中でもトップクラスのパフォーマンスを示した8名の逸材紹介していきたい。
左から西野力矢、早真之介、土田龍空、中山礼都 ※写真は昨秋の大会、今春のインタビューより
土田龍空(近江)遊撃手
守備の安定感、スピード感ならば、参加選手ナンバーワン。一歩目の動き出し、スナップスローなど難しい動きを軽やかにこなしてしまう運動神経の良さは天下一品だ。判断力も長けて、守備の面では文句なし。ただ打撃については滋賀大会から苦しんでいる様子が見える。次のシート打撃でらしい打撃を発揮することを期待したい。
早真之介(京都国際)外野手
打撃は左打者の中でもトップクラスのパフォーマンスを見せた左のスラッガー。スクエアスタンスで構える姿は力みがなく、スムーズなスイング軌道でボールをとらえ、ヘッドスピードも速く、次々とライナー性の打球を外野深くまで飛ばしていく。さらにライトの守備位置から強肩を披露。高校野球のノックと違って、深い位置から守るが、それでもライナー性の返球を返していたので早の強肩は本物であることが分かる。早は「今日は特にバッティングをアピールできたと思います。明日も自分のスイングをしたいと思います」とシート打撃で同様の打撃ができるか注目したい。
西野力矢(大阪桐蔭)三塁手
遠目で見ても西野!と分かるぐらい存在感がある選手。左足を一本足のように上げてタイミングを測り、豪快なフルスイングで鋭い打球を飛ばしていく。その打球速度、飛距離は出場選手でもトップクラス。例年、高卒プロ入りする右打者と比較しても負けていなかった。十分プロ入りできる打撃力はある。三塁守備の動きも悪くなかった。
中山礼都(中京大中京)遊撃手
左打者の中ではトップクラス。何より目を引いたのは滞空時間が長く、さらに遠くへ運ぶ打球が打てること。長年、高校生が木製バットで練習している姿を見ると、ライナー性かなんとか内野の頭を超える当たりがほとんど。いわゆる木製バットに打たされていて、上半身、下半身の連動性がないフォームとなっている。中山の場合、余計な力みがなく、軽々と打球を飛ばす。守備もものすごいスピードがあるわけではないが、捕球技術は高く、地肩の強さは一級品だ。
奥村真大(龍谷大平安)三塁手
いわゆる通算本塁打の多さで勝負する選手ではないが、攻守の技術の高さ、総合力は参加選手の中でもトップクラス。自粛期間中に体重を10キロ増やしたと語るようにグラウンド上でも腰回り、お尻が大きくなって、2年生時と比べてもシルエットがだいぶ変わったと実感する。打撃力はゆったりとタイミングを測り、振り幅が大きいスイングでボールをとらえ、ライナー性で鋭い打球を飛ばし、三塁守備も安定し、スローイングも2年生の時と比べると安定感があった。実戦でどれだけできるか注目をしていきたい。ちなみに背番号25は原田監督が現役時代につけていた背番号で、「縁を感じます」と振り返った。
漁府 輝羽(おかやま山陽)外野手
中国地区内では評判の大型外野手。この舞台で評価をあげつつあるフリー打撃ではさく越えの打球を披露し、漁府も「フリー打撃でホームランが打てて自信となりました」とコメント。ライトの守備位置から強肩を披露。何より183センチ85キロという体格の良さは魅力的。振り幅が大きく、余計な力みを入れず、軽々と打球を遠くへ飛ばす。本人は「反省すべきところがあるので、振り返って明日につなげたいです」と語るように、実際のシート打撃で対応力の高さが試される。
寺本 聖一(広島商)外野手
一番のサプライズは寺本選手のパフォーマンスだった。169センチ77キロと上背は大きくないが、攻守でセンス抜群。スクエアスタンスで、脱力した構えは雰囲気があり、ボールを手元まで呼び込み、インサイドアウトのスイングで木製バットで2本のさく越えを披露。いわゆる体のパワーに頼った打ち方ではなく、スイング軌道の良さ、体の回転の良さ、すべてにおいて二重丸。殆ど打ち損じがなく、ライナー性で次々と外野の深くまで飛ばした。技術で打球を飛ばせるのは青木宣親タイプのところがある。
さらにはライトから強肩を披露。スカウト、マスコミ内での評判は高くなっており、ドラフトへ向けて注目度が上がりそうな選手だった。
西村貫輔(高知商)遊撃手
1年夏から甲子園に出場。高い打撃センスを発揮していたが、あれから2年。甲子園に登場した西村は大きく成長をしていた。1年から小柄でも鋭いスイングで、高い対応力を示していた西村だが、いわゆる良い意味で木製バットでも金属バットでも同じ打撃ができる選手。スクエアスタンスで構え、ゆったりとボールを待ち構えて、ヘッドスピードの速いスイングで広角に鋭い打球を飛ばす。自分の間合いを持っており、いつでもとらえることができる。フリー打撃でも堂々と自分の間合いで打席に入っており、良い意味で余裕を感じられた。守備については堅実にこなす選手だが、将来的には三塁、外野をこなす選手になるのではないだろうか。167センチ73キロだが、打撃センスは参加選手の中でもトップクラスだった。
まだまだ良い選手はたくさんいる。それは練習会後にまとめてレポートをしていきたい。
(記事=河嶋 宗一)
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