Column

四国4商の現在地~高松商の躍進に続くために

2016.04.24

 香川県立高松商明治神宮大会優勝センバツ準優勝によって再び注目を浴びるようになった「四国4商」。では、現在の徳島県立徳島商(徳島)、高知市立高知商(高知)、愛媛県立松山商(愛媛)の3校はどのような現状にあるのだろうか?ここでは各校指揮官の話も交えながら高松商を除いた「四国4商」の現在地を伝えていきたい。

打撃強化と「打倒鳴門」で5年ぶり出場へ燃える徳島商

徳島商

「あれだけ能力の高い選手が、公立校でよく集まったと思いますね」。高松商センバツをタレント的見地から評したのは徳島商・森影 浩章監督である。

 この春は練習試合では敦賀気比(福井)・市立明石商(兵庫)といったセンバツ出場校相手にも一定の成果を見せた投打バランスをベースに県大会連覇を目指したものの、結果は準々決勝で徳島城南に3対11で7回コールド負け。投げてはエース、打っては5番の増田 将馬(3年・投手・177センチ68キロ・徳島市立南部中出身)の状態にチームの戦い方が左右されるウィークポイントを克服できぬまま終わった印象が強い。

 夏まではあと3か月。「打撃強化の部分では5~6人は育ってきた」(森影監督)ストロングポイントを実戦に落とし込み、新入生18名が入部し総勢44名となった選手たちをいかにフル活用できるか。絶対王者・鳴門を倒す意気込みを持って徳島商2011年以来5年ぶりの甲子園出場を狙う。

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[page_break:「新生1期生」で10年ぶり復活を期す高知商 / 15年の沈黙破り、頂点を狙う松山商]

「新生1期生」で10年ぶり復活を期す高知商

「試合は選手たちも見て刺激を受けていたと思います。4月16日(土)には練習試合で対戦もするので楽しみです」
こう語るのは昨年7月末から監督に就任した上田 修身監督。1980年高知商センバツ優勝時の主将であり、阪神タイガース・藤川 球児投手を高知市立城北中時代に指導したことでも知られる高知商の切り札だ。

 県大会2回戦で高知中央に左腕エース・高橋 大(3年・左投左打・170センチ67キロ・高知市立愛宕中出身)が2回で背負った5失点を取り返せず0対6で完封負け。秋の県大会準優勝校にとってはいささか不甲斐ない結果に終わった春を経て、現在では「新しいメンバーが入って競争意識ができてきた」(上田監督)打線強化に加え、髙橋に次ぐ2番手・3番手育成と髙橋自身のメンタル強化を進める高知商。新入部員も26人が加わり、83人の大所帯で日々の練習に励んでいる。

 すでにシード出場が決まっている5月21日(土)~23日(月)開催の「高知県高校総合体育大会」や、6月12日(日)に高知と共に智辯和歌山(和歌山)との対戦が決まっている「高知県高野連特別招待野球」も活用し、「本当の1期生に自分の考えを理解してもらう」上田監督の夏初采配は、同時に混戦模様の高知大会に断を断ち、10年ぶりの甲子園出場を決めにいく大事な大会となる。

15年の沈黙破り、頂点を狙う松山商

松山商

「毎年定期戦で交流をもっていますし、北四国の両雄として刺激を頂いています。センバツもほぼ見ましたし、チームカラーにあったものを引き出していますね」
かつては愛媛・香川の2県で夏の甲子園「北四国代表」1枠を争っていた時代をも振り返りながら、改めて好敵手への敬意を表したのは松山商重澤 和史監督である。

 この春は県大会準々決勝で昨秋四国大会ベスト4済美と延長11回激戦の末、3対4とサヨナラ負けを喫した彼らの目指すものも高松商同様の「打ち勝つ野球」。「統率の部分など松山商のよさとのバランスを保つ」(重澤監督)は前提に、山本 寛大(2年・投手・右投右打・172センチ67キロ・伊予市立伊予中出身)、門田 昂也(3年主将・捕手・右投右打・172センチ78キロ・松山リトルシニア出身)バッテリーに過度の負担を与えない打線の奮起が待たれるところだ。

 今年は有望選手も含む25名が大挙入部し、選手60人で夏へ向かう松山商。「本命不在」とも言われる愛媛県高校野球の中で、2001年夏以来、15年の沈黙を破る「その時」を彼らは虎視眈々と狙っている。

 かつて四国は長らく北四国(香川・愛媛)、南四国(徳島・高知)2代表だったこともあり、4商の甲子園同時出場は101年目を数える高校野球の歴史の中では、この年から4県すべてに出場権が与えられるようになった1978年夏の第60回記念大会1度のみ。ただ、高松商の勢いを最も近くで感じていた彼らが刺激を受け、メソッドを自分たちの戦い方に注入できたならば……。38年の時を超えた2度目となる「4商同時甲子園出場」の可能性は決して0ではない。

(取材/写真・寺下 友徳

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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