試合レポート

山村学園vs秀明英光

2019.04.23

大激戦!山村学園は3投手が踏ん張り、延長12回を制する!

山村学園vs秀明英光 | 高校野球ドットコム
先発の小泉雄貴(山村学園)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 秋ベスト8の山村学園と北部地区予選で強豪・本庄第一を破った秀明栄光との対戦。

 1回表、山村学園は二死二塁のチャンスから4番小林匠が左前適時打で1点を先制。さらに5回表には一死満塁から3番平野裕亮の中犠飛で1点を追加する。

 山村学園は小刻みな継投策でつなぐ。山村学園にはエース・和田朋也の登板が注目されたが先発ではなかった。その理由として和田の状態が上がっていなかったこと。
「シードのかかった試合なので、調子が良ければ、和田が先発でした。本人にはそういうつもりで調整してほしいと。ただ練習試合でもよくなく、状態の悪さを見ると、この試合で投げられる状態ではなく、位置づけとしては4番目、5番目でした」と和田の現状を明かした。

 先発の小泉雄貴は1年生。コンパクトなテークバックからしっかりと振り下ろすフォームをした右投手で、常時125キロ前後(最速128キロ)のストレート、スライダー、カーブを丁寧に投げ分け、3回無失点の好投。岡野監督も「ストレートは球威もあるんですけど、何よりコントロールの良さはチームで一番です」と評するように、確かにフォームの流れが実によく、しっかりと縦回転を使えた投球フォームなので、体を作って、今の感覚でいけば、いずれは埼玉県内を代表する右腕になる可能性を持っている。

 4回裏からは左腕の河部が登板。常時120キロ前半のストレート、カーブ、120キロ近いカットボールがウリの投手で走者を出しながらも3回無失点に抑える。

 そして7回裏から本格派の伊織丈一郎が登板。ステップ幅が狭く真っ向から振り下ろす投球フォームから常時120キロ後半~133キロのストレート、縦に落ちるスライダーで勝負する投手。しかし無死一、三塁のピンチを招く、ここから二死としたが、6番大賀が捉えた打球はレフトのグラブをかすめる二塁打となり、一塁走者も生還し、同点。試合は振り出しに戻る。

 そして9回表、山村学園は二死から敵失で出塁すると、代走・助川が盗塁を決め、二死二塁から9番伊織が右前適時打を放ち、勝ち越しに成功。だが、9回裏、秀明英光は2番中原が安打で出塁しチャンスメイク。そして二死二塁から5番田口が適時打を放ち、再び同点へ。これで試合は振り出しに戻る。


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9回裏のクロスプレー

 延長12回表、1番横田が四球で出塁、一二塁から3番平野がレフトを超える二塁打で1対に勝ち越しに成功。しかし12回裏、二死一、二塁のピンチを招いたが、代打・及川を二ゴロに打ち取り、山村学園が苦しみながらも初戦突破。3回戦へ進出し、夏のシードを確定させた。

 苦しんで勝利した山村学園秀明英光の塚本は常時120キロ台のストレート、スライダー、チェンジアップを低めに集める投球に苦しんだが、やはり高いレベルを目指すのあれば、攻略してほしい。

 選手の体つきやスイングを見ると決して打力がないチームではない。わずか4点にとどまったのは初戦の硬さというものがあるだろう。試合後、長い時間をかけてミーティングをしている様子があった。岡野監督は「せっかく競争をして勝ち取った背番号ですので、外れた選手たちの思いも背負って大会に臨んでいるのだから、もっと思い切っていかなければならないということを話をしました。今日の試合内容は情けないですね」と厳しく振り返った。

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3番手・伊織丈一郎(山村学園)

 ただその中でも収穫に挙げたのが投手陣の働き。和田が投げてなくても3失点にしのいだことは非常に大きい。
「今まで和田におんぶにだっこのチームでしたので、そうではないというところを示して、収穫がありました。特に3番手の伊織は昨年と比べると制球力が格段に上がりました」

 窮地の場面を抑えた伊織の成長をたたえていた。今年は準決勝まで進めば、関東大会出場を掴むことになる。ただ、現状のままでは行けるとは思っていないだろう。この試合を機に選手たちの能力はさらに引き出されるのか、注目をしていきたい。

(記事:河嶋宗一

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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