試合レポート

広陵vs八戸学院光星

2019.03.26

完璧な準備と冷静なプレーが勝利を手繰り寄せた

 中国地区を制した広島広陵と東北地区を制した八戸学院光星。言わずと知れた超名門校同士が1回戦から激突。この一戦を見ようと球場には多くの観客が駆け付けた。

 先にマウンドに上がった広島広陵先発・河野佳。140キロ台のストレートとスライダー、そしてフォークをコーナーに集める総合力が高い右腕。
 その河野がいきなり見せる。八戸学院光星の1番・伊藤大将の4球目、高めのストレートで空振り三振。そのストレートが150キロを計測し、この球速に球場がどよめく。

 秋からの成長を見せた河野はその後、今大会注目のスラッガー・八戸学院光星の3番・武岡龍世に内野安打を許すも後続にヒットを許さず初回を無失点で立ち上がる。

 先制点といきたい打線だったが、八戸学院光星の先発のエース・後藤丈海の低めに丁寧に集めるピッチングの前にチャンスを作れない。

 両投手の好投が続き迎えた5回、広島広陵先頭の7番・秋山功太郎が甘く入ってきたスライダーを三塁線に引っ張り二塁打。主将の一打で先取点のチャンスを作る。
 その後、8番・河野が送りバントを決めて一死三塁。ここで9番・藤井孝太がレフトにタイムリーを放ち、広島広陵が先取点をもぎとる。

 その後二死から2番・中冨宏紀のセカンド強襲タイムリーでさらに1点を奪って2対0で広島広陵リードで折り返す。

 リードをもらった広島広陵の河野だったが、終盤8回にピンチを背負う。9番・後藤を四球で歩かせると、続く1番・伊藤の際に内野のミス。一死一、二塁で再びピンチを背負うマウンドの河野。続く2番・島袋翔斗はサードゴロに抑えるも、二死二、三塁で打席に武岡を迎える。


 ホームランを打たれれば逆転を許すところだったが、バッテリーは1ボール2ストライクから内角へストレート。武岡はそのボールを捉えるも鈍い音。打球はフラフラとショートへ上がり、宗山塁がキャッチ。

 広島広陵バッテリーは強気な配球でこのピンチを脱し、勝負あり。広島広陵が八戸学院光星を完封でシャットアウトして2回戦へ駒を進めた。

 この試合、広島広陵が後藤のセールスポイントでもある外角へのスライダーをことごく見逃し、球数を投げさせた。このことについて秋山主将について伺うと、
 「(後藤は)スライダーが多い印象がありましたので、バッティング練習ではピッチャーやマシーンでスライダーに設定して練習を重ねてきました。」

 また、宗山選手にも話を伺うと、「(後藤は)秋の時はスライダーが多い印象がありましたので、カウントを取りに来たボールは見逃さないこと。あとは低めのスライダーに手を出してしまうと相手がリズムに乗るので、試合中はストレートが低めに決まってもしょうがないということで割り切る。低めのボールは見逃すことをチームで徹底して、とにかくベルトから上のゾーンに絞って打ちに行きました。」

 広島広陵の用意周到な準備が八戸学院光星・後藤の攻略に繋がっていた。

 そして忘れてはならないのが、完封した河野だ。今日の河野の調子をキャッチャーの鉤流大遂は、「ストレートは走っていました。あとは腕をしっかり振れていて、変化球がコースに決まっていました。」と好調だったことを主張した。

 また見事完封に抑えた鉤流選手に配球を聞いてみると、「相手は初球から振ってくると思っていましたが、甘い変化球を見逃してくれたので、カウントを優先して前半はストレート中心。そして後半からはストレートのスピードも落ちてきたので、コースを突くことを大事にしました。」

 投手の調子、そして相手の印象をしっかり察知して河野をリードした鉤流選手。話を聞きに行った時も感じたが、非常に落ち着いている印象がある。この落ち着きが河野の好投に繋がったのではないか。

(文=編集部

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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