常総学院vs東海大相模
強打の常総学院が東海大相模投手陣を攻略!3本塁打で準決勝進出へ。
1年生ながら先発した諸隈(東海大相模)
強力打線がウリの常総学院(茨城1位)と東海大相模(神奈川・推薦)との一戦は、常総学院の強力打線が東海大相模投手陣を圧倒した。
東海大相模の先発は諸隈惟大(1年)。諸隈は佐倉リトルシニア時代にジャイアンツカップ優勝を経験。さらに侍ジャパンU-15代表として、U-15 アジアチャレンジマッチ2017を経験した逸材だ。
常総学院は公式戦初登板となった諸隈の立ち上がりを捉え、1回表、一死から2番水野 勢十郎(3年)がレフトスタンドへ飛び込む本塁打で1点を先制する。その裏、一死二塁から3番山田拓也(3年)が中前適時打を打たれ、同点に追いつかれるが、2回表、常総学院は8番菊地壮太(2年)がレフトスタンドへ勝ち越し本塁打を放つ。2回裏、東海大相模は2番本間巧真(2年)の犠飛で同点に追いつく。
その後、諸隈は立ち直る。左スリークォーターから投じる速球は130キロ前後を計測。スライダーも110キロ後半を計測し、手元で鋭く曲がり、高校1年生にしてはハイレベル。2点を失っても、どんどん攻めていく心意気もよい。球威不足だが、腕の振りは鋭く、しっかりと体を作っていけば球速はもっと上がっていきそう。完成形は堀瑞輝(北海道日本ハム)のような投手ではないだろうか。
だが、一死から2番水野、3番斉藤 勇人(2年)の連打で一死一、二塁のピンチを作ったところで、諸隈は降板。2番手に選抜でも登板した浅海 大輝(3年)が登板する。
浅海は真っ向から振り下ろす左のオーバーハンド。ストレートは常時135キロ~138キロを計測しており、回転数も高い、質の高さが光る。制球力も標準以上の好左腕。120キロ前後のスライダーの切れ味もよく、投手としてのポテンシャルは板川佳矢(横浜・3年)とそん色ない逸材だ。
しかし常総学院はすぐに浅海に対応。4番藤川 寿真(3年)の場面で、3番斉藤が二盗を行い、藤川が左前安打を放ち、2点を勝ち越す。5回裏に5番後藤に適時二塁打を打たれ1点を失ったが、6回表、二死二塁から2番水野の遊撃内野安打と悪送球で1点を追加し、なおも二死二塁から3番斉藤の左前適時打で6対3と点差を広げた。
そして9回表、常総学院は3番斉藤が東海大相模の4番手・遠藤成(2年)が自信満々に投げ込んだ138キロのストレートを捉えて、レフトへ特大弾。貴重な追加点を入れ、7対3とリードを広げた。
本塁打を放った3番斉藤勇人(常総学院)
常総学院は4回裏からリリーフした谷田部健太(3年)が常時130キロ前半~136キロのストレート、スライダー、落差が鋭いカーブのコンビネーションで、6回を投げ、6奪三振、1失点の好投で、東海大相模を破った。
常総学院は自慢の強力打線を発揮したが、目に付くのはサイズが大きい選手が多いことだ。ベンチ入り登録選手18人中、180センチ越えが12人、180センチ80キロ越えが8人。常総学院は体格が優れているだけではなく、打撃技術も伴っている。
常総学院といえば、無駄な動作を省き、最短距離でボールを捉える打撃フォームをしている選手が多かった。今でも無駄なアクションを取る選手はいないが、始動を遅くして、手元で引き付けて鋭いヘッドスピードでとらえる選手が多くなった。
これまでの常総学院も打線の力強さはあったが、歴代でもこれほど長打力と技術を兼ね備えた打者が揃ったチームもなかなかないだろう。去年まで宮里 豊汰(立正大)というスラッガーがいたが、今年の打線は宮里クラスの打者が、4,5人いると説明すればその恐ろしさは実感できるはずだ。
対する東海大相模は試行錯誤をしながら選手起用を行っていた。全国制覇をするには常総学院のようにポテンシャルも、技術も伴った大型チームに勝っていかなければならない。夏までどんな野球を作り上げるのか、注目をしていきたい。
(文・写真=河嶋 宗一)