関大北陽vs生野工
4回本塁打を放った岸本朋也(関大北陽)
18対7の試合を紐解く
3回を終えて7対6。両チームの投手がストライクを取るのに苦しみ、やや荒れ模様のゲームとなったが、19安打で18得点4本塁打と打撃が爆発した関大北陽が5回コールドゲームで3回戦に進出した。
試合後に少し長めにミーティングをしていた関大北陽の新納弘治監督。18得点の打撃は置いておいて、やはり7失点を課題に挙げた。その理由は指揮官の言葉を借りれば、「心の部分」。
実は1回から3回までの内容を見ると、同じような傾向が出ている。それは先頭打者と次の打者をしっかりと打ち取っているのに、その後に崩れているからだ。
1回は、先発の渡邊祐哉(3年)がセカンドライナーと三振で簡単に二死を取る。表の攻撃で2点をもらった後のマウンド。気持ちは楽なはずだった。
ところが、生野工の3番森川竜也(2年)に対し2ボールとした所で様子が変わった。
『ストライクを取りたい』そんな意志が、ボールを置きに行ってしまう。3球目、その気持ちを見透かされたかのようにライトオーバーへの二塁打を浴びた。
これで委縮してしまったのか、その後は四球を3つ続けて与えてしまい、押し出しで1点を失う。さらにタイムリーともう一回押し出しで3失点。リードがなくなるどころか、逆転を許してしまった。
渡邊は1回を投げ切ることができず、左腕の原龍平(2年)がリリーフすることになった。
2回、再び1番打者からの巡りとなった関大北陽の守り。ここでも原はセカンドゴロとピッチャーゴロで簡単に二死としたが、森川にヒットを浴びてからは、四死球を連発。満塁のピンチを背負った。
ここは何とか内野ゴロで踏ん張った原。しかし続く3回も、二死を取りながら四死球を3連発で与え、3番森川に満塁本塁打を浴びた。
打線が頑張り、4回表に9点を奪って勝つ流れにはした関大北陽。
でもこの3イニングでは、守りの基本である先頭打者をしっかり抑えているのに、二死から突然乱れる。
新納監督は途中、キャッチャーの岸本朋也(1年)も叱った。
「岸本は1年生でこの前の1回戦が初めてで緊張の中での試合だった。それが2試合目になって色々考えるのでしょうね」と練習では中々見えない一面が公式戦で見えたことを話してくれた指揮官。
4回の守り。ヒットで初めて先頭打者を出した原と岸本のバッテリー。でも不思議なことに、このイニングは3人で抑えたのだ。三振を一つ奪った後に、内野ゴロを打たせてダブルプレー。
『ちゃんと打たせれば野手は守ってくれる』
そんな基本的な事を思い出す場面だったのではないだろうか。
18対7という得点がたくさん入った時こそ、守りの一場面、一場面を見つめ直すことがこれからの心の成長に繋がる。
関大北陽(主将:巽太造) | TEAM | 生野工業(主将:佐々岡博渡) | ||
守備位置 | 氏名 | 打順 | 守備位置 | 氏名 |
9 | 田渕佑起 | 1番 | 3 | 河野陽大 |
3 | 平松克仁 | 2番 | 5 | 尾崎義武 |
6 | 井本善貴 | 3番 | 9 | 森川竜也 |
2 | 岸本朋也 | 4番 | 7 | 朝田英雄 |
8 | 保市慎平 | 5番 | 2 | 竹中甫 |
1 | 渡邊祐哉 | 6番 | 4 | 手島竜太 |
5 | 髙山弘輔 | 7番 | 8 | 加藤樹 |
4 | 井口陽平 | 8番 | 1 | 高山和善 |
7 | 大山浩平 | 9番 | 6 | 森光流 |
(文・写真=松倉雄太