Column

紆余曲折があった今年の浦和学院。森監督が語る甲子園への道筋

2021.07.11

 今年、2大会ぶりの甲子園出場が期待されるのが、浦和学院。今春の県大会では優勝。この夏も優勝候補として期待されます。今年の浦和学院は最初から順風満帆のスタートだったわけではない。ここまでいくのに、かなりの苦労があった。そんな1年間を振り返りつつ、夏へ向けての課題を語る。

コロナがあっても前向きに取り組んだ

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ノック中の浦和学院ナイン

 昨秋は川越東に敗れ、ベスト8と悔しい負けとなった。大会後は強豪校と練習試合との経験を積み、順調にステップアップしている姿が見られた。
 しかし、新型コロナウイルスがチーム内で拡大、長期間の活動自粛があった。絶対的な練習量が足らない中で迎えた春季大会。

 森監督はどんな気持ちで大会に臨もうと考えたのか。
 「復帰するまでが大変なところもありましたので、できなかったことの苦しみを乗り越えて野球ができるようになった喜びというのを、うまくチーム作りに持っていけることができないか。そんな思いはありました」

 その中でも浦和学院は、苦しみながらも勝ち上がっていく。勝ち進むごとに成長をしていく姿があった。そして準決勝の昌平戦では初回に6点を奪われるも、反撃を行い、9回表終わって、7対9と2点差も、9回裏に3点を入れて逆転サヨナラ勝ちを収め、関東大会出場を決めた。このゲームは森監督にとっては驚きのゲームだったと振り返る。
 「なかなかできないゲーム。諦めない姿勢が見られて良かった試合です。ただそれだけの失点をしないほうが重要ですね」

 そして決勝戦でも花咲徳栄に勝利し、県大会優勝。それでも森監督は「相手は主力投手が登板しなかったですので、まだ両手を挙げて喜べる優勝ではなかったです」と語る。

 埼玉1位で臨んだ関東大会は作新学院に勝利し、専大松戸に敗れ、ベスト8に終わったが、森監督はこの2試合を経験出来たことが大きいと捉えている。
 「5月いっぱいは、まん延防止区域であったので練習試合ができなかったんですよね。そういう面では5月の公式戦の県大会決勝から関東大会の2試合という期間が2週間空いた中でも公式戦を戦えたことが先につながっていると思います」

[page_break:2ポジション制で戦力の引き出し増へ]

2ポジション制で戦力の引き出し増へ

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ショートの守備に入った金田優太(浦和学院)

 準備期間は少なかったが、今年の選手たちは限られた実戦の機会でしっかりと成長できる能力の高さがあった。組み合わせが決まり、浦和学院ナインは活気をもって練習に取り組んでいた。
 内野手の動きを見ると、ポジションの変化があった。
遊撃手 吉田匠吾が二塁へ。
二塁手 八谷晟歩が三塁へ。
三塁手 高松陸が一塁へ。
一塁手 金田優太が遊撃手のノックを受けていた。

 また金田は投手の練習を行い、切れの良いボールを投げ込んでいた。これも夏を見据えて複数ポジションを守れるように練習をしてきたと森監督は語る。
 「今のレギュラーの9人の中で半分投げても3人いますし、金田が投げられれば4人がいる状況の中でポジションを移動しながら戦えるので、9人はそのままでピッチャーを変えられるという戦い方ができますね。球数制限もあるので、しっかりと鍛えていきたい」

 決勝戦まで進んだとして、17日間で7試合。特に5回戦以降は7日間で4試合。球数制限が設けられる今大会は、投手陣の踏ん張りが課題となる。まず春季県大会5試合で防御率1.09と、抜群の安定感を発揮した宮城 誇南に注目が集まる。そして首脳陣が期待を込めるのは三奈木 亜星。投げては最速146キロ、打者としても抜群のバットコントロールを誇る左の好打者だ。

 三奈木について森監督も活躍することを願っている。
 「3年間、中心選手としてチームを支えてきてくれた選手ですから、最上級生としてのリーダーシップをとってもらいたいです」

 取材日で宮城は打撃練習のあと投球練習。投球練習の後は感覚を確かめるために森部長とキャッチボールを繰り返し、リリースの感覚を確かめる様子があった。そこで投げ込むストレートは非常に強いものがありました。

 限られた時間の中で最善の準備を行う浦和学院の選手たち。初戦の相手はこれまで激闘を繰り広げてきた聖望学園に決定。森監督は勝ち上がるための課題を語りました。
 「まず悔いのない戦いをしたいです。そして相手どうこうよりも敵はわれにありと考えています」

 コロナによる長期自粛もありながらも、ここまで意欲的に取り組めているのはやはり春の躍進が大きい。今年は1年生の時から試合出場している選手も多く、期待が高い世代。有終の美を飾るべく、初戦の聖望学園戦からエンジン全開で臨む。

(取材:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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