名門復活を陰で支える女子マネージャーたち 強みは「パワフルさ」と「細やかさ」沖縄水産(沖縄)
縁の下の力持ちとして働くマネージャーの生徒達を応援する連載企画「頑張る!マネージャー」。今回は、昨秋の県大会優勝、九州大会出場を果たし、春からの戦いに注目が集まる沖縄水産高校野球部81人の部員を支えるマネージャー4名にお話を伺った。
セーラー服を身にまといチームを後押し!
左から伊佐はるなさん、新垣美優さん、神谷鈴々さん、金城美瑚さん
お話を聞かせてくれたのは、2年生の金城美瑚さん、新垣美優さん、1年生の神谷鈴々さん、伊佐はるなさんだ。
身の回りの掃除をはじめ、練習中は主に選手のジャグやアイシングを作り、試合ではスコアを記入するなどサポートしている4人だが、チームが夏秋冬の大会でベスト4まで勝ち上がると、少し変わった応援をするという。
沖縄水産高校では応援団が伝統のセーラー服を身にまとってスタンドで応援するのが恒例となっており、スタンドが一体となっての大応援は要注目だ。
また4人の強みを聞くと、「力持ち」なら他の高校のマネージャーには負けない!と話す。81人の部員を支える女子高生4人はとてもパワフルで頼もしい。
日々の大変な練習の中、「ありがとう」と言われたときにやりがいを感じるそうだ。
また、活動の中で一番楽しいのは試合中スコアを書いているとき。スコアラーとして選手たちと共に戦う中、チームの改善点などが目に見えてわかるのは、こうしたマネージャーの日々の記録の賜物だ。
そして選手を支える上で心掛けていることは「時間厳守」だ。だらけることなくスムーズに練習を進めるうえで、彼女たちの存在は必要不可欠だ。
また、4人がおすすめするマネージャーグッズは太さ0.5以下のボールペンと沖縄の名産“黒糖”。
スコアなど、細かい記号をたくさん記録する必要があるときは確かに細いペンが役立ちそう。また、黒糖を食べる習慣は、少なくとも都内の高校ではあまりないかもしれない。黒糖はミネラル豊富かつ手軽に糖分補給できる優れもの、ぜひ全国のマネージャーの皆さんも取り入れてみては?
また「マネージャーあるある」として聞かせてくれたのが、部員の数が多すぎて選手の名前が覚えられないこと。81人の部員の顔と名前を一致させるのは根気がいりそうだ。
昨秋は見事沖縄県大会を制したが、その中で、特に思い出に残っているものがあるという。
10月6日の秋季大会・準決勝の沖縄尚学戦。8回まで0対0で進み、迎えた9回に先制点を奪って1対0で勝利した緊迫感が今でも忘れられない。しかもノーヒットノーランという快挙での勝利は、喜びもひとしおだった。
また「明るく優しくて、いつも笑顔で、いい先輩でした!」という3年生の先輩たちと戦った6月24日の夏の大会では、[stadium]コザしんきんスタジアム[/stadium]での沖縄尚学戦に8対4で勝利した。準決勝や決勝戦かと思ってしまうほど多くの観客の中で試合したことが記憶に残っているという。
日々練習に励むチームの選手に一言お願いすると、「1回でも多く勝って長い夏にしましょう!」「甲子園に行こう!」と高らかに言ってくれた。パワフルな彼女たちが支えるチームなら、甲子園も決して夢ではない。
[page_break:「沖水すごいね!」の声で頑張れる!]「沖水すごいね!」の声で頑張れる!
2年生の金城美瑚さんと新垣美優さん
チームのために、日々力仕事もこなす彼女たち。なぜ彼女たちは野球部のマネージャーになろうと決意したのだろうか?
中学時代はテニス部だったという2年生の金城さんが話してくれた。
金城さんがマネージャーになったきっかけは、「甲子園に行きたいと思っていたから」だ。
なるほど、最初から選手と同じように志の高い彼女だからこそ辛い仕事も頑張れるのだ。なんとなく野球が好きだから、という理由で携わっているのではないことに感嘆した。
また彼女が目指すマネージャー像は、「気配りができる人」。
一度挫折しかけたほど苦手だった朝の早起きも、マネージャーを始めてからできるようになった。今では「マネージャーのおかげで生活習慣が良くなった」、もしマネージャーをしていなかったら、「生活習慣が悪かったと思う」と言うほどだ。
そんな中、大会で優勝した時はやはり嬉しい。「沖水すごいね!」「がんばってね!」「応援してるよ!」など声をかけてもらった時は一際喜びがあると話してくれた。
練習の中で心に残っているのは、上原忠監督がかけてくれた「今はきついかもしれないけれど、夏の今頃お前たちも甲子園にいるから頑張れ」という激励の言葉。
くじけそうだった朝の早起きも乗り越え、選手と一喜一憂をともにしてきた彼女たち。苦労している姿をそばで見守ってきたからこそ、チームが勝利した瞬間に感じる喜びは倍増だ。
「甲子園に行こう!」
そう力強く言ってくれる4人の女神が沖縄水産高校野球部にはついている。何も恐れることなく、大会優勝に向けて駆け抜けていってほしい。
(文=編集部)