Column

杉内俊哉投手の自己察知力に学ぶ

2013.02.27

 border=

杉内俊哉投手の『自己察知力』に学ぶ2013年02月25日

自己察知力とは何か?

▲自己察知力はセルフコントロールの強さにつながる

 『僕はその時に投げやすいと感じるフォームがベストなフォームだと考えています』

 これは、3大会連続でWBC日本代表に選出され、投手キャプテンに任命された巨人・杉内俊哉投手が自分の投球フォームについて答えた一言である。杉内投手は外向的な性格ではないと言われている。しかし、それを補って、余りある素晴らしい『自己察知力』を持っている。杉内には、“その時に投げやすいフォーム”を感じる察知力があるのだ。

 杉内は、あまり立ち上がりが良くない場合がある。これも杉内自身にとっては『初回なんて何も考えていない・・・。自分の調子がまだわからないから』と気にしていないのだ。というのも、得意の自己察知力を駆使した情報がまだ集まっていないからだ。

 逆にいえば、『試合の終盤には、絶対の自信を持っている』のである。多少いつもと違っても、その日の自分の投げやすいフォームを察知できれば、それによって試合を作り、終盤の厳しい状況になっても臨機応変に対応できるのだ。

 この自己察知力は、セルフコントロールの強さにつながっていく。人は自身を察知し、意識出来たことしかコントロールできないし、練習もできない。性格を変えることはできない。しかし、杉内のような察知力をつけることにより意識でき、コントロールすることが可能になる。コントロールできるようになることにより成熟し、自信や対処能力につながる。これはメンタルマネジメントの重要なポイントである。

[page_break:自己察知力を自分のものとしようとする姿勢が大切]

自己察知力を自分のものとしようとする姿勢が大切!

 では、なぜイメージトレーニングに効果があるのか。
それは言葉による情報をイメージ化することにより、大量の情報を同時に、しかも高速で処理することが可能になり、身体に素早く信号を送れるようになるからだ。

▲自己察知力を高めてベストコンディションへ

 だから今回、投手キャプテンに任命されても『僕はチームを(通常のキャプテンのようには)引っ張れない』と察知しているので、他のキャプテンとは違う自分のコントロールできる方法でチームを引っ張るべく行動に移る。

 杉内は自分の性格について、『自分で言うのも変ですが、僕はかなり厄介な性格』と述べている。例えそれが反省し出すと悪いことを考えすぎて、結局何が正しいかが分からなくなるようなものでも、自身が察知できているのでコントロールすることが出来るということだ。

 杉内選手はこの自己察知力があるので、ルーティンはあまり作っていない。自分の強みである自己察知力を発揮するために、フレキシビリティ(柔軟性)を失いたくないのだ。こう思えること自体が杉内の自己察知力の強さをうかがわせる。

 だから試合中厳しい場面でも、意識を相手に向けるのではなく『ベストピッチ、自分の持っている力をすべて出せることのほうに気持ちを持っていく』ようにしているのである。

 選手として成長する為に、WBCで杉内選手の自己察知力に注目しよう。そして、それを自分のものとしようとする姿勢が大切である。

参考文献
(サウスポー論 和田毅 杉内俊哉  KKベストセラーズ)

(文・布施努

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】秋田修英と秋田工が8強入り、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?