試合レポート

豊川vs大垣商

2019.10.27

ビッグイニングの応酬となった試合、乱戦を制したのは豊川

豊川vs大垣商 | 高校野球ドットコム
本塁打を放って歓喜のホームインの豊川・漆原君

 初回に豊川が4点。それを追いかける大垣商が3回、満塁本塁打含む打者13人の猛攻でドカンと7点。それを細かく追いかけていた豊川だったが、7回に3ランなど5本の長打の打者12人で10安打7点。大味と言えばいささか大味ではあったものの、スリリングともいえる打ち合いではあった。

 初回の豊川は先頭の小林伶斗君が左前打するとバントで進み、漆原君の左前打で先制のホームイン。さらに連続四球と内野ゴロ送球ミスで2者が帰る。犠飛もあっていきなり4点。試合は、そのまま豊川のペースで流れていくのかと思われた。

 ところが、豊川の注目のエース左腕米庄君は、「初回、最初の打者を四球で歩かせた時から、よくないなと思っていた」という今井陽一監督の心配が3回に当たってしまった。

 この回の大垣商は先頭の2番田中克朋君が右線二塁打。盗塁後内野ゴロで本塁を狙うも、そこは憤死。しかし、その後に貞光君が左前打。6番吉田君が中越二塁打すると、そこから猛攻で四球後下野君も中越二塁打。さらに連続四球で満塁となったところで、この回2度目の打席となった田中君が左越へ満塁本塁打して一気に逆転。さすがにこれで、今井監督も米庄君を諦めて右翼において、2人目として白井君を送り出した。

 白井君は、この回こそ危なっかしかったが、4回以降は打者23人に対して3安打のみで無失点。今井監督の期待以上の投球で、「今までなかなか期待していただけのものが出なかったけれども、これを是非、自信にしてほしい」と大事な試合での好投を喜んでいた。

 そして打線も、3回に梶野君の犠飛で1点を返し、4回には3番漆原君の羽越ソロで追い上げムードを作っていった。ベンチでも、「1点ずつコツコツと返していこう。絶対にあきらめるな」と声を掛け合っていたと言うが、それが7回に爆発する。

 この回、一死後6番梶野君が右中間へ三塁打。水野光陽君の右中間二塁打で1点差。水野君はけん制で刺されるものの、その後中前打で出た杉浦君を9番下田君が「当てに行かないで、思い切って振り切って行け」という指示通りの打撃で、右線二塁打で帰して同点。続く小林君の中前打で下田君も帰って逆転。岩屋君と漆原君も短長打すると、ここで大垣商の有賀竜也監督は県大会で好投した水野塁偉君を二塁からマウンドへ送り出す。ところが、その代わり端を4番米庄君が叩いて右越3ラン。一気に突き放した。米庄君は、自信の投球で失った点を自分のバットで取り返したという形になった。

 こうして、3本の本塁打と8本の二塁打、三塁打も1本が飛び交った乱戦は豊川の逆転という形で決着がついた。豊川の今井監督は、「全然予想していない試合展開になってしまいしたね。本来は、米庄がある程度抑えてしっかりと守り切って僅差で逃げ切っていくということをイメージしていたのですけれども…」と、苦笑していた。それでも、「取られても諦めない試合を出来たことはよかった」ということに関しては、チームとして意識の進化とチーム力は確実に上がっていることを評価をしていた。

(取材・写真=手束 仁

■開催期間:2019年10月26日~11月3日(予定)
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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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