高松商vs佐久長聖

浅野翔吾（高松商）　※写真は過去の大会より

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＜第104回全国高校野球選手権大会：高松商14－4佐久長聖＞◇11日◇2回戦◇甲子園

　仙台育英（宮城）の3人の好左腕、古川翼投手（3年）、仁田陽翔投手（2年）、斎藤蓉投手（3年）を見たあとでも、高松商の先発、渡辺和大投手（3年）は見劣りがしなかった。

　直球の最速は141キロと平凡だが、これを左右各打者の内角低めいっぱいに決めるコントロールを備え、真下に落ちるスライダー、カーブも交え、佐久長聖（長野）打線を8回まで4失点（2自責）に抑えた。

　走者が出たときのピッチングにも見どころがあった。巧みなけん制で一塁走者を足止めにすると、初球からカーブ、スライダーで打者を翻弄し、直球勝負に誘導していくのだ。失点の多くは内野手の記録に表れないミスや失策が絡んだもので、それでも大崩れせず4失点に抑えたところに精神面の強さを感じた。

　投手の殊勲者が渡辺なら、打者の殊勲者は1番・浅野翔吾外野手（3年）だ。佐久長聖の先発、廣田龍星投手（3年）の巧みなピッチングに第2打席まで強打が封じられたが、2対1で迎えた5回表、廣田の直球を捉えると甲子園球場で最も深い右中間スタンドの最前列に打球が吸い込まれた。

　ここで特筆されることは、強い風が右から左に吹いていたということ。つまり逆風を突いて甲子園球場の最深部に放り込んだのだ。

　第4打席は7回に訪れた。ストライクの見逃しが少ない浅野が、この打席では2球、ストライクを見逃した。1本ホームランを打っているので甘いコースにはこないという判断、それでも甘いコースにきた球は打ち損じしないという意気込み、それが2つの見逃しに表れていると思う。そして5球目に投じられた真ん中寄りのスライダーは、浅野にとって待ちに待った甘いコースの球だった。浜風が吹いていれば追い風になったはずだが、このときはあまり吹いていなかった。それでも打球は左翼席までライナーで飛び込み、4点差をつける2ランになった。

　第6打席でも適時二塁打を放っているが、このとき期待したのは佐久長聖の投手が右腕の小北圭亮投手（3年）だったので、左打席に立つかもしれないということ。代表49校の完全データが紹介されている各種名鑑を見ると、確かに「右投両打」となっているのだ。残念ながらこのときは右打席に立ち二塁打を放っているのだが、これまでも左打席で数本打っているというから今後の楽しみに取っておきたい。

（記事＝小関 順二）