打線に勢いをつけたトップバッター、大阪桐蔭・伊藤の存在感
伊藤 櫂人(大阪桐蔭)
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<第104回全国高校野球選手権大会:大阪桐蔭4-0二松学舎大附>◇16日◇3回戦◇甲子園
いきなりの快音でナインを鼓舞した。大阪桐蔭(大阪)・1番打者の伊藤 櫂人内野手(3年)が、1回裏の第1打席で二塁打を放った。この回、打線がつながり、2点を先制。伊藤の快音が合図になって、先制パンチを浴びせた。結局、4対0で二松学舎大附(東東京)に勝利。2回戦のような多くの得点は奪えなかったが、先制逃げ切りの王者の戦いを生み出した。
二松学舎大附はある種の「奇策」に出た。先発マウンドに立ったのは、今夏登板のない大矢 青葉外野手(2年)だった。センバツではリリーフで登板経験があるが、夏は初めて。2回戦までの2試合は、ともに辻 大雅投手(3年)から重川 創思投手(2年)のリレーだった。直球に力のある右腕の大矢がどこまで大阪桐蔭打線を封じるか。初回の対戦が、この試合を決めるかもしれないと思っていたが、伊藤がいきなり快音を響かせ打線に火をつけた。ベンチは当然「行ける」と盛り上がったに違いない。
強いチームを倒すパターンとして思い切った先発投手の起用も1つの作戦。二松学舎大附が取った作戦は理解できたが、大阪桐蔭打線が上回った。
もう1つ、強いチームが敗れるパターンとして、終盤での一気の逆転劇がある。序盤はリードされていても何とか粘って離されないようにしながら、終盤の集中打でワンチャンスをものにして逆転勝ちする。この日の二松学舎大附もその可能性を秘めていた。5回以降は互いに点が奪えず終盤へ持ち込んだ。4点差はギリギリのラインだった。しかし、大阪桐蔭先発の川原 嗣貴投手(3年)に最後まで投げ切られた。9回先頭からの連打で「夢」を見たが、中軸を冷静に打ち取られた。
試合の入りと試合の終わり方。勝つための大事なポイントは間違わない大阪桐蔭。史上初の3度目の春夏連覇までは、あと3勝となった。
(記事=浦田 由紀夫)