試合レポート

履正社vs金光大阪

2016.07.31

履正社、圧勝で6年ぶりの甲子園へ

 6試合52イニングを1人で投げ抜きわずか8失点。金光大阪のエース・末友雄梧(3年)は、4回戦では大阪桐蔭を破った関大北陽を1安打完封、5回戦では強力打線が売りの昨夏の優勝校・大阪偕星学園を相手に2安打1失点と堂々たるピッチングでチームを決勝まで導いた。しかし、初戦となった18日の槻の木戦から2週間でこれだけ投げていれば万全のコンディションで決勝のマウンドに臨むことは難しい。激戦となった前日の準決勝でも140球近くを投げており、立ち上がりからすでにストレートにいつもの威力は見られなかった。

 初回、準決勝までほぼ全ての試合をコールドで勝ち上がってきた履正社打線はその隙を逃さない。1番・福田観大(3年)がライトオーバーの二塁打を放つと北野秀(3年)が送りバントを決めた後、キャプテンの四川雄翔(3年)がセンター右へ先制の適時三塁打を放つ。さらに注目のスラッガー・安田尚憲(2年)もライトへの犠牲フライを放ち1点追加。海が近い[stadium]舞洲ベースボールスタジアム[/stadium]はライトから逆風が吹いており、その風が無ければ柵越えは確実な打球の角度と飛距離だった。四川も安田も打ったのはスライダー。マウンド上の末友はストレートが走らないから本来ならキレの鋭い変化球が活きない。2回にも先頭・寺島成輝(3年)がスライダーを捉えセンター前に弾き返す。この回は無失点で凌いだ末友だが、3回と4回に2点を失う。

 対照的に履正社のエース・寺島は持ち前のパワーピッチングで金光大阪打線をねじ伏せる。序盤はカウントを悪くするなどやや荒れる場面もあったものの5回までを2安打6奪三振で無失点。5回は先頭打者への四球と送りバントで一死二塁とされたが、二者連続で三塁すら踏ませない。決め球としたのはどちらもストレート。左打ちの佐々木将太(2年)はアウトコースいっぱいに決まる速球に、右打ちの宇須凌介(3年)はインコースいっぱいに決まる速球に手が出なかった。

 5回を終えて6-0。すでにセーフティリードを奪っていた履正社だが、打線は後半も得点を積み重ね、寺島は得点どころか安打すら許さない。9回に先頭の山本侑度(3年)が本塁打を放つなど、準決勝までのチーム打率が.398だった打線は先発全員安打でこの日も15安打。さらに数字を伸ばし4割台に乗せた。

 9回裏、金光大阪は一死から3番・井上洸大(3年)が安打を放つと4番・岩崎竜也(3年)はインコースを狙った寺島のストレートが体に当たり死一、二塁。この日初めて走者を2人ためたが、後続が倒れ一矢報いることは出来なかった。

 ゲームセットの瞬間、ショートへの小フライが若林健治(3年)のグローブに収まるとマウンド上の寺島は両手を突き上げ喜びを表現した。試合後の場内インタビューで寺島は「いいピッチングが出来たと思います。人生で一番嬉しいです」

 寺島は1年時から注目を集めた大型サウスポーだがこれまで甲子園出場経験は無し。ラストチャンスの決勝で打っては3安打猛打賞、本職のマウンドでは見事な3安打完封勝利を挙げ奪三振は12を数えた。
「去年の秋、悔しい思いして夏は絶対行こうってみんなで言ってたんで達成出来て良かった。甲子園では履正社の野球して優勝目指して頑張ります」

 岡田龍生監督も「選手が非常に頑張ってくれた。感謝してます。大阪大会と変わらず、履正社らしいきっちりとした野球をやって、全精力を注いで頑張りたいと思います」とナインを讃えた。79得点4失点だった大阪大会8試合、一度もリードを許していない。圧倒的な戦績を引っさげて6年ぶりの甲子園に乗り込む。

(文=小中 翔太

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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