駿台学園vs正則学園
駿台学園・正則学園
初回で決めた駿台学園、5回コールドで圧勝
初回の攻防がすべていとってもいいような試合だった。
先制機の無死一塁を0に終わらせてしまうのかビッグイニングに結びつけるのか、その違いがそのまま出てしまった。
正則学園の初回は先頭の生沼君が右前打するとバントは失敗したものの二塁盗塁を決め、四球もあって1死一二塁。駿台学園の先発北川君にいくらか力みも見られたが、そこを攻めて好機を得た。しかし、この好機を併殺で終えてしまい得点することが出来なかった。
その裏の駿台学園は、先頭の尾形君が相手の送球ミスで出塁すると続く石井瑠君が中越二塁打して無死二三塁。福田君の中犠飛であっさり先制すると、四球後5番西川君が中前打して2点目。さらに四球もあって満塁となってから、中山君、北川君という下位の連続二塁打などでこの回一挙に6点が入った。
これで、精神的にも楽になった北川君は180cm72kgというバランスのとれた体から力強いストレートを投げ込んでいった。初回の力みが消えて球の伸びも増していたら、正則学園打線もそうは打てない。結局、1安打のみで完封という見事な投球だった。
実は北川君は、1回戦も大成相手に完封しており、本大会になってまだ得点を許していないという快投である。駿台学園の三角裕監督は、「夏休みの練習試合では浦和学院、常総学院、東海大望洋といった、この秋に関東大会進出をしているような相手に投げては10点以上を取られていたんです。ただ、そうした中から、ストレートばかりで行って打たれながら変化球の大事さとか、そんなことを学んでくれたのではないでしょうか」と、試合を経験しながら成長していっていたことを評価した。
また、攻撃に関しても1回戦では初回に無死一二塁という好機を併殺で潰したことで大苦戦となったのだが、その反省のもとに思い切りのいいスイングもできたようだ。「初回は、相手のミスにも救われました」と、三角監督は謙遜するが、甘い球を逃さない積極的な姿勢が功を奏していた。
駿台学園は2回にも井上君がソロアーチを放ち、5回には石井瑠君の左中間への長打で決着をつけた。
正則学園としては、初回の大量失点ですっかり意気消沈してしまった。打線も、北川君に対して、もう少し何らかの工夫もあったかなとも思われたが、その余地もないまま抑え込まれてしまった。
(文=手束仁)