試合レポート

大垣日大vs天理

2010.11.15

大垣日大vs天理 | 高校野球ドットコム

葛西(大垣日大)

大会史上初の連覇を目指す大垣日大好発進

 今年で41回目となる明治神宮大会。
高校の部は1973(昭和48)年の第4回大会からなのだが、当初は現在のような各地区の秋季以下優勝校が出場するという形式ではなく、地区持ち回り制や、3位校の中から代表校を決定するなど、地区ごとにさまざまな方法が用いられていたということもあって、連続出場もほとんどなかった。

そんな経緯もあって、高校では連続優勝というのは未だ実現していない。97年以降に秋季大会地区優勝校が集う形になっても、連続出場そのものが非常にハードルは難しいというのも事実だ。

そんな中で、東海地区代表の大垣日大は今年、連続優勝の可能性を持って登場した。
そして、ベテランの阪口慶三監督も、「めったにないチャンスだから、連続優勝を狙いたい」と、公言して臨んでいる。

その大垣日大が、序盤に先制されて苦しみながらも、後半に同点、逆転をしていくという試合運びで、連覇へ向けて好発進をした。

天理は右の本格派西口君、大垣日大は昨年もこの大会で投げ優勝し、センバツベスト4の原動力にもなった左サイドハンドの葛西君である。
タイプの異なる両投手がそれぞれ、持ち味を発揮した投手戦の展開となった。

葛西君は丁寧に低めに球を集めて、連打されない投球術は相変わらずだ。西口君は174㎝と身長はそれほどないが、体重81㎏で力でぐいぐいと投げ込んでくる。
球速だけでいえば、5回には148㎞/hを表示。スタミナも十分ということで、投げ込んでいってもへばらない将来性豊かな投手だ。
特に、この試合ではストレートがどれだけ通用するのかということにこだわっていたようだ。
それが、5回までは大垣日大打線を無安打に抑えることにもつながっていた。


大垣日大vs天理 | 高校野球ドットコム

6回裏・後藤健のスクイズで同点に追いつく(大垣日大)

しかし、無安打に抑えられていても、後半には捕まえられると信じていた大垣日大打線は6回、上木君、安藤君と下位打線の連打で一二塁とすると、一番畑君の中飛で三塁へ進める。
ここで、「あそこはフライの危険性もありましたが、打たせるべきではない」という阪口監督の判断でセーフティースクイズを試みたが、それが見事に決まって同点。

これで流れは大垣日大に傾いた。7回は四番高田君が初球を叩いて左前打で出ると、葛西君とエンドランを仕掛ける。
これが、相手失策を誘発して一三塁。さらに時本君の一打も失策を招き、大垣日大は逆転をした。
相手失策が続いたことでのラッキーな逆転ではあるが、これは大垣日大の積極的な攻撃がもたらしたものといっていいであろう。
このあたりの勝負強さも、大垣日大の持ち味ともいえる。

 結果として接戦をものにできなかった天理だったが、森川芳夫監督は収穫は大いにあったという。
「大事なところでのエラーはありましたけれども、それはそれで仕方のないことです。それでも、その後のピンチを本塁でよく刺せました」と外野手の好返球を称えた。

そして、「甲子園で実績のある投手と対して、このレベルの球を打たなくては全国では勝てないということを改めて思い知らされました。打線が打てなかったのはボクの責任ですから、もう一度じっくりと作ります。また、投手は全国レベルの打線に対して、どこまで通用するのかを試せたので、これはとてつもなく大きな収穫でした」
ひと冬越えて、来春の天理はさらに楽しみになりそうだ。

(文=手束 仁)
(写真=高校野球情報.com編集部)
(写真img25~=中谷 明)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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