Interview

ポテンシャルは坂口以上。二刀流・阪上翔也(神戸国際大附)が痛感した高校野球のレベル【前編】

2020.12.29

 毎年野手であれば強打の選手、投手であれば剛腕を育てあげる兵庫の名門・神戸国際大付。秋は県大会を制して近畿大会に出場。近畿大会では初戦で近江との接戦を制してベスト8まで勝ち上がった。

 その神戸国際大付を投打で支えるドラフト注目選手が阪上翔也(さかうえ)。投げては最速145キロをマークし、打っては高校通算17本塁打を放つスラッガーとして近畿だけではなく世代のトップ選手として今後の活躍が期待される。そんな阪上のここまでの歩みを追っていきたい。

自ら厳しい環境を選ぶも苦戦を強いられる

ポテンシャルは坂口以上。二刀流・阪上翔也(神戸国際大附)が痛感した高校野球のレベル【前編】 | 高校野球ドットコム

 兵庫県出身の阪上は小学生のころから野球に打ち込み、ピッチャーもその頃からやっていたが、中学からは和歌山県の打田タイガースへ入団。打田タイガースは阪上の祖父が監督として指揮を執るチームであり、そこで中学3年間は腕を磨く日々を過ごすこととなる。

 その後、地元の兵庫に戻り、強豪校の神戸国際大付へ進学することとなるが、和歌山県内に進学するか悩んだという。

 「小学校の時は兵庫、中学は和歌山県だったので、高校はどちらにするか悩みました。ただ、和歌山県だと甲子園に出場できる可能性が高いチームはある程度絞られます。ただ兵庫だとそういったチームが多いので、難しいからこそ楽しいと思いましたし、戦っていく中で自信を深めることもできると思いましたので、地元・兵庫の強豪である神戸国際大付に進学することを決めました」

 地元・兵庫に戻ることにした阪上は実家から通うのではなく、寮へ入ることを決意。「寮の方が野球に集中できますし、身体づくりもキチンとできると思い、決めました」ということだったが、入学当初から思うように身体を大きくすることはできない。

 178センチ、体重80キロの恵まれた体格で入学したが、厳しい練習で逆に痩せていく日々が続いたとのこと。それはプレーにも影響し、打球は次第に飛距離が短くなっていき、長打を打つのが難しくなった。

[page_break:出塁率を武器にして春からベンチを掴む]

出塁率を武器にして春からベンチを掴む

ポテンシャルは坂口以上。二刀流・阪上翔也(神戸国際大附)が痛感した高校野球のレベル【前編】 | 高校野球ドットコム

その代わりに阪上が大事にしたことが出塁率だった。

「ヒットを狙って出塁することを考えて、フルスイングからコンパクトに単打を打つことを考えるようにしました。なので、テイクバックを小さくしたり、バットを上から叩くようにフォームを意識するようになりました」

 すると1年生春から阪上はメンバー入りを果たし、公式戦のベンチに入った。「春からベンチ入りすることを目標にしてきたので嬉しかった」と喜びを感じつつも、出場機会がなかったことに悔しさを感じていた。その悔しさを晴らすために、再び阪上は練習を積み重ね、夏の大会もベンチ入りを果たし、公式戦の舞台も経験することが出来た。

 阪上が1年生の夏、神戸国際大付は決勝戦まで勝ち進むも、明石商の前に敗戦。しかもこの試合の最後の打者が阪上だった。
 「二死満塁の場面で代打出場させてもらいましたが、中森さんの前に詰まらされてしまい打つことが出来ませんでした。それは悔しくは忘れられないですし、今に繋がっていると思います」

 ただ初スタメンを獲得した姫路工戦では4打数4安打と結果を残すこともできた。「練習試合から思い切りをもってやってきましたが、とにかく楽しんでやりました」と初めての夏を総括する。

(記事=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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