Interview

目指すは「オホーツクの今宮」。好遊撃手・市川竜輝(遠軽)のレベルアップにつなげた社会人野球練習参加

2020.06.26

 北北海道に注目の遊撃手がいる。それが遠軽市川竜輝だ。中学時代は北海道の軟式U-15代表入りし、台湾遠征を経験。遠軽では下級生から主力選手として活躍してきた市川は投手として140キロ前後の速球を投げる強肩を武器とする遊撃守備を武器にする。さらにパンチ力ある打撃も魅力だ。171センチ73キロとパワフルなプレースタイルをウリとする市川を評価する野球関係者の声も多いという。
 憧れは今宮健太(福岡ソフトバンク 明豊出身)。オホーツクの今宮を目指す市川の歩みに迫った。

北見支部とのライバルと切磋琢磨しあってレベルアップ

目指すは「オホーツクの今宮」。好遊撃手・市川竜輝(遠軽)のレベルアップにつなげた社会人野球練習参加 | 高校野球ドットコム
遠軽の注目遊撃手・市川竜輝

 遠軽東小学校3年生から野球を始め、遠軽中では指折りの内野手へ成長した市川は、中学、高校でもチームメイトとなった楢林 優斗とともに北海道の軟式U-15代表に選出され、台湾・嘉義に遠征。そこで得られたものは非常に大きかった。
「まず一緒に北海道の選抜に選ばれた選手のみんなは本当にハイレベルでしたし、大きな刺激となりました。また北海道以外でも福岡など他の地方の選手のレベルの高さを知ることができて、自分はまだまだだなと感じました」
 そしてそのまま地元・遠軽進学を決める。
「これから強くなるという話を聞いていて、実際に入学してみて、それは間違いなかったです」と振り返る。

 1学年上には最速149キロの速球を投げる強肩強打の捕手・浅野 駿吾(東北福祉大 ※大学では投手としてプレー)を筆頭に能力が高い選手と切磋琢磨しながら、下級生からレギュラーを掴んだ。そして遠軽が所属する北見地区のライバルにも恵まれたことも大きい。特に凄いと感じたのは最速145キロ左腕・石澤大和網走南ヶ丘ー東農大オホーツク)。左腕ながら130キロを超える高速スライダーを投げ込む石澤をどう打つのか、チームで取り組んだ。
「北見地区を出て、他の道内のチームと練習試合をするんですけど、北見地区は本当にレベルが高かったです」
 そして2年秋には北見支部予選で最速146キロ右腕・松田大輝擁する北見工に敗れ、長い冬を迎える。冬場は、トレーナーの指導により肉体強化。振り込みも最低1日300本を振るなどパワーアップを努めてきた。

 そして自慢の守備にも磨きをかけてきた。特に磨いてきたのはスローイング。投手としてマウンドに登れば、140キロ近く計測する強肩が一番の武器で、「深い位置からでも刺すことができます」と自信に持つ。

 その守備をさらに成長するきっかけがあった。それが社会人野球・北海道ガスの練習参加だった。

[page_break:社会人野球の練習に参加して知ることができた「ハイレベル」の守備]

社会人野球の練習に参加して知ることができた「ハイレベル」の守備

目指すは「オホーツクの今宮」。好遊撃手・市川竜輝(遠軽)のレベルアップにつなげた社会人野球練習参加 | 高校野球ドットコム
好遊撃手・市川竜輝(遠軽)

 「全くレベルが違っていて、今までやっていた野球とは全く違いました。何より振る量など練習量が違いました。レベルの高さには圧倒されたんですけど、すごい雰囲気が良くて、非常にやりやすかったです」
 特に同じ遊撃手の大友 祥之学法石川–立正大)のプレーは大きな参考になった。
「大友さんは本当に上手くて、何より確実性が高いプレーができる方でした。大友さんから学んだのは三遊間への打球処理です。言葉で表現するのは難しいのですが、スムーズに入っていける形ができるよう、普段の練習から意識をしていきました」

 社会人の練習に参加してからは守備でも手応えを掴んでいるという。

 また打撃では次のステージを見据えて、木製バットの練習に取り組んでいる。芯で捉える難しさを痛感している。
「金属でしたら、たとえ根っこでも振り切れば詰まってもヒットになるんですけど、木製の場合、折れてしまうので、どうすれば、しっかりと芯で捉えて打てるか、非常に考えて打撃をしています」
 話の内容から試行錯誤している様子が伝わってくる。またスイング軌道もアッパー気味にしている。そして打ちにいく時に捕手側(右腕)の肘を上げるフライングエルボーを取り入れた。
「アッパー気味のスイングにしながら、そのスイングを高速にして、より遠くへ打球を飛ばすことを意識しています」

 実際に打撃の映像を見てみると、高校2年生のときと比べても打撃フォーム、スイング軌道がアッパー気味に変わっていて、木製バットでも鋭い打球を飛ばしており、見違えるような内容だった。そして市川は直近の東海大札幌との練習試合で相手エースから弾丸ライナーでライトスタンドに打ち込む本塁打を放っており、順調に成長が見えている。
 そうした打撃を支えているのはこの1年間のパワーアップがもたらしている。

 身長、体重も171センチ73キロとついに70キロ台に到達。高校2年までは華奢な体型だったが、明らかに線の太さが出てきており、しっかりと鍛え込んでいる様子が伺えた。

 北北海道の支部予選、全道大会の開催が決まったことについて「ありがたいです」と語り、そしてこう意気込んだ。
 「まず自分の活躍よりも北北海道1位になりたいので、そのためならばどんなことでもしたいです」
 チームの勝利に徹するつもりだ。

 「オホーツクの今宮」襲名へ。北見支部から攻守で躍動する。

(記事=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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