Interview

上間永遠投手(柳ヶ浦-徳島インディゴソックス) 最短で一軍の舞台に上がるために!独立屈指の若手投手が歩んできた野球道

2019.10.13

 ドラフトまで刻一刻と時間が迫ってきているが、毎年四国の独立リーグに所属する徳島インディゴソックスはプロ野球へ選手を輩出している。今回のドラフトでもプロが注目する若手右腕がいる。それが上間永遠だ。

 柳ヶ浦から徳島インディゴソックスへ進んだ上間はこれまでどんな野球道を歩んできたのか。話を伺った。

1年目からプロを目指せる環境に惹かれて独立へ

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インタビューに答える上間永遠

 上間が野球を始めたのは小学1年生から。「おじいちゃんが野球好きで、小さい時から野球中継がテレビから流れていた」家庭で、物心がつく前から野球を見たり、キャッチボールをしたりしていたそうだ。そんな上間に対してある日、「野球やってみたら?」という一言をかけられ本格的に野球に取り組む。

 始めた当初は外野と内野手を守ったりしながら、小学4年生からピッチャーをスタートさせた。「楽しかったです」というピッチャーを始めた時の様子を振り返る上間。その後、県大会に出場するも大きな大会まで進むことが出来ず、那覇市立古蔵中学へ進学。そのタイミングで軟式から硬式野球に移行。沖縄ダイヤモンドベースボールクラブというポニーリーグのチームに入り、新たなステージに上がる。

 「ボールが重く最初は投げづらかったです」と硬式の第一印象を振り返る上間。1年生大会で初めて公式戦に出場すると、次第に力をつけていき、球速は130キロ前半。さらにスライダーを武器にコースへ丁寧に投げ分け、躱していく投球術で全日本コルトリーグ沖縄予選大会を準優勝。さらに全国大会でも準優勝という大きな結果を残すことが出来た。

 当時のことを上間は、「最初はそこまで勝ち上がれるとは思っていませんでした。ただ、ベスト4まで勝ち残って、『いけるんじゃないか』と思ったんです。けど、決勝で横浜旭峰ポニーに負けて『全国のレベルが高いな』と思いました」と振り返る。

 中学で確かな実績を残した上間はその後、柳ヶ浦への進学を決意する。
 「クラブチームの代表が、定岡監督と高校時代の先輩後輩の関係で、紹介してもらったんです。また元プロ野球選手ですので、いろんなことを聞けるんじゃないのかと思い、選びました」と上間は語るが、当時定岡監督が、「自分から率先してやる選手がプロへ行く」という言葉が今でも忘れられないそうだ。

 定岡監督の下、上間は下半身を中心にトレーニングをやり、高校2年生の夏の大会では141キロまで速度を上げた。そして最後の夏、上間はエースとしてチームを牽引。最速は144キロまで向上し、大分大会決勝まで進出するが、決勝戦で藤蔭に敗れ甲子園にはあと一歩届かなかった。

 それからプロ志望届を提出したが、上間が選んだのは独立リーグだった。
 「チームとしてはいい成績を残せましたが、個人の内容は微妙でした。そこで社会人だと3年、大学だと4年待つところを独立リーグだと1年目からプロを目指すので、選びました」

 定岡監督も独立リーグ経験者であることも上間の背中を押す要因となり、独立リーグの世界へ飛び込む。そのなかでも、「投手育成が得意」と定岡監督から推薦され、徳島インディゴソックスへ入団する。

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目指すは支配下でプロ入り

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ピッチング練習をする上間永遠

 最短でプロ入りすべく、上間の新たな野球人生がスタート。まず独立リーグの印象を聞くと、「何年もプロ野球選手を輩出しているだけあって思っていた以上にレベルが高かったです。最初は体を大きくしようとトレーニングもしたりしましたが、苦労しました」と語る。

 その後、確実に独立リーグに順応し結果を残し始める。なかでも上間の投球を支えるのはシンカーだ。このシンカーは柳ヶ浦時代から持っていたが、「木製バットなら少しの変化で打ち取ることが出来る」と考えて使うようにし始めた。

 「高校時代には金子弌大投手の高速シンカーの動画を参考にしていました。今は菅野智之投手の動画を見ていますが、少しでも芯を外せるだけでも有効だと思うので使っています」

 では実際に投げるためのポイント聞いてみた。
 「シームに指2本をかけて抜くイメージではないですが、最後に薬指に引っ掛けて投げる。イメージとしては右下に落とす感じで投げています。これでファールが取れたり見逃しが取れたりするので、『結構使えるな』と思っています」

 このシンカーを携えて上間は結果を残し続け前期リーグでは開幕投手を務める。「投げられるとは思っていなかったので嬉しかったですね。実際に試合でも思ったようなボールが投げられて凄く調子が良かった」と好発進をすることが出来た。

 しかしまだ上間のフォームには課題がある。
 「牧野塁監督からは『下半身が使えていない』と指摘されます。左足が着地したときに右足が離れるのが早く粘りがないんです。そこを『我慢して粘って、最後に地面を蹴れるように』とは言われています」

 実際に軸足が浮いている状態では伸びのあるストレートは投げられないが、蹴ると同時にリリースできれば伸びのボールで相手打者を差し込めていることを実感している上間。またインコースの重要性も同時に感じている。
 「今はインコースも使えないと抑えられないので、特に川端さんにはインコースへのコントロールを教わりました」

 現在はボールのキレ、そして変化球の精度を課題に掲げて練習に打ち込む上間。目標は「支配下でプロ入り」を掲げる。
 「育成だとアピールの機会は少ないですが、支配下なら二軍の成績次第で一軍に上がれる。自分としてはすぐに一軍のマウンドに上がりたいので、支配下でプロ入りしたいですね」

 慣れない環境に身を置き、自身を鍛え続けた上間。ファンの期待に応えるため、そして目標である「支配下でプロ入り」を叶えるため、今日もさらなる高みを目指す。

(取材=寺下 友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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