目次

[1]投手だけではなく、打者としても走者としても野球センスの高さを発揮!
[2]網走桂陽の野球小僧はさらに上を目指す!

網走桂陽の野球小僧はさらに上を目指す!



冨水大和

 冨水は「石澤については事前に知っていたので、石澤対策はできていました」というが、多くの選手がボール球やスライダーに手を出して三振しているのに対し、冨水はボール球はしっかりと見送り、ストライクゾーンに入ったボールは打ち返す。好投手攻略の基本だが、簡単にできるものではないからこそ、冨水の凄さが際立つ。

 網走桂陽の輿水監督や他校の指導者からも野手としての評価が高かったが、そのすごさが十分に理解できる4安打だった。さらに冨水は足でも魅せる。

 6回表、二塁に到達した冨水は三盗を敢行。
 「投手の動きを見て、走れると思いましたし、普段から三盗の練習はしているので」

 見事に成功させ、さらに一、三塁の場面から、一塁走者が挟まれる間にスタートを切り本塁を陥れた。ユニフォームを泥んこにしながら、駆け込んだ冨水の姿はまさに野球小僧そのものだった。

 投手の石澤は「あの時、グラウンドコートを着用していたので、走りはないと思っていました。三盗を決められたり、打撃もすごいですし、投手としても本当に速いので、本当に尊敬しています」と脱帽の様子だった。



左手でホームベースをタッチにいく冨水大和(網走桂陽)

 7回表に打ち込まれ逆転を許してしまったが、それでも17人を引っ張る選手としてのポテンシャル、野球センスの高さは十分に伝わった試合だった。

 冨水は「コントロールもまだまだですし、もっと鍛えていきたい。また守備でのミスが多くあったので、夏の大会まであと1か月しかないですが、しっかりと鍛えていきたい」と自身とチームの課題を述べた。

 投手としてのポテンシャルはまだこんなものではない。輿水監督も「暖かくなれれば、もっと球速は上がっていくと思います」とエースに期待を込めた。

 17人で夏に臨む網走桂陽。その先頭を引っ張る冨水は要注目だ。

文=河嶋 宗一

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