目次

[1]今まで戦ったチームの中でダントツの強さだった日大三
[2]決勝の特別な雰囲気を満喫していた
[3]高校野球で野球人生を終えた理由

 2010年に甲子園春夏連覇を達成した興南の不動の1番バッターとしてチームを牽引した国吉 大陸氏。強豪校を次々と撃破して紫紺の優勝旗を手にした選抜は、全試合でヒットを放っての打率3割6分という好成績だけでなく、要所でチームに勢いを与える活躍を見せた。後編ではセンバツの決勝秘話、そして高校野球について語っていただきました。

■前編&インタビュー動画「春夏連覇を達成した甲子園を今、振り返る」

今まで戦ったチームの中でダントツの強さだった日大三

国吉 大陸さん(興南出身)

 1回表の第一打席は決勝戦の独特の雰囲気による緊張、気負いも加わってサードゴロに倒れた。

 「気持ちがちょっと強過ぎましたかね。引っかけてしまいました。相手先発の山崎 福也(現・オリックス)はほとんど調べていなかったので、どんな球かも想像できていませんでした。印象としては軽く投げている感じなんですけど、ピッと伸びてくる。低め、外角にきれいに集めてくる。沖縄にはなかなかいない、身長の高い左の技巧派でしたし、これは手こずるだろうなと思いました」

 その予感通り、好調だった打線も4回表まで無得点。その間に島袋も2回に2失点、3回にも1失点。やはり、地に足が着いていなかったのだろう。2回の2失点はエラーが絡み。満塁の場面で島袋がファーストへまさかの牽制悪送球。ボールが転々とする間に二者が生還したものだった。

 「高校3年間で戦ったチームの中でダントツで強いチームでした。その後、プロに行った選手も多いですし、大学で活躍でした選手もたくさんいる。すごいチームでしたね。ピッチャーは島袋が日本一と言えるくらいのピッチャーでしたが、打線は1人、1人の能力を比べたら勝てないという感じでした。チームとしての総合力も日大三が上だったと思います」

 平常心を失っていた興南ナインが自分たちの姿を取り戻すきっかけとなったのは5回表の1点だった。

 「悪い形で始まって、ずっと押され気味。決勝といういつもとは違う雰囲気もあって、いつの間にか5回くらいになっていました。正直、焦っていたと思います。でも、普段は厳しい監督も甲子園ではいつも自分たちを落ち着かせるような言葉をかけてくれるんです。

 このときも『大きいのはいらない。1点を取るためにいつも通りのセンター中心に繋ぐ野球をしろ』という感じでした。5回、二死満塁で私に回ってきて、レフトへのタイムリーヒットで1点返せたんですが、チームがガッと盛り上がった。これで逆転モードに入ったと感じました。

 その後はだいぶ落ち着いて試合を運んでいけたと思います。興南のアルプスとかも、『ハイサイおじさん』とか、応援で火をつけてくれて6回に4点取って逆転。その裏に私のミスもあってすぐ追いつかれましたが、ここからは技術というより、どっちが勝ちたいという気持ちが強いかという試合だったと思います。

 みんな、それまでの何試合とは目つきが違っていました。島袋もそのあたりからギアを上げていった感じがしました。山崎もピッチングがまとまってきて、甲子園の流れというか、0が入り出すとずっと続いたりするんですけど、そういう雰囲気がありましたね。