目次

[1]試行錯誤を続ける重要性
[2]行動してはじめて研ぎ澄まされる
[3]一歩抜け出す勇気があれば、可能性を広げられる

 前編では聖澤 諒選手の走塁における考えを紹介していただいたが、その考えはまさに一流。言葉1つ1つの意味にも実感がこもっていました。後編では用具のこだわりや、聖澤選手の思考の原点に迫りました。

試行錯誤を続ける重要性

聖澤 諒選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)

 こういった自分を研ぎ澄ませた結果のオリジナル理論は、道具に対しても通じている。これも前回のインタビューで話していたが、聖澤選手は守備手袋を着けない。
「グローブは薄い生地でシュビテ(守備手袋)はしないですね。なぜかというと、キャッチした際、グローブのどの位置にボールが入っているのかを痛みの感覚で知るためです。キャッチして送球動作に入るためボールを握り替える時に、ボールがグラブの芯に入っているのか先に入っているのか、手前に入っているのかを感触で知っておけば瞬時にスムーズに判断ができますから」

 スパイクに関しては、優秀な走者に共通する「軽さ」を追求しつつ、また別のこだわりがある。
「ミズノさんのスパイクを使わせてもらっていますが、最軽量のもので。正直、スパイクを履いている感覚がないほどです。アップシューズや陸上選手が履くランニングシューズに刃が生えている感覚。そして重要なのはインソール、中敷きだと思っています。型を採って足の裏とスパイクとに間が生じないようにフィット=一体化させることで、スパイクの中で足がブレないようにするんです」

 納得のいくスパイクを履けるようになったのはここ2、3年の話。それまで幾度となく試行錯誤を繰り返してきた。
「1年の間に2、3回は担当者の方と意見交換して突き詰めていきました。特に自分に合った中敷きを探すのは高校生にとっても大事かと思います。通常の平坦なものより、オーダーとまでは言いませんが、土踏まずなど足裏の凹凸にアーチをかけてフィットさせているようなものを選んでもらえばいいのではないでしょうか」

 試行錯誤。自分を研ぎ澄ますうえで欠かせない作業だ。聖澤選手の高校球児に対する盗塁上達のアドバイスにもこの作業は出てくる。

「盗塁の上達には実戦が一番です。ただ、単に盗塁を続けるのではなく、回数を重ねながらその一つ一つを自己分析してほしいんです。自分もいろんな考えをしている中、100%納得のいく盗塁なんて、年に数回しかできません。リラックスしていたつもりでもスタートで力んで身体が浮いたとか、遠目からスライディングしてセーフのタイミングがアウトになったとか。セーフでもアウトでも結果関係なく、今のは何がよくて何が悪かったのか分析することを続けていくことが大切です」

 聖澤選手はこの分析を、盗塁が終わった瞬間に行うという。
「最初はメモしてもいいでしょう。自分は頭の中にインプットして盗塁が終わった瞬間に分析してます。成功したら塁上で、アウトになったらベンチに戻りながら。アウトになった時は、“今のケースはこうしたらセーフになっていた”という走りを頭の中で再現して成功させてからベンチに戻る。“次はこうすればいいんだ”という結論を得られれば、例えアウトになった盗塁も、それは失敗ではなく成功になると考えています」

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