昨年、阪神ドラフト4位の町田 隼乙捕手(光明相模原)をはじめ、5選手がNPB入りを果たしたルートインBCリーグ。独立リーグ全体を見ても23年に過去最多となる23選手、24年は16選手でそのうち支配下指名が7選手と年々需要が高まっている。

 20日には日本ハム2軍とルートインBCリーグ選抜との交流試合が行われた。この日は2番にアリエル・マルティネス捕手、3番に田宮 裕涼捕手(成田)と、一軍経験豊富な選手が名を連ねた。NPB入りへ絶好のアピールの場となったが、目立っていたのが2安打4打点の信濃グランセローズ日下部 由伸内野手(羽黒富士大)と、9回に登板して1回無失点の神奈川フューチャードリームス冨重 英二郎投手(東海大相模国際武道大ーバイタルネット)だ。今年で24歳を迎える両選手のドラフト指名にかける思いに迫った。

走攻守でレベルの高さ見せつけた万能型遊撃手

△守備練習でも軽快な動きを見せていた日下部選手

 BCリーグ選抜の野手は、左翼で好守備を見せた埼玉武蔵ヒートベアーズ大城 龍馬外野手(日大三創価大)、快足を飛ばして盗塁も決めた桃次郎内野手(盛岡大付―白鷗大)ら、持ち味を発揮した選手が多かった。その中でも攻守で身体能力の高さを発揮したのが日下部だ。

 一打席目、早速打撃でアピールに成功することとなる。7球目を思い切りの良いスイングで引っ張ると、打球はぐんと伸びてライトへの二塁打となった。2打席目も外野へ強い打球を放ち、3打席目には犠飛で打点を記録。4打席目には「信濃の柳澤(裕一)監督から『大事な場面で打てるバッターがいい選手』と言われている」と二死満塁から甘く入った2球目を捉え、走者一掃となる三点適時二塁打で一点差まで追い上げた。

 打撃だけでなく、守備でも軽快な動きを見せる。初回に坂口 樂内野手(岐阜第一)の打球が飛ぶとすぐさま正面に入り、セカンドへの正確な送球で併殺打にとった。さらには5回にも三遊間の深い打球を自慢の強肩でアウトにした。「三遊間の打球は一番の見せ場。アウトに出来るかどうかで評価が変わってくる」と練習を積んだ成果をここ一番で発揮した。

 日下部は、昨年もBCリーグの選抜メンバーに選ばれていたが、ドラフト会議で名前が呼ばれることはなかった。一方、昨年阪神に指名された町田や茨城アストロプラネッツから育成3位でソフトバンクに入団した大友 宗捕手(鳥羽帝京大日本通運)ら、NPB入りを先に叶えた選手も。小さなころからNPBでのプレーを目標にしてきた日下部にとって彼らの存在は大きな刺激になったという。

「去年は選抜メンバーとして交流試合で結果が残せませんでした。なかには同じメンバーでNPBにいった選手がいるので、『次は自分が絶対にいってやる』という気持ちでこの冬から臨んできました」

 悲願達成に向けオフは体作りに時間を割いた。「一年間独立リーグを経験して一番感じたのが体の大きさでした」と冬場のウェイトトレーニングで10キロの増量に成功。特に下半身の強化に取り組み「去年は足がつることもありましたけど、今年は体力がつきました。守備でも安定感が増しましたし、以前より疲れも減りました」と効果を実感している。

「独立リーグはプロに行ける幅が広がる」と信濃入りを決断し、2年目にかける思いは誰よりも強い。「自分は総合力で勝負したい。脚、打撃、守備全てで圧倒したい」と全てでレベルアップを誓った冬から順調に成長を重ねている。リーグでも打率.348と好成績を残しており、まずは打撃で好調を維持できるかが指名のカギを握りそうだ。

社会人を辞め独立の道選んだ本格派左腕

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