Column

読書をすると、野球に必要な力が身につくお話し

2013.11.22

遠藤友彦の人間力!

 「今の若い人たちは読書をしなくなった…」世の中でよく言われているフレーズです。高校野球でも読書を取り入れているチームはたくさんあります。しかしながら、大抵の野球選手は読書が苦手で、指導者に言われて嫌々読んでいる選手も多いと思います。

 

私も数冊の本を出版していますが、代表的なのは「考える野球」「準備力」です。また全国の野球選手が「考える野球ノート」を持っていますが、野球ノートに書かれている内容は必見です。

 

私も選手には読書をすすめます。野球選手に必要な力が身に付くという理由と、その他の相乗効果があるのですすめます。

毎日15分の読書で、なんと年間52冊の本が読める!

  「何を読むのか」が重要だと思いますが、私がすすめるのは「実際にあったお話」が書いてある本です。野球選手本人が自分の半生を書いた本とか、他のスポーツアスリートが書いている本は大きく心を揺さぶります。

 サッカー日本代表の長谷部誠選手の「心を整える。」という本は個人的に大好きです。長谷部選手のやってきたことを真似することはできませんが、考え方やスピリットは真似ることは可能です。
 

どんなに成功した選手でも、必ず現役時代の中で浮き沈みがあります。怪我を克服したことだったり、スランプを脱出したことなど自分と照らし合わせて読めば何かのヒントになると思います。

 逆に理想論だけを書いている本や、技術力だけ書いているテクニック本などは、参考にならないものばかりです。中には良い本もありますが、「それはあなたにしかできないよね」って本もたくさんあるのです。時間は有限です。自分とって有益な本を選ぶことは大事なのです。

 目的を持って読むということが重要ですが、闇雲に次から次へと読むのは高校生であれば現実的じゃありません。実際には家に戻ってからの予習復習の勉強や、野球の自主練習もあります。読書をする時間は、登下校のときや就寝前の時間しかないと思います。この短時間をいかに有効に使うとなると、明確な目的意識がないと続きません。

 読書をするとどんな力が身につくのか・・

 エントモイズムの筆頭は「考える野球」です。単純に感覚や反応だけに頼って野球をすれば、成果の限界があります。頭の整理をしつつ考えながらやることで、今まで以上の成果が望めます。読書を通じて「考える力」を身につけるのです。考える力があれば監督の言葉をより理解することもできるし、状況判断なども鋭くなっていきます。

 

 「今よりも数段上の成果」を考えると、考える力は絶対に必要なのです。

 毎日、ちょっとずつでも読書を続けることで「我慢強さ」「粘り強さ」が生まれます。最初は嫌々でも継続することで自分の心の中で何かが変化していきます。継続していくと知らないうちに【自信】が芽生えます。毎日コツコツと続けることで、自然と身につく力があるのです。

  読書を長続きさせるためには、読む時間を決めることです。「そのうち」という考え方や、「時間があるときに」と思えば読むことが難しくなります。一日の中のリズムに、あらかじめ読書タイムを埋め込むことが継続の秘訣です。

 最低でも15分は確保したいところです。読む本にもよりますが、300ページほどの本であれば、15分で42ページくらい読み進めることができます。1冊読むのに7日(一週間)程度かかる計算になります。これを毎日続けるとすると300ページ弱の本は、一年間に52冊程度読むことが可能になります。

 毎日15分の読書で、な、なんと年間52冊が読めることになるのです!

 

[page_break本を読むことでコミュニケーション能力もUP!!]

本を読むことでコミュニケーション能力もUP!!

 色々な本を読むことも良いと思いますが、私の考え方は「良書は何度も繰り返し読む」です。これと思った本に関しては、私は最低でも五回読むことにしています。個人差はありますが、五回繰り返して読めば本の内容は「使える」段階まで理解しているはずです。

 

一ヶ月に約4週あるので、一ヶ月に一冊をじっくり読むのもよいかもしれません。一年では12冊の本が、じっくりと読める計算になります。

 

自分の貴重な時間を使って読むのですから、数日後、「どんな内容だっけ」という読み方ではもったいない。自分の人生にプラスとなる読み方を、どうせなら選択したほうがいいと思います。

 

エントモコラムを読んでもうお分かりだと思いますが、野球で成果を出そうと考えるのならば、色々な角度で自分を高めるという努力をしなければいけません。

 

読書をするときに「静寂」を意識する必要があります。周囲がざわついた環境であれば集中することができません。外出先では静寂をコントロールすることは難しいですが、自宅での読書のときには静かな環境で読むとよいでしょう。勉強もそうですが、環境によってインプットされる量も変わってきます。

 本を読むということは国語力もアップしていきます。人間は基本的に言葉によって意思疎通をするので、仲間同士のコミュニケーション能力も上がります。野球チームはチームメイトの絆が太くなければ勝つことは難しいのです。

 

読解力(目の前のことを読み解く力)
 
考える力(先読みしながら今をどうするのかを整理する力)
 
観察力(周囲の状況を敏感に察知する力)
 
集中力(目前のやるべきことに意識を定める力)
 
コミュニケーション能力(仲間同士の絆を深めていく力)

 

野球で活躍するためには、たくさんの力がないといけないのです。野球の技術練習を全力でやるのは当たり前で、「+α」をいかに自分の意思でやっていくかが成果への道です。読書は+αの筆頭で、毎日コツコツと読むことで時間の経過とともに素晴らしい力がついているのです。

「では、マンガはどうですか・・」

 

こんな質問をしたい人もいることでしょう。絵を見ると考えなくても(想像しなくても)イメージできます。簡単に状況が浮かぶようなものは、分かりやすいようで「様々な力」が自分のものになりにくいのです。よって、文字だけで「考える」という状態のほうが様々な力は身に付きます。

[page_break日本人という生き方&ドラッガーの『思考論』はオススメの一冊!]

日本人という生き方&ドラッガーの『思考論』はオススメの一冊!

 

高校野球選手が読む本で一番いいと思うのは、自分の心のコップが上向きになる本です。

 

日本人という生き方(著者・小田島裕一)出版エイチエス株式会社

 

アフリカウガンダという国で、野球を中高生に指導していた小田島さん。適当だったウガンダ野球選手に「時を守り、場を清め、礼を正す(三原則)」を伝えて、高校野球チームがウガンダ国代表チームに勝利していく話。最終的には、国際交流で北海道に来て日本ハムJrの選手たちと[stadium]札幌ドーム[/stadium]で親善試合。奇跡の同点引き分けをした。当たり前の実践が、結果的に野球をうまくして勝てるようになっていった実話。

準備力(著・遠藤友彦)

 

準備力(著者・遠藤友彦)出版・エイチエス株式会社

 

何をしてもうまくいく状態(ZONE)、スポーツ選手であれば最終的にいかにZONEに入っていくかを考えないといけない。準備なき者が出す良き結果は、偶然でしかない。しっかりとした準備をする選手に、数々のラッキーが舞い込んだり、思い描くような成果も結果的に得られるようになる。では、その準備の仕方とは・・準備の考え方、準備の方法がすべて分かるエントモ渾身の一冊。

 

選手であれば、この2冊はおすすめ。何度も読んだほうがいい本で、ある学校では朝読書での課題図書にも選ばれている。

 

実践するドラッカー「思考編」(著者・佐藤等)出版・ダイヤモンド社

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(もしドラ)が爆発的なヒットをしたが、ドラッカーイズムをわかりやすく学べる一冊。指導者が読むと様々なヒントがあり、野球とはまったく別次元の話だが野球で成果を上げるために必要な「強みを生かす」方法が書かれている。

 指導者に特におすすめの一冊。何万冊も売れているベストセラーで、野球関係者も読んでおり、チーム作りに取り入れている指導者も多いと聞きます。

 

興味ある人は購入し、何度も繰り返し読んで欲しいと思います。良書との出会いは、人との出会いに匹敵するとも言われています。これを機会に、自分を高めるための【毎日読書】に挑戦してみませんか?

(文=遠藤友彦

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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