元祖プロコーチが教える育てる技術 ジョン・ウッデン、スティーブ・ジェイミソン著
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書評
米国大学バスケット史上最高のコーチといわれるジョン・ウッデン氏の著書。人を育てること、チームを育てること、そして長年かけて築き上げた「成功のピラミッド」について、彼の哲学・信念が語られています。これはバスケットボールというスポーツのみならず、野球をはじめとするあらゆるスポーツに共通することが多くあるのではないかと思います。
一番驚いたのは、冒頭に紹介されているウッデンコーチの「成果ではなくプロセスに集中する」という話。私たちはどうしても目に見える結果にとらわれがちですが、それよりもそこに至るまでの過程が大切だということ。
『(ウッデンコーチは)チームに対して「勝つ」という言葉を一度も使わなかったことだ。「相手チームを打ち負かせ」とか「勝利を収めろ」という指導をまったくしなかったのである。(中略)試合の日が迫っても対戦チームの名前を教えなかったという」(P9より引用)
勝つことがすべてではないとわかっていても、「勝つ」という言葉を使わずに勝つなんて、どんなマジックを使ったんだ!?とビックリ。そしてそのマジックは本文の中でさまざまな考え方、言葉となってあらわれます。
「なれる最高の自分になるために質の高い努力をしていたかどうか」
そして自分が最善の努力をしたかどうかを知っているのは、この地球上にひとりしかいない(P82)のです。
スポーツをする上で大切なこと、考え方、行動することなど、直接ウッデンコーチから指導を受けることはできなくても、こうして書籍として後世に伝えてもらえることは本当にラッキーですよね。「成功のピラミッド」については14年もの歳月をかけてようやくたどりついたものだと本の中で述べられています。ウッデンコーチの言葉一つ一つに背筋がピンと伸びる思いのする一冊です。
(書評:西村典子)