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花巻東、東海大相模、日大三など 甲子園クラスの実力者が大学準硬式で大暴れ

2022.07.14

 全日本大学準硬式野球選手権大会への出場もかかる関東地区最大の大会、第64回関東地区大学準硬式野球選手権大会は中央大の優勝で幕を下ろした。今回は、大会で著しく活躍した選手たちを紹介したい。

ベスト4の各校に逸材が揃う

花巻東、東海大相模、日大三など 甲子園クラスの実力者が大学準硬式で大暴れ | 高校野球ドットコム
優勝した中央大

 優勝校である中央大学のキーマンとなったのは伴野匠(4年・東海大菅生)と中森至(3年・花巻東)の2人だろう。
 外野の間を抜く打撃スタイルで大会通算打率.500、チーム最多6打点をマークした伴野。普段はクールな性格だというが、闘志あふれるプレーでチームをけん引した大会を振り返って、「チームメイトが作ってくれたチャンスを決め切ることができたと思う。中軸として打点を稼ぐことができて良かった」と話す。

 対して中森は高校時代に甲子園にも出場した逸材。2番バッターとして2つの犠打を記録して繋ぎの役割を果たすだけでなく、チャンスでは積極的な攻撃でランナーを返すなど状況に応じた打撃で、伴野と同じく大会通算打率.500をマークして中央大学の優勝に大きく貢献した。

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国士舘大・高地洋輔は準優勝に大きく貢献した

 そんな中央大学と白熱した試合を繰り広げた国士舘大学は、中央大学と同様東都1部リーグに所属している。あと一歩及ばず惜しくも準優勝となったが、レベルの高さを見せつけた。

 中でもピッチャーの高地洋輔(4年・山形中央)は、国士舘大学のエースとして負けられない試合で先発し、その試合を完投することでチームの勝利に大きく貢献した。精度の高いストレートと変化球をコースに投げ分ける。

 高地と共に二枚看板を背負った駒崎友哉(2年・国士舘)も注目の選手だ。テンポの良い投球に変化球を織り交ぜ、先発として試合を作り、攻撃に流れを持ってくる投球を見せた。

 そんな2人を支え、導く役割を果たしたキャッチャー、萩原晃太(3年・日大三)は、試合を作り、高地・駒崎それぞれの良さを活かしたリードを見せた。

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死闘となった3位決定戦を制した法政大

 3位となった法政大学は、上級生はもちろんだが、下級生がかなり力をつけている。
 まずは昨年度の第39回全日本大学9ブロック対抗準硬式野球大会に関東代表として選出された古川端晴輝(2年・花巻東)の名が挙がるだろう。

 1年生の頃からリリーフエースとして活躍している期待の選手。ピンチでの登板が多い中、持ち前の制球力と気迫でしっかりと抑え、今大会でも、チーム最多4試合に登板し大事な終盤を完璧に抑えるピッチングでチームに貢献した。

 また、エース格として試合を組み立てた藤中壮太(2年・鳴門)。多彩な変化球と速球を使い分け、長いイニングも投げることができる。今大会でも球威のあるストレートでコーナーを突くコントロールで、大会通算防御率0.86の安定した成績で相手打線を沈黙させた。

 法政大学に悔しくも3位決定戦で3対2のサヨナラ負けを喫し、3位を逃した東海大学。このチームにも目が離せない選手がいる。
 2番バッターだが、東洋大戦で本塁打を放つなど、長打を放てる髙部翔太(4年・東海大相模) 、打線の主軸でも活躍し、ピッチャーとの二刀流を努める青柳玖馬(4年・東海大相模)の両選手が最上級生としてチームを引っ張った。

 キャプテンとしてチームをまとめる東海新(3年・平塚学園)は、守備の要としてチームを支えた。

 注目の投手、稲野辺元太(2年・東海大相模)は湘南ボーイズ、東海大相模と経歴と経験を積んできた実力者。上手くコースを突きながらバッターに向かって投げていく。関東地区大会では3試合で先発マウンドを託されるなど東海大学の絶対的エース。2年生ながらエースとして活躍しており、今後が楽しみだ。

[page_break:慶應の149キロ右腕など大学準硬式のレベルは高い]

慶應の149キロ右腕など大学準硬式のレベルは高い

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最速149キロ右腕・日比谷元樹

 惜しくも4強入りを逃した日本大学は、新戦力の活躍ぶりが目立った。

 昨年から1年生ながらに主力として活躍している半田陸人(2年・佐野日大)は、今大会の首位打者として打率.667を記録。チームに大きく貢献した。強いスイングで狙い球を逃さない打撃が魅力で、守備では野球勘を活かす外野の司令塔だ。

 半田は、「関東選手権のベスト4に同じ東都1部の大学が3校入っている。リーグ戦では必ず勝ちたい」とリーグ戦でのリベンジに燃え、国士舘大からは2勝、東海大からも1勝を掴み、リベンジには成功している。

 また、チームで最も活発な動きを見せる山本創也(2年・桜美林)が今大会で実力を露わにした。
 チームメイトからは「近くにバットがあるとすぐに振ったり、とにかく活発です」と語るほど、活動的な一面があるという。プライベートではK-POPも大好きだというが、グラウンドに立てば活発さと体のバネを活かし守備では好プレーを連発。打撃面では、内野の間を抜く打球を高確率で打てるアベレージヒッターを目指し、大会通算打率.417をマークした。

 今大会では優勝を目指すも16強止まりとなり、悔しい思いをした慶應義塾大学だが、日比谷元樹(3年・慶應義塾)の活躍は著しかった。
 魅力は何と言っても最速149km/hのストレートだろう。ミットに突き刺さる快速球で、昨秋のリーグ戦でも6勝をあげてチームの優勝に大きく貢献。リーグ戦では奪三振数リーグトップの成績を残している。野球が大好きで向上心が人一倍あり、後輩の指導なども積極的に行っているという。

 日比谷をはじめ投手陣の奮起に期待だが、野手では走攻守全て一級品のプレーヤーである吉野智喜(2年・慶應義塾)からも目が離せない。
 準硬式の歴史に残るレベルの走力に加え、その走力を活かした広大な守備範囲、強肩、さらには恐ろしいほど速いスイングスピードから放たれる長打など、野球における全ての能力を持っている。

 そんな吉野はドがつくほど真面目で、自分に厳しくストイックに練習に取り組んでいるというが、ツンデレな部分があるところも彼の良さであるとのこと。これからの2年間で関東地区を代表する選手へ成長することを楽しみにしたい。

 東洋大学は東都3部リーグに所属しているものの、大会では大躍進となる8強入りを果たした。この結果に大きく貢献したのが本多駿亮(4年・沼田)と黒岩真人(3年・都立板橋)だ。

 本多は、チーム唯一の4年生としてメンタル面でチームを支える。チャンスに強く、コンタクト力も高い、長打力も兼ね備えた打者。今大会初戦での2本塁打、4試合で計7安打を記録し、4年生としての背中を見せた。

 黒岩は緩急のついた投球で打者を翻弄。打たせてとるピッチングが持ち味だ。4戦中3戦を登板し、13奪三振を記録。4回戦では立教大学を相手に、5回2安打1失点で抑えチームの勝利に貢献した。

 東洋大学は昨秋のリーグ戦で3部に降格したが、今春は2部昇格を目指す。今後の両選手の活躍が楽しみだ。

 第64回関東地区大学準硬式野球選手権大会は中央大学が優勝を飾り、第73回全日本大学準硬式野球選手権大会への出場が決定した。それに続き、6月の予選会では法政大、国士舘大、日本大が出場決定。さらに関東大会では結果を残せなかった神奈川大、帝京大も予選を勝ち抜いて全国大会の切符を掴み取った。

 全国大会、はたまた秋季リーグ戦と、各チームで目指す目標はバラバラだが、夏場の厳しい鍛錬の末に、さらに準硬式界を盛り上げてくれることを期待したい。

(文=今井瑠菜/構成=編集部)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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