上原浩治、鈴木誠也、平石洋介「野球、辞めようかな」と思ったとき踏みとどまれた理由

　対外試合解禁まで厳しい練習が続く。「もう辞めたい」と思うこともあるはずだ。

　メジャー行きを模索する侍ジャパンの4番・鈴木誠也は中学時代にそんな思いをした、と「オンラインBASEBALL PARK」（※）内での上原浩治、平石洋介との鼎談で明かしている。

（※）「オンラインBASEBALL PARK」
平石洋介、鈴木誠也、長崎望未、BODYUPDATIONが「野球上達のコツ」や秘話を毎月配信する。

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平石洋介さん

　ヤンチャだった鈴木の中学時代は、ちょうどKー1ブーム。その強さに憧れて格闘家への転身を考えた。幼い頃から二人三脚で毎日のように野球の特訓に付き合ってくれた父・宗人さんにそのことを告げると、「別にいいよ」と意外な答えが返ってくる。しかし、母親の反応を聞いた瞬間、鈴木誠也選手の気持ちが大きく揺らいだ――。

　果たしてそのやり取りとは？　

　他にも、上原浩治、平石洋介も「辞めようと思った瞬間」について語る、その一部を抜粋し紹介する。

――スポーツをやっている子どもたちからいろんな質問をいただいています。1つ目は「これまで野球を嫌いになったことはあるんですか？」という質問です。平石さんからいかがでしょうか。

平石洋介（以下平石）：僕は何回もありますよ。一番は高校の時肩を痛めて手術した時は本当に辞めたいと思ったし。あと、大学のときにスカウトの目を気にしている自分に気づいて……いろいろ親切に言ってくださるスカウトがいるじゃないですか。もうちょい「こうしたほうがええ」とか「身体を大きくせい」とか。（その指導に）あまり納得していなくても、プロに行きたい自分がいるから……全然、面白くなかったですね。

――野球を楽しんでいる感じではなくて、スカウトのために野球をやっているみたいな感覚だった。

平石：スカウトの方に「こうしたほうがええ」とか、聞いてもないのに言われると……「そうか、こうせなあかんのか」「ああせなあかんのか」って当時は思っていたんですけど……。ふとしたときに、「なんで俺こんなことを気にしながらやっているんやろか？」って思いましたね。あと大人の世界を見たときとかも辞めたくなりましたね（笑）。

――大人の世界。

平石：プロアマ問わずありましたね。いろんな人が絡んで……どの世界でもそうなんでしょうけど（笑）。嫌やなーこの世界嫌やなーって思った時期もありましたね。

――それでも辞めなかった理由は。

平石：好きだからじゃないですか。「好きで始めた野球」だったというのが一番ですかね。

――鈴木誠也さんは、野球を嫌いになられたご経験は？

鈴木誠也（以下鈴木）：「嫌い」はないですけど、辞めたいと思った時期は中学のときにありました。やんちゃしていた時期があったというか、遊びたい時期で。野球の練習より、「格闘技をやりたい」って思っていて。なんでかわからないんですけど（笑）。

――なんか強そうですね（笑）。

鈴木：いやいや（笑）。たまたまK-1が流行っていたんで、「やりたいな」って思っていて。実際に「辞めたい」という相談はしたんですけど、親父は「辞めていいよ」と。ただ、母親は（辞めるという話を聞いて）涙を流したっていうのを伝え聞いて……もう一度頑張ろうって思って。そこからは思ったことはないですね。

――一度もですか？

鈴木：はい、そうですね。その時期は家庭的にもけっこう苦しい時期もあって。わがままを言える状況でもなくて。道具にしてもお金がかかる。そういうのもあって、辞めたほうがいいんじゃないかなって思ったりもしていたんですけど、母親の（涙の）話を聞いたときに、逆に頑張って少しでも楽にさせられたらなって思って。そこからはほとんど思ったことはないですね。

――いい話ですね。

鈴木：ずっと好きで、いざ遊ぶのも野球しかなかったぐらいの子どもだったんで、多分ショックだったのかな、……わかんないですけど。もしかしたら親父に嘘をつかれているかもしれないですけど（笑）。

上原・平石・鈴木（一同笑）

対談をされる上原浩治さん、鈴木誠也さん、平石洋介さん

――上原さんはいかがでしたか？

上原浩治（以下上原）：僕は高校のときですね。辞めたいって思ったのは。僕らのときは上下関係が厳しかったですし、それが嫌だったんで。それが嫌で辞めたいなって思っていました。
プロに入る前にはそれこそ「大人の事情」があったんで、実際、本当に監督に野球辞めますって言いましたね。

――そうだったんですね。

上原：僕の知らないところで知らないことが決まったりしていたので。僕としては純粋に野球がしたいだけなのに、大人がやりあっているというか。本当にそういうのは見たくなかったし、知りたくなかったから「俺が野球を辞めればそういうことも全部なくなる」と思って、大学の監督に「プロはもういいです、もう野球辞めます」と言いましたね。

――監督にはどう説得されたんですか？

上原：うーん、話し合いはもちろんしましたけど。「本当にそれでいいんか？」ってなったときに、自分はね、野球が好きだということをあらためて思った。

――今のこのお子さんの質問でいうと、みなさんはやっぱり最後は「好きだ」という気持ちとか、誰かのためにやっているというモチベーションというのを、もう一度探してみるっていのはやっぱり大事なのかもしれませんね。

上原：探してみるっていうか「自問自答」したほうがいいと思う。本当に今、自分がやっている競技が好きなのか。好きだったら長くできると思います。

――野球が好きかどうか、ですね。いま辞めたい理由が、チームとか指導者とかであれば、別に野球まで辞める必要はないということですよね。

平石・上原・鈴木：本当にそうですね。

「オンラインBASEBALL PARK」YouTubeチャンネル『上原浩治、平石洋介、鈴木誠也「野球、嫌いになったことある？」に全員答えは……』（2022年1月14日配信）から抜粋。

▼上原浩治、平石洋介、鈴木誠也「野球、嫌いになったことある？」に全員答えは……