カーター・スチュワート・ジュニア(福岡ソフトバンクホークス/投手)無限大の将来性を持ってフロリダからやってきた「若鷹右腕」
令和という新しき元号を迎えた2019年のプロ野球で、高卒2年目・1999年度生まれの選手たちが躍動している。36本塁打で10代本塁打数記録を塗り替え、中西 太さん(元:西鉄ライオンズ)が出した高卒2年目本塁打記録に肩を並べた村上 宗隆(東京ヤクルトスワローズ・一塁手兼三塁手)を筆頭に、外国人選手1名を含む支配下登録選手34名(セ・リーグ17名、パ・リーグ17名)中、21名(セ・リーグ11名、パ・リーグ10名)が早くも一軍の舞台を踏み、それぞれの舞台で活躍を続けている。
そこで、今回はその中で特に将来が期待できる選手を何人か取り上げていきたい。第6回では1999年度組で唯一の外国人、今季福岡ソフトバンクホークスに入団したカーター・スチュアート・ジュニア投手を紹介します。
第1回はこちらから
◆平良 海馬(埼玉西武ライオンズ・投手) 最速156キロの原動力は八重山商工時代の猛練習
第2回はこちらから
◆清水 達也(中日ドラゴンズ・投手) 聖地の頂点糧に、今度はナゴヤドームで頂点へ
第3回はこちらから
◆西浦 颯大(オリックス・バファローズ/右翼手) 「不完全燃焼」だった明徳義塾時代を糧に
第4回はこちらから
◆櫻井周斗(横浜DeNAベイスターズ) 清宮を封じた若き剛腕 左腕王国のリリーフエースへ
第5回はこちらから
◆強竜復権へ!竜の黄金世代の小さな巨人・山本拓実(中日ドラゴンズ)
第6回はこちらから
◆ファーム2冠で2020年飛躍の助走へ 安田 尚憲(千葉ロッテマリーンズ)
「MLBドラフト1位」の豪腕、若鷹軍団の一員に
カーター・スチュアート・ジュニア投手
2019年5月25日、世界の球界に衝撃が走った。福岡ソフトバンクホークスは、東フロリダ州立大1年・最速157キロ右腕のカーター・スチュアート・ジュニア投手入団を発表。驚きだったのは彼がまだ19歳であることと、オー・ガーリー・ハイスクールに在籍していた昨年、MLBアトランタ・ブレーブスからドラフト1位指名(全体8位指名)を受けていた全米期待の星だったことである。
昨年は身体検査と条件面の不具合により契約を見送り、改めて今年6月のMLBドラフト会議を待つと思われた中での急展開。ただ、近年は三軍制の確立に続き、左腕中継ぎの一員として定着しつつあるリバン・モイネロ投手(23歳)、今季支配下登録選手となりNPB初安打も放ったオスカー・コラス外野手(21歳)といったキューバ共和国出身選手の育成にも着手していた福岡ソフトバンクホークスにとって、次なる育成のカテゴリーを野球の本場・アメリカに求めたのはむしろ自然の流れだったといえよう。
こうして日本でプロでの初キャリアをスタートさせることを選択したスチュアート投手は6月に来日、「若鷹軍団」 の一員となった。
[page_break:三軍登板でも垣間見える将来性、数年後には鷹のエースへ]三軍登板でも垣間見える将来性、数年後には鷹のエースへ
カーター・スチュアート・ジュニア投手
「若鷹軍団」 の一員となったカーター・スチュアート・ジュニア投手。1年目のシーズンは7月9日の三菱自動車九州とのプロアマ交流戦を皮切りにすべて三軍戦で登板。8月以降は主に先発で計10試合に登板し43回3分の1を投げ4勝3敗、被安打41・与四死球28・奪三振48で防御率4.36と、制球力と防御率に課題を残す一方で、奪三振率の高さが目に付く。
実際、8月10日にレクザムボールパーク丸亀で行われた四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズ戦での投球を見ていても、スリークォーター気味のリリースから弾き出されるストレートは150キロを軽々と超え、130キロ中盤のカッター系スライダーの威力も十分。まだ日本のマウンド形状に慣れずフォームや制球を乱す場面も多々見られたが、「意外と器用です」と球団関係者が話すように、クイックタイムも1.1秒と一軍で投げられる水準に達している。将来性は無限大といっても過言ではない。
となれば、あとは日本野球に慣れるのみ。日本球界スタートのため実は新人王資格も有するカーター・スチュアート・ジュニア投手。このまま順調にいけば数年後、鷹のエースばかりでなくNPB史上はじめて新人王に「オールカタカナ」が刻まれることになるだろう。