第65回 小関順二の甲子園総括コラム(野手編)2013年08月27日

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【目次】
[1] 攻守に光った2人の強肩捕手!
[2] 小関順二が選ぶ甲子園ベストナイン
[3] 今大会に登場したドラフト候補一覧【野手編】

小関順二の甲子園総括コラム(投手編)


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攻守に光った2人の強肩捕手!

今大会に出場したドラフト候補一覧【野手編】はこちらから!

 前橋育英の優勝で幕を閉じた選手権大会、個人で目立ったのは誰か、改めて振り返ってみよう。捕手では強肩の目安になる二塁送球タイム2秒未満の選手が16人いた。その中で攻守のバランスが取れていたのが森 友哉大阪桐蔭)と内田 靖人常総学院)の2人だ。彼らの主な二塁送球タイムを見ていこう(*印は実戦、無印はイニング間)。

森友哉選手(大阪桐蔭)

名前二塁送球タイム
森 友哉*1.86秒(8/8 日本文理戦)

*1.96秒(8/14 日川戦)

1.98秒(8/17 明徳義塾戦)
内田 靖人1.90秒(8/15 仙台育英戦)

*1.96秒(8/15 仙台育英戦)

 この中で強く魅かれたのは森だ。二塁へのスローイングは選抜のときからイニング間で手を抜くようになり、その物足りなさは今大会もあったが、いざというときに見せる肩の強さは高校ナンバーワン捕手の評判に違わず抜群。日本文理戦の1.86秒は二塁へのけん制、日川戦の1.96秒は二盗こそ許したが実戦で計測したものだ。イニング間で手を抜いても実戦での強さは他を圧していた。

 内田は仙台育英戦でこんなことがあった。4回表に入る前のイニング間で座ったまま二塁へ送球し、そのときのタイムが1.99秒を計測したのだ。2秒を切れば強肩と言われるが、なおかつ低めに糸を引くような球筋で、コントロールも定まっていた。5回表の二死一、二塁の場面ではやはり座ったまま二塁けん制を試み、補殺こそできなかったが私のストップウォッチは1.96秒を表示した。森に匹敵する強肩と言っていい。

 

 2人を比較してそれでも森を上位にしたのは、野村 克也氏(前楽天監督)がよく言うように、捕手は“縁の下の力持ち”的なキャラクターのほうが成功するケースが多いからだ。プロでもやらない“座ったままのスローイング”は、投手を縁の下で支えようという精神とは真逆。その部分を見て、森のほうが捕手として上位の資質と考えた。

 内野手全般では遊撃手に好選手が多かった。表では内野手22人中、半分の11人が遊撃手である。「日本では好素材は投手に、アメリカでは遊撃手に集中する」というが、近年日本でも遊撃に好素材の選手が集中している。この11人の中ではとくに熊谷 敬宥仙台育英)、奥村 敬宥(日大山形)、土谷 恵介前橋育英)、水谷 友生也大阪桐蔭)、今田 典志樟南)の5人がよかった。

 熊谷と奥村はフィールディングが高校生というより、東京の大学生を思わせる華やかさがあった。奥村などは普通にステップを踏んで投げてもアウトにできる打球をランニングスロー(さらにスナップ)で処理し、それが安心して見ていられた。

 水谷は春から“守備名人”の称号があり、「守りだけなら大学野球では即レギュラー」というくらいのうまさを見せていた。「守りだけなら」と注釈がつくところに打撃の非力さがうかがえるが、今大会の2回戦・日川戦では第2打席で右方向の二塁打、第4打席でセンター方向の安打を放ち、引っ張りしかできないという批判を少しだけくつがえした。

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プロフィール

小関 順二
小関 順二
  • 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
  • ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
  • ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
  • ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。 
  • 小関順二公式ブログ

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