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本命不在の今大会を勝ち抜くのはどこだ?!

2011.08.05

本命不在の今大会を勝ち抜くのはどこだ?!2011年08月05日

プロ注目選手が続々登場!好投手同士の気になる投げ合いの結果は?

本命不在の今大会を勝ち抜くのはどこだ?! | 高校野球ドットコム

【金沢・釜田】

 今年は、昨年の興南のような絶対的な優勝候補はなく、本命不在の大会。そして、先日行われた組み合わせ抽選会により、優勝旗の行方をさらに混沌とさせるものとなった。実力校同士の対決が多く、今年は例年以上に激化した大会になるかもしれない。今回は注目カードから、注目のチームや選手を紹介していきたい。

 第1日から好投手を擁する高校同士の対決が実現する。第2試合では、最速152キロ右腕・釜田佳直を擁する金沢(石川)と、サウスポー中川誠也を擁する伊勢工(三重)との対戦。釜田は選抜初戦敗退

 そのため、この夏に懸ける思いは強く、春からの成長が楽しみだ。全国初舞台の中川も甲子園で本来の実力を発揮できるかが注目される。

 第3試合はドクターK・歳内宏明を擁する聖光学院は、好投手・古市賢助を擁する日南学園と対戦が決まった。二人とも本来の実力を発揮することができれば、投手戦の可能性は高いが、昨年出場して場慣れしている歳内が有利か。

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【習志野・大野】

 第2日の第1試合は習志野静岡の対戦。春の関東大会で優勝を決めた総合力の高い習志野が全国の舞台で通用するか。そして、10年ぶりに習志野ブラスバンド集団も甲子園に登場する。第2試合は明徳義塾北海の対決だ。選抜で日大三を苦しめた明徳義塾と選抜ベスト8の北海との対戦は面白くなりそうだ。

 第3試合は花巻東帝京の対戦。花巻東は組織力の高い野球を展開するチーム。守備体系、カバーリング、走塁が見所だ。予選で肉離れのため登板が少なかった大谷翔平の復活に注目も集まる。

 帝京は主将で4番ショートの松本剛が、抜群のキャプテンシーでチーム力を押し上げた。さらに、大谷と帝京のエース伊藤拓郎とのプロ注目投手同士の投げ合いからも目が離せない。

 第3日は第2試合に登場する唐津商業の北方悠誠に注目だ。最速149キロの速球にキレのあるスライダー、落差のあるフォークをコンビネーションに三振を重ねる本格派右腕。一方で宮城県代表の古川工業。選抜出場を果たした東北に大金星を挙げる原動力となったエースの山田大貴に注目だ。

 第4試合は至学館(愛知)と東大阪大柏原(大坂)の対決も面白い。両チームともに地区大会決勝戦では、大物を喰っている。至学館愛工大名電東大阪大柏原大阪桐蔭。いずれも逆転勝利だった。強豪校にも臆しない戦い方ができるチーム同士の対決となる。また、至学館はJ-POP調の校歌が話題になっているが、甲子園でその校歌を響かせることができるか。


日大三VS日本文理など好カードが目白押し!

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【英明・松本】

 第4日目の第1試合は192センチの長身左腕・松本竜也、主砲・中内大登を擁する英明と好打者・神里和毅宮城知秀を擁する糸満との対戦だ。個々の力を見れば、英明が上回るが、糸満とすればエース松本の弱点を突いて攻略し、粘り強い戦いを展開したいところだ。

 第5日の注目はなんといっても日大三日本文理の対決といえよう。選抜ベスト4の日大三は10年ぶりの全国制覇をするべく投打ともに仕上がりを見せている様子。破壊力は際立っているだけに劣勢からでもチャンスを作れる粘り強さがほしい。そのためには吉永健太朗をはじめとした投手陣がリズムをしっかりと作ることが求められるだろう。

日本文理はすっかり全国レベルの強豪に成長した。144キロ右腕・波多野陽介、冷静なマウンド捌きが光る田村勇磨と投手陣のレベルは高い。打線は上位、下位切れ目とない打線で、走塁・守備のレベルも高く、上位進出が期待できる。それだけに、この日大三との対戦は、1回戦では最も注目を集めるカードとなった。

 第2試合は開星柳井学園の中国地方対決。開星のエース白根尚貴は投手としては186センチ98キロの馬力の大きさに加えて、多彩な変化球を織り交ぜる繊細さを持ち、打ち崩すのは難しい。打者としても高校生離れしたパワーを誇り、その投打の凄みを感じてほしい。第3試合は西武で活躍する銀仁朗二世と呼ばれる龍谷大平安高橋大樹捕手のプレーに注目だ。

 6日目は、好投手・原樹理を擁する東洋大姫路と強打者・永江恭平を中心に強力打線で打ち勝ってきた長崎海星との対決。チームカラーが対照的なチームだけに見所のある対決になりそうだ。第2試合は好投手・秋田教良。2年生4番の田村龍弘、長打力のある川上竜平を擁した光星学院が登場する。<第3試合では最速140キロ台の速球を投げる徳島商業・龍田祐貴と抜群の落差を誇るスライダーを武器に常総学院を完封した藤代鵜沢弘充との投げ合いにも注目だ。そして第4試合は、選抜準優勝の九州国際大付はタレント揃いの関西と対決する。これで関西は昨春、今春に続いて甲子園で決勝進出経験のあるチームと対戦することになる。

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【智弁学園・青山】

 7日目は、エース青山大紀を擁する智弁学園に注目。青山は奈良大会で3本塁打を放っており、打者としての能力も高い。他にもクリーンアップを打つ中道勝士の長打力にも注目だ。

 第3試合は横浜が登場する。激戦区・神奈川を勝ち抜いてきた要因は、相手の持ち味を封じめる戦術と、安定した戦力にあるだろう。制球力が光るエース柳裕也、リリーフとして活躍した相馬和磨。打者では主将の乙坂智、サヨナラ打を打った近藤健介を中心に相手を畳み掛けていく。圧倒的な力でねじ伏せる戦いというより、気付けば終始試合をリードし勝利を収めている。そんな展開に持ち込めるのがこのチームの強さだ。

 今年は各ブロックに実力校が散らばった。その中でも激戦区なのが金沢聖光学院日南学園習志野明徳義塾が集まるブロック。そして、日大三、智弁和歌山、日本文理が集まったブロックだろう。力が均衡したチーム同士の対戦では、両校ともに多くの選手を試す余裕はない。それだけに、スタミナの消耗も大きく、準々決勝まで3試合を要するのがネックとなりそうだ。ただ、激戦区に入ったチームほど、大舞台で接戦を制してきた自信が準々決勝以降は、選手たちを押し上げる原動力になることは間違いない。

 今年は、本命不在の大会であるが、「初戦を制するのが、最も難しいのが甲子園」と、これまで各校の監督たちが言葉にしてきたように、まずは初戦で勢いをつけ、さらに激戦ブロックを制したチームが、決勝まで勝ち進んでくるのではないかと予想される。

(文=編集部 )

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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