さらに強くなる東海大菅生、関東一 2021年東京の高校野球を占う!
コロナに東京五輪 先のみえない1年
来夏東京大会は準決勝から東京ドームで行われる。
東京の高校野球にとって2021年は、例年にも増して先の見通せない年になる。最大の要因は言うまでもなく、コロナである。ワクチンのニュースなども報じられているが、2021年もコロナと向かい合わざるを得ないのは間違いない。
予断を許さない状況ではあるが、春と夏の甲子園大会が2年続けて中止になることはないはずだ(と信じたい)。東京も春、夏、秋の公式戦は、開催されるものと思う。
ただ観客は球場の収容人数の何%まで認めるかは、コロナの状況次第となる。また、声を出しての応援やブラスバンドとなると、さらにハードルが高くなる。ただ高校の部活動は、実質2年数カ月。それを考えると、少しでも高校野球の日常の姿を取り戻してほしいものだ。
コロナと関連するが、東京五輪も夏の東西東京大会と時期が重なるだけに、影響が大きい。今のところ、国も都もIOC(国際オリンピック委員会)も開催の意思を明らかにしているが、世論はかなり懐疑的だ。
それでも東京の高校球界としては、開催されることを前提に動くしかない。開催されれば、神宮球場はほとんど使えないし、五輪の野球・ソフトボールの練習会場になっている大田スタジアムの使用も制限される。そうなると、東東京大会はかなりの試合を西東京大会の球場で行う必要があり、移動距離は増える。
そして、準決勝と決勝戦は東京ドームで行われる。慣れない球場での試合は、何が起こるか分からない。その点も含め、東西ともまずはベスト4に残ることが重要である。そのため春季都大会で勝ち上がり、より上位のシードを確保することは、大きな意味を持って来る。
秋の早期敗退チームも上位進出の可能性は十分
林平太郎(都立城東)、武藤闘夢(帝京)
秋季都大会の結果から、東海大菅生、桜美林、日大二、日本学園、八王子、日大鶴ヶ丘、都立日野、関東一、佼成学園、二松学舎大附、早稲田実、大森学園、創価、日大豊山、日大三、都立小山台の16校が春はシードされる。春季都大会でベスト16に入り、夏にシードされるには、この16校がターゲットになる。
いずれも実績のある強豪校だけに割って入るのは容易ではないが、下剋上も十分あり得る。この秋は準備期間が短く、完成度が低いチームが多かっただけに、ひと冬超えて、変わる可能性が多分にあるからだ。
まず注目は帝京だ。秋は2回戦で小山台にまさかのコールド負けを喫したが、潜在的な力は、東京でもトップクラス。まずは武藤 闘夢を中心に、攻撃力をどれだけ上げることができるか。修徳も1回戦で早稲田実にコールド負けを喫したが、床枝 魁斗投手を中心として、上位に食い込む力は十分ある。
また秋は1次予選で敗れたチームでも、昨秋4強の主力であったエース・林 平太郎がさらに成長している都立城東をはじめ、日体大荏原、明大中野、明星、都立片倉、都立葛飾野、都立紅葉川などが、春に躍進する可能性がある。
さらに強くなる東海大菅生、関東一
関東一 市川 祐
春上位に食い込むためにも、夏に甲子園を目指すためにも鍵となるのは、2番手以降の投手だ。
夏は決勝戦が東西同日開催になるため、東西どちらかが、準決勝、決勝と連戦になる。さらに、余裕のある日程が組まれると思うが、近年悪天候に悩まされていることを考えると、7月31日から8月2日の東京ドームの日程に合わせるため、強行日程になる可能性もある。
また春季都大会は例年、春休み期間の4月1日から8日までに3回戦を行い、4回戦以降は土日開催となる。2021年の4月は10日、11日が土日になるため、4回戦まではほぼ通しの開催になる可能性がある。球数制限があることも考えると、複数の投手がいないと勝ち抜けない。
秋季都大会は二松学舎大附が秋山 正雲、関東一が市川 祐だけしか投げていないことが気になるものの、今のところ、秋4強の東海大菅生、日大三、関東一、二松学舎大附が優位であることは間違いない。
東海大菅生は本田 峻也、鈴木 泰成の投手陣をはじめ戦力が充実しているが、春はそこに秋は故障で出場できなかった主将の榮塁唯が加わる。チーム内で競争しながら戦力を挙げている。
また関東一は、秋季都大会でエースの市川 祐が故障を抱え、遊撃手の初谷 健心が3回戦で肋骨を痛めるなど、本来の状況ではなかったが、東海大菅生と対等な試合をした。準決勝で敗れた後、米澤 貴光監督は、「夏この子たちは絶対に強くなる」と語っていた。
夏は、西東京大会は東海大菅生、東東京大会は関東一を中心とした展開になるだろう。逆にこの両校に勝てるチームを作ることが他の学校の目標になるはずだ。
いずれにしても、コロナの感染拡大が続いているが、感染予防をしっかりしたうえで、春により成長した姿をみせてほしいものだ。
(記事:大島 裕史)