毎年、140キロを超えるスピードボールを投じるピッチャーを輩出し、なおかつパワー抜群の強力打線を作り上げる帝京高校。
 前田三夫監督のもと、選手はどんな練習、トレーニングに汗を流してスピードとパワーを身につけているのか。オフシーズンの取り組みから見えてきた強豪高校であり続けられる背景にあるものとは。

持久力と瞬発力、両方を持ち合わせた筋肉を作るということが理想

 一般的に冬場は体力強化に充てる期間とされるが、前田監督もその捉え方には相違はない。

▲タイヤを引きながらバック走

「生徒たちには『おまえたちの体ができるのを待っている。今の体では勝負にならない』と、この冬は体を大きくするように言っています。秋の大会後に体重を測ったんですが、年内中に3キロ増やすことをノルマにしています。やはりこの時期に体を作らないと駄目ですから。1人でも達成できなかったら正月も休みなしにすると言ってあります。当然、ただ太るんじゃなくて、筋肉量を増やすということですね。そこからパワーやスピードというものが出てくるんだと思います。筋肉は俗に言う、マグロの筋肉とヒラメの筋肉があります。持久力と瞬発力、両方を持ち合わせた筋肉を作るということが一番の理想ですね」

 この日の体力強化メニューは約20メートル四方の正方形の辺を、腰をかがめて片手で地面に触れながら周回したり、ジャンプをして着地後すぐに後ろ回りにでんぐり返しをするように体を丸めて回転し、背中がすべて着いたところからお腹の力を使って反転し、起き上がりながら再びジャンプするのを連続30回行うなど、特別な道具を使うことなく、体をいじめ抜くものだった。

石川亮(帝京)

「うちはオーソドックスで、特別なことはしていないと思います。重点を置いているのはウェイトトレーニング。あとは重いタイヤを引くトレーニングは昔から続けています。重さを測ったことはありませんが、乗用車の小さなタイヤではなく、トラック用の大きなタイヤですから重たいですよ。これは良いですね。足が太くなります。特に太ももとお尻。効果を感じています」(前田監督)

 これが実にハード。
 塁間。本塁、一塁、二塁など二つの塁間のベースランニングなどを通常のダッシュだけでなく、後向きでのダッシュも繰り返す。しかもタイム設定があり、クリアできなければスクワットなどのペナルティが容赦なく課せられる。石川 亮捕手を筆頭に、特に2年生の太ももは、みな丸太のように太いのは、このタイヤ引きによるところが大きいのだろう。
 1年生のうちはタイムをクリアできない生徒も少なくないというが、石川捕手を中心に学年の壁を乗り越え、「○○、頑張れ」「○○さん、頑張って」と声が飛ぶ。こうした辛いトレーニングをともに乗り越えることで団結力が深まっていくのだろう。

「タイヤ引きは毎日はやりません。強化メニューのサイクルとしては、タイヤ引き、インターバル走、タイヤ引き、休みというサイクルで今は行っています。インターバル走はライトポールとレフトポールを往復する距離をだいたい40秒で走ります。およそ250メートルくらいですかね。3つの組に分けてやるので、Aチームが出発して、20秒くらい経過したらBチームが出て、Aチームが帰って来たところでCチームがスタートする。Aチームの休憩はBチームが戻ってくるまでで、Bチームが着いたらスタートする。3つのチームがグルグル回っているわけです。これを7~10本続けてやります。休みは息を整える程度しかありませんから、心肺機能も鍛えられます。これも効きますよ」(前田監督)

このページのトップへ

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。