Column

新生・享栄も投手王国!?1年生も大型選手揃いで今年も甲子園を狙える予感

2021.09.15

 今年の愛知大会は東邦愛工大名電中京大中京享栄の私学4強がベスト8以内に残る1年となった。

 特に復活した姿を示したのは、26年ぶりの夏の甲子園出場へあと1歩と迫った享栄だろう。140キロ後半の速球を投げる投手が3名という超大型投手陣、打線も好打者揃いと全国トップクラスの戦力を誇った。

 そんな享栄の新チームについて迫っていきたい。

140キロ超えの投手が今年も揃う!

新生・享栄も投手王国!?1年生も大型選手揃いで今年も甲子園を狙える予感 | 高校野球ドットコム
大型右腕・安藤 瑠騎飛(享栄)

 大藤監督は今年の投手陣についてこう語る。
 「昨年はこの時期で3人(肥田 優心竹山 日向、菊田)も140キロ後半の速球を投げられる投手がいたため、どうしても彼らよりもポテンシャルが劣るのは仕方ありません。ただ、現在の時点でいえば、全国レベルの投手陣だといえます」

 まず藤本 逸希は夏の大会でも登板した左の本格派。130キロ後半の直球、切れのある変化球を投げて勝負する。大藤監督は夏の大会を経験できたのが非常に大きいと語る。投球練習を見た時、力強い腕の振りで威力ある速球を投げていた。

 大型右腕の安藤 瑠騎飛は140キロ前半の速球に角度があり、来年のドラフト候補として注目していいほどのポテンシャルがある。大藤監督は「ボールにキレがあるタイプなので、竹山タイプに育つ可能性がありますね」と期待を込める。

 また1年生左腕・東松 快征は入学した時に138キロをマーク。140キロ超えも十分期待できる速球派左腕で、来年にはドラフト候補に挙がる可能性が高い。

 磯部 祐吉は右サイドから最速135キロを誇り、大藤監督は球速以上に球威を感じるタイプだと評する。この日の投球練習でも、コントロール良く投げることができていた。ベンチ入りはこの4人で、それぞれタイプが異なる投手がいるのはかなり強い。

 また、ベンチ外の投手がキャッチボールしていたのだが、そういった投手も130キロ中盤の速球を投げ込むらしく、体格も良い投手ばかり。明らかに投手陣のレベルが底上げされている。大藤監督は投手担当コーチの存在が大きいと語る。

 「非常に勉強熱心でトレーニング、技術的なことまで、しっかりと指導していて、順調にスケールアップができています」

 享栄投手陣のトレーニングを見ると、ウエイトトレーニングだけではなく、体幹トレーニングのメニューも豊富。また6月の取材に訪れた時はアップで、龍谷大平安のアップのように手押し車などで身体の機能性を高めるトレーニングを行っていた。トレーニング環境の充実で、多くの投手陣の底上げができている。

[page_break:守り勝つ野球で、激戦ブロックを勝ち抜く!!]

守り勝つ野球で、激戦ブロックを勝ち抜く!!

新生・享栄も投手王国!?1年生も大型選手揃いで今年も甲子園を狙える予感 | 高校野球ドットコム
主将の吉田 遥哉(享栄)

 一方、野手については去年のように中距離打者揃いで、大量点を取るチームではなく、守備を信条に勝ち切るチームカラーだ。1年生には多くの強豪校から評価されてきた大型打者・田口 敦登高田 洸希など平均身長170センチ後半の大型選手揃いだが、現状では、守り重視の構成だ。

 その中で前チームから試合に出ていた主将・吉田 遥哉が中心だ。
 「足のケガもありますが、セカンドで4番で攻守ともに中心になってくれると思います。言葉で指示を出すという事より、背中でみんなを引っ張るキャプテンですね」と大藤監督はキャプテンシーの高さを評価する。

 今年のチームについては、大藤監督は組織力で戦えるチームだからこそ、勝ち進める能力があると評価する。
「前チームは個の力が強くて、素晴らしい選手が集まってました。
 新チームはそこまで個人で能力のあるチームではありませんが、組織で戦っていくといいますか、非常にまじめで、やる気にあふれていて、終盤で戦うという意味では去年以上にいいものがあると思います」

 そんな新生・享栄ナインが1つにまとまったのが、9月前半に行われた至学館との練習試合だ。小刻みに点を追加し、5対0で完封勝利を収めた。この試合について吉田は「自分たちが出せる力を出せました。さらに1つにまとまったかなと思います」と手応えを感じている。

 そんな享栄の初戦の相手は知立東。準々決勝では中京大中京愛工大名電のブロックの勝者、準決勝では東邦が入ったブロックと東海大会を勝ち抜くまで私学4強と戦う可能性が出てきた。

 大藤監督は「激戦区に入ったのですが、チームで戦えばチャンスはあると思います」と持ち味を発揮することをこだわった。そして吉田に意気込みを語っていただきました。

 「先のことを考えたら、いいブロックに入ったと思いますし、自分たちは自分たちの良さを出して、戦っていきたいです」

 享栄が愛知私学4強という立場を堅持するためには重要な秋のシーズン。躍進を期待したい。

(取材:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.25

筑波大新入生に花巻東、國學院栃木、北陸の甲子園組! 進学校からも多数入部!

2024.04.25

【静岡】夏のシード16校が決定、聖隷クリストファー、常葉大菊川はノーシード<春季県大会>

2024.04.25

【北海道】昨秋全道ベスト8・知内は八雲と初戦!<春季全道大会支部予選組み合わせ>

2024.04.25

【春季四国大会逸材紹介・徳島編】阿南光にエース吉岡 暖を支える「もう1人のドラフト候補」 徳島商は春季大会チーム最多打点をあげた「恐怖の6番打者」

2024.04.25

【埼玉】春日部共栄が完封勝利で2回戦進出!川越東、東農大三も初戦突破!昨秋ベスト16の細田学園は接戦落とす<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!