第1016回 甘い球を必ず打つには?モリフメソッドが加わった「強打の健大高崎」2020年04月27日

【目次】
【健大高崎の練習の模様をギャラリーでみる】
[1]見逃し方を覚えれば、確実性は高まる
[2]甘い球、抜け球を「中間球」と位置づけ、反応で打てるレベルにしよう!
3年ぶりセンバツ出場を決めていた健大高崎。中止が決まったが、スペクタクルベースボールを掲げた。これは投手力、打撃力、機動力。すべてにおいてトップレベルを目指す考え方だ。今回は健大高崎の打撃コーチに話を聞かせてもらったが、さらにうまくなるような打撃の考え方だった。その一端を紹介したい。
見逃し方を覚えれば、確実性は高まる

大型スラッガー・安齋駿斗
健大高崎の強打は数年前から有名だった。特にそれが発揮されたのは山下 航汰(巨人)を中心とした2018年の強力打線だろう。関東大会優勝を果たし、甲子園には進めなかったが、強烈な印象を残した。そしてセンバツ出場した今年の打線もさらに対応力に磨きをかけている。
青柳監督に言わせれば、今年の打線は2018年ほどではないという。それでも公式戦13試合で7本塁打。秋のベンチ入り選手を対象にすると、83試合で56本塁打をマークした。
野手で180センチ超えの大型選手は安齋 駿斗(新3年)のみでスラッガータイプが少ない。それでも多くの選手が本塁打を放ち、そして明治神宮大会準優勝まで勝ち上がったのはある打撃改革がある。
その改革を担ったのが赤堀 佳敬コーチだ。赤堀コーチは健大高崎に赴任するまで、約3年間ほど盛岡大附のコーチをしていた。そこで強打のモリフメソッドを学んだ。
「監督の関口先生にも話を聞きましたし、関口先生が生徒に教えている内容をメモにとって、家や寮に帰ってノートに書き出しては覚える毎日でした」
コーチとして打撃を学び、昨年4月から健大高崎のコーチに就任。夏が終わるまで選手たちの打撃を観察。夏の大会が終わって、ある弱点に気づき、新チームスタート後、選手たちを集めてこう話した。
「夏初戦敗退したチームも、能力が高い選手が多かったです。ただ、難しいボールを打ちに行ったり、ボール球になる変化球にバットが止まらない。勿体ない打撃が多かったです。そこで低めを見逃し、ゾーンを上げて打つこと話しました」

バッティング練習の様子
低めのボールを捨てて、高めに浮いたボールを打ちに行く。野球界では約束事されているが、実践が難しい。そこで赤堀コーチが選手たちに教えたのは見逃す練習のススメだ。
「やり方としては打ちに行く動作をした中で、ミットに入るまで、ストライク、ボールを見極めることです。打つ動作に入らず見極めてもいざ甘い球がきたときに打ち返すのは非常に難しいです。
ボール球でも球速が変わることはありませんので、ストライクゾーンのボールに対して、打つ確率を高めるべきです。しっかりとボールを見るべきといわれますが、打つ確率を高めるべきなんです」
打撃動作を交えながら解説する赤堀コーチはさらに注意点を挙げた。
「目付けが後ろになりすぎないことですね。ポイントが後ろになって詰まる選手は、ボールに対してしっかりと目付けができておらず、遅れ気味になって目付けが振り遅れになります。
練習法としては見逃す練習を繰り返す。普段の打撃練習からそれを意識しつづけることが大切です。非常に難しいことですが、幸い、今年のレギュラーは理解度が早く、すぐに実践できることです。だからこそ間違ったことは教えられない意識になりますね」
レベルが高い打者になるほどボールの見極め方が上手いという話はよく聞く。
そして、赤堀コーチは「選球眼が良くなると、打ちやすいカウントを持っていきやすい。関口先生が話していたことですが、打てるストーリーをイメージしやすい」と語るように、選手たちはコーチの教え通り、イメージを大事にしながら練習を行っている。
実際にグラウンドを見渡して見ると、素振りする選手は、見逃す練習もしていた。こういう積み重ねを行うと、素振りの質も高まってくる。
打者有利の状況をするには、選球眼を磨くことは必要な過程なのだ。
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- 編集長 河嶋 宗一
- 出身地:千葉県
- ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
- ■ 編集長であり、ドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
- ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
- ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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