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甘い球を必ず打つには?モリフメソッドが加わった「強打の健大高崎」

2020.04.27

 3年ぶりセンバツ出場を決めていた健大高崎。中止が決まったが、スペクタクルベースボールを掲げた。これは投手力、打撃力、機動力。すべてにおいてトップレベルを目指す考え方だ。今回は健大高崎の打撃コーチに話を聞かせてもらったが、さらにうまくなるような打撃の考え方だった。その一端を紹介したい。

見逃し方を覚えれば、確実性は高まる

甘い球を必ず打つには?モリフメソッドが加わった「強打の健大高崎」 | 高校野球ドットコム
大型スラッガー・安齋駿斗

 健大高崎の強打は数年前から有名だった。特にそれが発揮されたのは山下航汰(巨人)を中心とした2018年の強力打線だろう。関東大会優勝を果たし、甲子園には進めなかったが、強烈な印象を残した。そしてセンバツ出場した今年の打線もさらに対応力に磨きをかけている。

 青柳監督に言わせれば、今年の打線は2018年ほどではないという。それでも公式戦13試合で7本塁打。秋のベンチ入り選手を対象にすると、83試合で56本塁打をマークした。

 野手で180センチ超えの大型選手は安齋駿斗(新3年)のみでスラッガータイプが少ない。それでも多くの選手が本塁打を放ち、そして明治神宮大会準優勝まで勝ち上がったのはある打撃改革がある。

 その改革を担ったのが赤堀 佳敬コーチだ。赤堀コーチは健大高崎に赴任するまで、約3年間ほど盛岡大附のコーチをしていた。そこで強打のモリフメソッドを学んだ。
「監督の関口先生にも話を聞きましたし、関口先生が生徒に教えている内容をメモにとって、家や寮に帰ってノートに書き出しては覚える毎日でした」

 コーチとして打撃を学び、昨年4月から健大高崎のコーチに就任。夏が終わるまで選手たちの打撃を観察。夏の大会が終わって、ある弱点に気づき、新チームスタート後、選手たちを集めてこう話した。

「夏初戦敗退したチームも、能力が高い選手が多かったです。ただ、難しいボールを打ちに行ったり、ボール球になる変化球にバットが止まらない。勿体ない打撃が多かったです。そこで低めを見逃し、ゾーンを上げて打つこと話しました」

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バッティング練習の様子

 低めのボールを捨てて、高めに浮いたボールを打ちに行く。野球界では約束事されているが、実践が難しい。そこで赤堀コーチが選手たちに教えたのは見逃す練習のススメだ。

「やり方としては打ちに行く動作をした中で、ミットに入るまで、ストライク、ボールを見極めることです。打つ動作に入らず見極めてもいざ甘い球がきたときに打ち返すのは非常に難しいです。

 ボール球でも球速が変わることはありませんので、ストライクゾーンのボールに対して、打つ確率を高めるべきです。しっかりとボールを見るべきといわれますが、打つ確率を高めるべきなんです」

 打撃動作を交えながら解説する赤堀コーチはさらに注意点を挙げた。

「目付けが後ろになりすぎないことですね。ポイントが後ろになって詰まる選手は、ボールに対してしっかりと目付けができておらず、遅れ気味になって目付けが振り遅れになります。

 練習法としては見逃す練習を繰り返す。普段の打撃練習からそれを意識しつづけることが大切です。非常に難しいことですが、幸い、今年のレギュラーは理解度が早く、すぐに実践できることです。だからこそ間違ったことは教えられない意識になりますね」

 レベルが高い打者になるほどボールの見極め方が上手いという話はよく聞く。

 そして、赤堀コーチは「選球眼が良くなると、打ちやすいカウントを持っていきやすい。関口先生が話していたことですが、打てるストーリーをイメージしやすい」と語るように、選手たちはコーチの教え通り、イメージを大事にしながら練習を行っている。

 実際にグラウンドを見渡して見ると、素振りする選手は、見逃す練習もしていた。こういう積み重ねを行うと、素振りの質も高まってくる。
 打者有利の状況をするには、選球眼を磨くことは必要な過程なのだ。

[page_break:甘い球、抜け球を「中間球」と位置づけ、反応で打てるレベルにしよう!]

甘い球、抜け球を「中間球」と位置づけ、反応で打てるレベルにしよう!

甘い球を必ず打つには?モリフメソッドが加わった「強打の健大高崎」 | 高校野球ドットコム
バッティング練習の様子

 
さらに赤堀コーチは甘い球を見逃さないために打撃練習の考え方も教えてくれた。赤堀コーチは甘い球や抜け球について「中間球」と定義付ける。

「甲子園などを見ると、打たれるボールというのは中間球が圧倒的に多い。

 例えばストライクを取りに行ったボール、抜けた変化球ですね。球速的には130キロほどです。打てる確率を高めるならば、中間球は必ず打ち返すというのが鉄則です。そうするにはマシンからそういう設定にして、高確率で打ち返すレベルまで持っていく。
 高確率で打てるようになると、打者はいわゆる『反応』で打てるようになります。それができるまで延々と繰り返します」

 試合後、活躍した好打者の談話で「あれは反応で打てました」というコメントがよくある。具体性がないと思うかもしれないが、赤堀コーチの話を聞くと、一段階上にいくには、そのレベルにしなければならないことが分かる。
 室内練習場を見に行くと、マシン相手に打撃練習している選手がいた。まだBチームの選手で打ち損じがあったり、トップの立ち遅れで振り遅れたりと、課題が多かったように見受けられた。逆にレギュラークラスになると殆どの選手が捉えることができるようになるという。赤堀コーチは「中間球を必ず対応できる選手でなければ、レギュラーにもなれないですし、甲子園にもいけない」と語る。

 中間球を打てるようになれば、長打の確率も大きく増える。赤堀コーチは昨夏の甲子園決勝戦、履正社の4番・井上広大(阪神)が星稜のエース・奥川恭伸(東京ヤクルト)から本塁打を打ったことを例に上げた。

「あれもカウントを取りにいって抜けたスライダーですよね。普通のスライダーと違って回転数も少なく、打球が飛びやすい。甘い球を自然と反応できれば、本塁打にできる。井上選手の本塁打は一番わかりやすい例ではないでしょうか」

 つまり、プロにいくスラッガーの評価の分かれ目は甘い球を確実に本塁打にできるまでの過程をしっかりと持っているということだろう。

 健大高崎の秋の大会の勝ち上がりを振り返ると土壇場の一発が多い。関東大会1回戦の常総学院戦では新2年の小澤周平の同点弾。明治神宮大会・倉敷商戦の山本遼哉の満塁弾。赤堀コーチは「今年の選手たちは飲み込みが早く、能力が非常に高い」と称えるが、甘い球を逃さない過程を作ったのは赤堀コーチの打撃改革が1つ要因だったのは間違いない。

 まだこれは意識的な部分である。さらに対応力を磨いた練習法については次回、紹介したい。

(取材=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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