全員攻撃野球で甲子園を狙う!関大北陽【後編】
前編では関大北陽の現在の練習状況、そして新チーム発足時から秋季大会までを振り返った。そして後編では、秋の8強を超えるために関大北陽の選手たちが現在どんなテーマを据えてトレーニングをしているのか。最後に春先への意気込みを伺った。
限界を超えることで心の支えとなる
トレーニング中の様子
この冬は個々の能力を上げることに注力している。特に毎年恒例となっているのが、年末の強化練習だ。クリスマス前後から年末年始休暇の直前までの数日間を強化期間に充てている。その期間は午前中に約2時間のランニングメニューをこなした後に約1時間の個人ノック、午後にも連続ティーなどで1000~1500スイングを行う。
赤松俊祐によると朝から走り込むことで足がガクガクになっているというが、「チーム全員で盛り上げるのは意識していて、しんどい時にどれだけ自分たちで明るくできるかということを意識していました」と全員でこの強化練習を乗り越えた。
「限界を超えてもらっているので、『苦しい時はあの時を思い出せ』と言っています」と辻本忠監督は選手に言い聞かせているという。自らの限界を突破するほどの練習をしてきたことが彼らの支えとなっている。
冬を超えれば勝負の時期がやってくる。指揮官が特に期待しているのが主将で中心打者の赤松だ。1年夏からレギュラーの座を勝ち取り、高校通算で18本の本塁打を放っている。
「1年生から試合に出ていた責任感からか調子を崩していたんですよね。それがだいぶ乗り越え始めた兆しを見せてくれているので、精神的には凄く強くなってきました。キャプテンをすることで人のことを考え始めて人間的な成長が見られています」と辻本監督は赤松の成長を評価している。
[page_break:伝統のメンタリティを武器に大阪の頂点へ]伝統のメンタリティを武器に大阪の頂点へ
全員で攻める野球で甲子園を目指す!
チームには柱になる選手が必要という考えから旧チームから主軸として活躍している赤松を主将に任命した。そのため、彼に対しては多くのことを要求し、時には厳しい言葉もかけたという。「この冬で自信を持てるくらいの練習をして夏には頼れる選手になろうと思っています」と意気込む赤松が4番として頼れる存在になれば打線も大きく機能するだろう。
関大北陽が最後に甲子園に出たのは校名変更前の2007年春。2008年に今の校名となってからは甲子園に手が届いていない。伝統校といえどもかつてはPL学園や上宮、現在は大阪桐蔭や履正社といった強豪校が居並ぶ激戦区を勝ち抜くのは容易ではないのだ。
強豪校と戦うために大切なことは何なのか。辻本監督は「試合やる前から負けないことですかね」と話す。力のあるチームと戦うときには気持ちで負けないこと。「大阪は常に王者がいる中で北陽は戦っているので、先輩方が培われてきた気概を彼らは継承して戦ってくれていると思います」と指揮官は胸を張る。
そしてその魂は確実に現役の選手にも伝わっていた。赤松はチームの特色と目標をこう語る。「今年のチームの特徴は気迫があって、気持ちで攻められる選手が多いと思います。ここ一番のチャンスで引かないで、全員で攻められるようなチームを目指して、絶対に甲子園に行きたいです」。
激戦区を勝ち抜くために培われた伝統のメンタリティを武器に大阪の頂点を獲りに行く。
(文・馬場 遼)