青山 美夏人

 2022年7月8日~7月15日にかけて行われた「第30回ハーレムベースボールウィーク2022」。今回は出場した侍ジャパン大学代表の中から、主力として活躍した大学4年生の投手に焦点をあてて、総括を行ってみたい。

 大会全体を通してロースコアの試合を展開し、日本の投手力の高さを示す内容となった。

 何と言っても亜細亜大の絶対的エース・青山 美夏人投手(横浜隼人)の存在感が光った。開幕カードのキュラソー戦に先発すると6回2安打無失点とほぼ完ぺきなピッチング。リーグ戦同様に大事な試合で結果を確実に残し、チームに勢いをもたらすことに成功した。満を持して準決勝のオランダ戦に先発し、6回2死までノーヒットに抑える快投を披露。最終回に失点を許し、チームもオランダに敗れて2018年以来の連覇を逃す結果となったが、まさにチームの命運を一手に担う活躍だったと言えるだろう。2試合で12.2回を投げ、計15奪三振の力投はまさに日本のエースと呼ぶにふさわしい。

 日本体育大の矢澤 宏太投手(藤嶺藤沢)は、改めて投手としての傑出した能力を国際舞台で証明した。第4戦のイタリア戦で先発登板すると、イタリア国内屈指の選手たちを相手にいきなり2者連続三振。2回から3回にかけても5者連続三振を奪うなど、終わってみれば6回1安打11奪三振無失点と圧巻の投球だった。続いての登板は最終戦となった3位決定戦の米国戦。2点のビハインドを背負って3回からリリーフ登板を果たしたが、相手チームの流れを止められず、四球と安打の後に2本の適時打を浴び3失点と厳しい展開となった。しかしそこから立て直し、結果的に4回を投げて4安打3失点5奪三振の内容にまとめたのは流石と言える。今年度の大学最高峰のサウスポーであることは、もはや疑いようがない。

 最速151キロ左腕、白鷗大の曽谷 龍平投手(明桜)は中継ぎとして計3試合に登板。特に初登板となった2回戦の米国戦での投球は出色で、マウンドに上がった5回に3者連続三振を奪った。MLBドラフト有力候補選手たちを圧倒し、評価をさらに高めた。

 専修大の菊地 吏玖投手(札幌大谷)は先発、ロングリリーフと様々な役割をこなし、いずれも失点0。対応力の高さを見せた。慶應義塾大の橋本 達弥投手(長田)もリリーフとして投げた第3戦のキューバ戦で打者3人に対して2三振。侍投手陣をしっかり支える働きをした。

 各大学チームのエースがそれぞれの持ち場で好投を重ねた。その中でも青山と矢澤の能力は対外試合でも大いに発揮されていた。同時に、小さな隙を確実にモノにされ、一瞬で試合を決定づけられてしまう国際大会の怖さも経験した。「流れ」を俯瞰的に分析しながら試合を行うことはプロでも難しいところだが、若き大学生たちが今大会で得た経験は必ず将来の大舞台で生きてくることだろう。

(記事=河嶋 宗一