実力派左腕カルテットや地方に潜む速球派右腕など今年の高校生投手は粒揃い!【後編】
今年のドラフト候補 高校生投手紹介の前編では、今年の目玉投手を紹介してきたが、後編では、プロ入り後の活躍が楽しみな潜在能力の高い高校生投手たちを紹介したい。
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今年のドラフトでマークすべき高校生投手たち!【厳選13投手リスト・前編】
甲子園未出場組の実力派左腕カルテットに注目だ!
力のあるストレートが魅力的な米山魁乙(昌平)
ドラフトで毎回、必要になるのが左腕投手の補強である。今年の高校生左腕は、及川雅貴(横浜)、宮城大弥(興南)がトップを走る。この2人に続く評価をされているのが以下の4人の左腕だ。
・井上 温大(前橋商)
・米山 魁乙(昌平)
・佐藤 一磨(横浜隼人)
・玉村 昇悟(丹生)
この4人に共通するのは非甲子園出場組みということだ。そのため全国的な知名度はないが、実力は非常に高いものを持っている。
まず井上 温大(前橋商)は群馬大会決勝に導いた好左腕。しなやかな腕の振りから繰り出す常時140キロ前半のストレートはキレがあり、さらにスライダー、カーブの精度も高い。また、夏の大会が終わって、新チームの打撃練習で打撃投手を務めた井上はさらに球速を伸ばし、自己最速の146キロをマークし、球威を着実に伸ばしている。
米山 魁乙(昌平)はこの夏、最速144キロを記録した左腕。球速表示以上を感じさせる伸びのあるストレートを投げ込み、さらに120キロ後半のカットボール、120キロ前半のスライダーを織り交ぜるピッチングは実戦的だ。
188センチの大型左腕・佐藤 一磨(横浜隼人)は春から夏にかけて急成長した大型左腕。春まで最速138キロだったのが、夏では7キロもスピードアップ。平均球速も140キロ台に達し、120キロ前半の縦横のスライダー、100キロ台のカーブを織り交ぜ、大型投手としては器用なピッチングができる投手で、フィールディング、牽制技術、クイック技術も高く、面白い投手だ。
玉村 昇悟(丹生)は福井大会決勝まで導いた好左腕。玉村の良さといえば、140キロ前半の速球を内外角に投げ分ける制球力の高さ。決め球のチェンジアップも低めに集めることができて、ピッチングの完成度の高さは今年の左腕投手でもトップクラス。メンタルもだいぶ強くなり、なかなか崩れない好左腕へ成長した。
果たして甲子園未出場組の左腕はどんな評価が下されるのか?
まだまだいる全国の速球派右腕たち 彼らの指名はあるのか?
代表選手として世界と戦った林優樹の成長も注目
ここから紹介する投手は奥川恭伸や佐々木朗希の上位候補の投手と比較すると、実力はどうしても劣るが、成長次第では大きく化ける可能性を持った投手だ。
全国的には無名だが、冨水 大和(網走桂陽)も楽しみな投手だ。山岡泰輔(オリックス)を彷彿とさせる投球フォームから繰り出す直球は145キロ前後。また、120キロ台のスライダーの切れも素晴らしい。また、野手としての才能も高く、今春の北見支部予選では145キロ左腕・石澤大和(網走南ヶ丘)から3安打。さらに三盗、本盗を記録する活躍を見せ、野球センスは抜群だ。
この夏、南北海道大会ベスト8に導いた竹内 龍臣(札幌創成)は、フォームのバランスが良い147キロ右腕。変化球の精度も高く、楽しみな存在。
東北地区では、1年生から注目を浴びてきた191センチの大型右腕・渡辺拓海(酒田南)は大化けする可能性を秘めている。
関東地区では夏の茨城大会で最速146キロを計測した濱崎 鉄平(土浦三)も今年にかけて急成長した右の本格派。また千葉県内では好左腕として注目されてきた大木 稔貴(横芝敬愛)、松田 賢大(日大鶴ヶ丘)は、萩生田監督からは歴代のエース左腕と比較しても素質は上と絶賛される好左腕だ。
北信越地区では最速148キロ右腕・重吉翼(日本航空石川)も、しなやかな腕の振りから繰り出す直球は威力抜群。
静岡県屈指の好投手・栗田 和斗(知徳)は140キロ中盤の速球、切れのあるスライダー、スプリットを武器にする右腕だ。全国的には無名だが、140キロ後半の速球を投げ込む藤田 凌(岐阜各務野)も評価が高い。甲子園4強に進出し、一気にブレイクした193センチの剛腕・赤塚 健利(中京学院大中京)は指導する森昌彦コーチの指導方針により、変化球の割合を抑えて、最速148キロを計測した直球中心のピッチングで好投を見せ、自信をつけ、プロ志望届提出に至った。
この夏、滋賀大会決勝に導いた吉田 力聖(光泉)も145キロ前後の速球を投げ込む本格派だ。その吉田と投げ合った甲子園3回出場の近江の技巧派左腕・林優樹(近江)もプロ側からどんな評価をされているか、楽しみな左腕である。
大阪桐蔭・中田 惟斗
坪井 悠太・福田 慈己の大阪偕星学園の二枚看板も面白い。坪井は最速145キロを誇る速球派右腕で、好調時のストレートは威力抜群。また福田も140キロ前半の速球、切れのあるスライダーを丁寧に投げ分ける実戦派右腕だ。
昨年、高卒プロ4名を輩出した大阪桐蔭からエースの中田 惟斗が提出。中田は恵まれた体格から投げ込む速球は常時140キロ中盤。落差が鋭いフォークを武器にする。
中国地方では谷岡 楓太(武田)に注目。高校入学から大きく球速を伸ばし、150キロ以上の速球を投げ込む右腕へ成長。制球力が課題だが、それを補うほどの魅力を持っている。四国地方では、名門・徳島池田のエース・白川 恵翔も140キロ中盤の速球を武器にする本格派右腕。
九州地区は各地に好右腕が揃う。福岡屈指の速球派右腕・木村 仁(北九州)も粗削りなフォームから投げ込む最速146キロのストレートは威力抜群。 翁長 佳辰(日本文理大付)はしなやかな腕の振りから繰り出す140キロ前半の速球は伸びがあり、フォームの完成度も高く、将来は150キロ超えの可能性も高い好右腕。山科 颯太郎(九州文化学園)も最速150キロを投げ込む右の速球派、下級生から評判が高かった小峯 新陸(鹿児島城西)は188センチの長身から最速145キロを誇る右の本格派。沖縄県内では評判が高い本格派右腕・金城 洸汰(北山)や、名門・沖縄水産で活躍する國吉吹も140キロ中盤の速球を投げ込む右腕としてプロのスカウトから注目を浴びた逸材だ。
果たして、どれだけの投手がNPBから指名をされるのか。
次はプロ注目野手をポジション別で紹介をしていきたい。
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今年のドラフトでマークすべき高校生投手たち!【厳選13投手リスト・前編】
(記事=河嶋 宗一)