【逸材レポート】佐々木朗希「速球と変化球の割合は5:5。変化球も超一流な剛腕」
佐々木朗希(大船渡)
いよいよ準決勝を迎えた佐々木朗希。4回戦の盛岡四戦では21奪三振を記録した佐々木。中2日を開けてもそのピッチングはさらに凄みが増していた。
2安打完封、15奪三振のピッチングについて、試合後、大船渡の国保陽平監督は
「うまく脱力ができていました」と評価する。佐々木も「質の良いストレートを投げることを心掛けました」と語るように、軽く放ったように見えても、140キロ後半~150キロ前半の速球をビシバシ投げ込む。しかもストレートはミットに一直線上に伸びていく。
そして本気を出すサインがある。それは投球フォームを見ればいい。左足を大きく上げた後、踏み出し足の歩幅を広げて、勢いよく左足を踏んで、フィニッシュに入ったとき、右足も大きく蹴りあげていく。その時のストレートは150キロ中盤を計測。まるでうなりを上げるという表現が正しいだろう。
ストレートの平均球速は147.33キロ。そして9イニングの最速は以下の通り。
【1回】153キロ
【2回】150キロ
【3回】148キロ
【4回】153キロ
【5回】146キロ
【6回】154キロ
【7回】154キロ
【8回】150キロ
【9回】151キロ
ただ、ストレートだけでは15三振を奪うこともできない。変化球も素晴らしかった。15三振中、9奪三振は変化球で奪ったもの。135キロ前後のフォークはハイレベルで、次々と空振りを奪った。さらに130キロ前半のスライダー、120キロ後半の縦スライダーといずれも打者の手元で変化する精度の高さがある。
この日は129球で、計測できたストレートは62球。よく半数は変化球だった。剛速球投手としては変化球の精度が高いのが佐々木の強み。それができるのは捕手・及川恵介の存在が欠かせない。佐々木の剛速球を巧みなフレーミング技術で受け止めるだけではなく、フォークもしっかりと止めて前にボールを落とすことができる。後ろにそらすことは全くない。だから佐々木は自信をもって腕を振ることができる。
及川は「去年はもっと逸らしていたんですけど、今年になってから後ろに逸らさないようになったことで、以前よりも変化球を投げる割合が増えたと思います」と胸を張る。1年かけて「これだ!といえるぐらい自分の形を作り上げてきました」とフレーミング技術とストッピングを鍛え、特にキャッチング技術は木下大洋の父・清吾さんから学んだ。その技術の高さに「信頼しています」とエースも全幅の信頼を置く。
バッテリーと協力し合って今大会、29回を投げて、51奪三振、わずか2失点と驚異的なピッチングを成り立たせている。
決勝戦は花巻東との対戦が決まった。佐々木は「ここまで来たら勝つしかないですし、決勝負けたら初戦敗退と同じですから、絶対に勝って甲子園に行きます」と必勝を誓った。国保監督も「登板するかは明日の朝の状態を見て決めます」と起用法について語った。
一時、4点差をつけられながらも、終盤に大逆転した花巻東の攻撃について、大船渡ナインは誰もが警戒している。それでも前向きに選手が戦えているのは佐々木朗希の存在だ。
最善の準備とメンテナンスをして決勝戦に立ち向かうだけだ。とにかく無事に夏を乗り切ることを祈りたい。
文=河嶋 宗一
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