【逸材レポート】佐々木朗希の初戦ピッチングを球種別に徹底分析!
16日に初戦の遠野緑峰を迎えた大船渡・佐々木朗希。短いイニングであったが、高いポテンシャルの片りんを見せてくれた。そんな佐々木の凄さを解明していきたい。
力感を感じさせない剛腕
佐々木朗希(大船渡)
15日、佐々木朗希擁する大船渡が遠野緑峰との初戦を迎え5回コールド勝ち。3回戦進出を決めた。佐々木朗希は2回無失点の好投だった。
佐々木朗希の投球は剛速球右腕らしからぬところがある。
それは「無駄な力み」がないということだ。振り返っていけば、150キロ前後の速球を投げる投手というのは力んで、スピード表示は出ているが、切れがない。開きが早くなり、打たれるというケースが出てくる。
しかし佐々木はそれがまったく見られない。左足を高々を上げ、ストライドが大きく、力強い投球フォームで、力の入れ加減ができて、140キロ前半でも回転数が高いストレートを投げ込むことができる。ほかの投手にはない稀有な才能を持った逸材だと改めて感じさせてくれた。
そんな佐々木の初戦のピッチングの経過は以下の通りである。
【1回】
1番・菊池魁を142キロのストレートで空振りを取ると、2球目は123キロの縦スライダーでショートゴロ。続く2番・菊池虎太郎はストレートを投げ込み、セーフティバントを試みたが、捕邪飛に。3番・佐々木康成は初球ストレートが外れてボールとなったが、2球目はストレートで見逃しストライク、3球目は外角ストレートで空振りに打ち取ると、最後は147キロの高めのストレートで空振り三振に打ち取る。
【2回】
4番・菊池将太はスライダー、縦スライダーで2球で追い込んで、3球目は144キロのストレートに当てただけのセカンドゴロ。5番・菊池優雅に対しては1ストライク3ボールから5球目は高めの145キロのストレートで空振りに打ち取り、6球目は縦に落ちるスライダーで空振り三振。6番・菊池庸仁は3球目、縦スライダーでライトへのファウルフライで三者凡退。
2回を投げて、2奪三振。9球のストレートの平均球速が142.55キロ。高校生投手で平均140キロ前半はかなり優秀なレベルなのだが、佐々木の場合、あまり出力を大きくせず、このスピードなのだから恐ろしい。
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球種別、遠野緑峰戦の佐々木朗希の調子
佐々木は今後どんな投球を見せるのか(大船渡)
球種別で振り返っていこう。
【ストレート】
無駄な力みが入らず、指先にしっかりと力が伝わったストレートは140キロ前半でも空振りが奪える。この力感で150キロ前半の速球を投げ込んだら、打球が前に飛ばないのではないかと思わせるほどのボールの伸びがある。
【縦スライダー】
この球種の割合が多かったが、まるでカーブのようにどろんと落ちるこの縦スライダーは思わず、腰が引けてしまうほどの角度がある。今後のピッチングのカギとなりそう。
【スライダー】
120キロ前半の横スライダーも膨らみが小さく、曲がっていくので、打者からすれば打ちにくい。スライダーのレベルも高水準。
130キロを超えるスプリットもあるのだが、この試合は出力を抑えた140キロ前半のストレート、縦横のスライダーで投球を構成していた。
今回の投球で驚いたのは出力を抑えても、伸びのあるストレートは健在であるということ。速球派でも力んでしまうと、140キロ中盤でも回転数が乏しく、高めに力のないボールがいってしまうのだが、佐々木は高めで勝負にいったストレートなので、空振りが奪える。
今回のように速球と変化球の緩急をつけることができれば、ストレートに強い打線に対しても抑えることができるのではないか。
この春から投球術をしっかりと磨いてきたのがわかる。こういう投球ができれば、スタミナの消耗も少なくなる。
次は中1日での試合になるが、今日のように力感がないピッチングができるか。ますます見逃せない。
文=河嶋 宗一
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