目次

[1]二刀流は伸びしろ、体重管理とあらゆる面で厳しい
[2]回復力のある今でも、8月、9月に成績を落としている
[3]世界一を目指すか、前人未到を目指すか

 二刀流・大谷 翔平について、様々な見解が生まれている。このまま二刀流として大記録を残してほしい、いや投手か、野手のどちらかに絞るべきだと、激しい議論になっている。

 ここでどうしても大谷の二刀流について見解をいただきたい人物がいる。徳島インディゴソックスで徳島ストレングス&コンディショニングトレーナーをしている殖栗 正登トレーナである。

 NPBに比べればやや試合数は少ないとはいえ、春から秋まで長期にわたる独立リーグの1シーズンをコンディショニング管理している殖栗トレーナー。実際に殖栗トレーナーと話しをすると、トレーニングに対する豊富な知識量にいつも感服させられる。

  今回は、そんな殖栗トレーナーに、コンディショニングの観点から二刀流の是非についてとことん語ってもらった。

二刀流は伸びしろ、体重管理とあらゆる面で厳しい

ランニング中の大谷翔平投手(北海道日本ハムファイターズ)

 まず、二刀流を1年こなすには、どれくらいの体力レベルが必要なのか。殖栗トレーナーはこう切り出した。

「この質問はいろいろな方に聞かれて、いつも答えていることなのですが、今のままだと伸びしろは小さく、野球選手としてのピークが出ないと答えています。

 大谷が打者としてやりたいのならば、体をひたすら大きくすれば良いと思います。今、出場試合数が少ない中で、さらに経験値を増やして、パワートレーニング系を積極的に行えば、野手としての潜在能力はもっと発揮されると思います。

 しかし投手はそうではなく、ボールを加速させる動きを習得しなければならない。上半身に脂肪が付いてしまうと、身体の回旋速度が遅くなるので、絶対にパフォーマンスが落ちてしまいます。どこかの段階で、投手一本に絞って、投手用の体を作らないといけないと考えています。

 今のままでも、どちらでもそれなりのパフォーマンスはできますが、世界一はないと答えています。もし彼がMLBへ進んで、世界一の投手を目指したいのならば、そろそろ一つに絞った方がいいですね」

 投手と野手では体の作り方から大きな違いがあり、殖栗トレーナーも、一つのポジションに絞るべきと考えているようだ。では、なぜ一つに絞るべきなのか。

「選手には成長期があります。大谷の場合、20歳なので、まだまだ筋肉の肥大が見込める成長期。この時期に筋力トレーニングを重点的に行ったという報道がありましたが、方向性は間違っていません。ただそこを超えて、22歳まではハイパフォーマンス期といって、筋肉の肥大も止まり、野球に近い動作のトレーニングが入り、力を出すことが目的になります。

 22歳を過ぎてから怖いのは、体重が増えやすくなることです。そのため体重管理が非常に難しくなり、脂肪も増えて、体のキレが鈍る傾向が多い。成績を落とした投手を見ると、太っている投手が多い。特に20代後半以降からが大変です。
だからプロ野球の投手でも、走り込みが多くなるんです。プロ球団のトレーナーの方と話しますと、走り込みを多くするのは体を絞らせる意味合いがあるようです。投手は走れなくなったら終わりといいますが、太ったら終わりなんですよね」

 確かに太った投手で、実績を挙げている投手はあまりいない。プロ野球は、キャンプ前、キャンプ後、シーズン後に必ず体重、筋肉量、脂肪量を測定する。最も成功するパターンは、脂肪量が1キロ減って、筋肉が1キロ増えて、体重は変わらないパターン。これが良いようだ。脂肪が減って筋肉が増えれば、その分、身体の回旋速度が上がるので、パフォーマンスも高まる。逆に脂肪量が増えて、筋肉量が減ってしまった選手は回旋速度が落ちるので、球速が出ず、成績を落とすことが多いようだ。

 いかに筋肉を落とさずに体重管理を維持するか。それがプロの投手の仕事なのだ。

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