荘司 雅彦先生「できる人の勉強方法」
第3回 荘司 雅彦先生「できる人の勉強方法」2009年07月08日
「一緒に部活をしているのに、なんであいつは頭がいいんだろう…。」
同じだけ部活に時間を使っているのに、いったいどこから成績の違いがくるのか?
そこで今回は、自身も司法試験合格を果たし、お子様の受験も合格へと導いた、弁護士 荘司雅彦さんに「出来る人の勉強方法」をお聞きしてきました。
その違いというのは、明日からでも簡単にできるアイディアにありました。
高校野球情報.com スタッフ一同
部活と知力
まず大前提からいうと、スポーツをやっている生徒というのは知力なんか高い生徒が多いんですよ、実は。ですから、よく名選手とかそれこそ甲子園に出たりする選手でも、同じように学習すれば成績はぐっと伸びるという話を聞いたことがあります。ですから、自分たちは決してその間学習していなかった、勉強に割く時間が少なかったということであっても、運動することによって、体力だけではなく知力もついているはずなんですね。
だから高くなった地力を一気に勉強の方に転換する、そういう発想の転換をするんです。「いや自分らはその間勉強していなかった」と悪いように考えないで、きっちり知力という基礎はつくってあるので、それを勉強の方に転換すればいいんです。
転換法① 〜やらなきゃいけないことを細かくする〜
どのスポーツにも同じですが、最初はできないからつまらないですよね(笑)。でも、続けているうちに伸びていくんですね。その伸び方というのも最初は全然のびないなぁと思うかもしれないんですが、ある時から急カーブで伸びていきます。勉強も同じで、まず続けないことには始まりません。
伸びるまで続けるためのコツとしては、できるだけ細分化することです。翌年の受験のことを考えるとまだまだいくらでも時間があるように感じるのですが、それよりもまずは一週間単位でこれをこなそう→そのためには一日何をしなくちゃいけないか、と大雑把に一日にやるべき課題を決めるんですね。最低限の課題を作っておくんです。
転換法② 〜自分ルールとご褒美を用意する〜
そして最低限の課題をやれば今日は解放というルールを作ります。つまり課題を達成して勉強したくない日はしなくていいんです。寝るまで延々と勉強をしなくちゃならないとなると、勉強したくない日はまったくやる気しないでしょ?そうではなくて英語数学国語と課題を決めておいて、これだけやれば今日は無罪放免、夕飯をのんびり食べてもいいし、漫画を見ててもいいしTVをみててもいいと決めちゃうんです。
ということは、毎日毎日ご褒美がくるわけですよ。人それぞれだと思うんですが、最初に楽しいことをやってしまうとあとはうんざりしてしまいますよね。やるべきことはやって、あとは好きなことをする、そのための課題なんだと考えるんです。
転換法③ 〜やったことを目に見えるようにする〜
そしてその課題をクリアしたら見てわかるようにチェックするんです。例えば、英語の課題をクリアしたら二重丸と、毎日つけていくんですよ。そうすると、何日か経つと「あぁ俺はこれだけやったのか」と達成感を感じるんですね。
以上3つがまず勉強を続けるために、できる友達が無意識にやっているテクニックです。大半の生徒は1時間で参考書5ページ、問題集を3Pなんていきなりズドンと多くの課題をやろうなんてしちゃうんですよ。それをじぶんでできる範囲までにどんどん削っていくんです。泣く泣く削って無理のない課題を毎日のスケジュールに載せていく。それでもやはりアクシデントというものはおこるもので、週に一日、せめて半日ぐらいは補充時間、フリータイムというものを作っておくんですね。それで遅れたものを補充していくといいでしょう。
毎日毎日やるべきことを決めて、できたらご褒美。大学受験は模擬試験もありますので、いい点とったらまたご褒美と。そしてやったことは目に見える形で、振り返る。自分を鼓舞するために、自分をほめてやることが勉強を続けるコツですね。
転換法④ 〜黄金の5分間〜
たとえば1時間勉強をしたとして、その1時間で勉強した間に私は何を勉強したかで反芻してみるんです、5分間ぐらいで。実際そうすると自分は何を勉強したんだかわからない時ってありますよね。そういう時は見直してみる。これを私、黄金の五分間と呼んでいるんですが、1時間やったうちのたったの5分間で見返すことで、記憶の定着はぐっと良くなります。
そしてもう一つ、ある期間をおいてもう一度振り返ることです。たとえば、1日目にある課題をやったとしましょう。ここで1日ぐらい置くのがミソなんです。3日目の課題をやる時に、1日目の課題をざっと見なおす。また1週間やったら1週間分をざっと「見るだけ」でいいんですよ。「見る」だけで、ものすごく違います。で、忘れたところはチェックしておきます。後ろを振り返るってことは重要で、しかも気合いを入れて振り返っていては前へは進めませんから(笑)、本当に暇な時で構わないからちらちら見ることで、覚えたことが頭の中に帰ってくるんですね。
転換法⑤ 〜二段マーキング法〜
よく大事なところにラインマーカーを引きますよね。でも、その中でも特に間違えちゃいけない言葉ってあるじゃないですか。人名だとか年代だとか正式名称だとか。それをさらに別の色のラインマーカーで引くんです。わざわざ二段重ねでチェックする方法を思いついたのは、その当時みんな大事な箇所全部同じ色で引いてたんです。文章全部はさすがに覚えられないと思ったんです。だから絶対に間違えちゃいけない言葉は別の色でさらに強調して、聞かれたらパッと答えられる言葉を頭に入れたんです。
番外編 〜失敗からの転換法〜
でも、勉強というのはすぐに結果は出てこないんですよ。そこで、試験の結果が出なかったときは、「なんてお得な試験だったんだ」と思うんです。つまり自分の不得意なところばっか出たわけでしょ?こんなにわかんないことがあったんだと。しっかり復讐しておけば、今度はできるようにしとけばいいんです。プラスにとらえるんですね。やれば必ず、いつか、結果は出る。だからやめないことです。
勉強は可能性につながる
とはいえ、私が受験生だった時、将来の夢だとかビジョンというものは実はなかったです。人間っていうのは、生まれた時は360度世界が広がっているんです。だんだん年を経ることに狭くなっていきます。それをなるべく狭くさせないのは勉強だと思うんですよ。
運動っていうのはある年齢でできなくなってくるんです。今私がオリンピックに出場するなんて無理な話ですし(笑)でも、勉強であれば今からでもいろんな国の言葉も話せるようになりますしね。ですから勉強は自分の可能性を広げるためのものですから、その基本は身につけておいてほしい。その基本が、受験勉強しかり、勉強する姿勢ですね。
私は最近思うのは、仮に受験勉強をして失敗したとしても、受験勉強を全くやらなかった人と比べて何が違うというと、続かないんですよ。社会人としての勉強が。基礎体力みたいなものなんです。将来何かになりたいと思ったとき、なるための基礎体力が勉強で培われるんです。パッと「あ、俺はあれになりたい」と思ったとき「今じゃとてもなれない。」というのは人生にとって面白くないでしょう。だからやれる時にやっておこうと。いずれ人生で必ず役に立つ時が来るのですから。昔は「こんなんやって何に役に立つんだ?」って思ってましたけどね(笑)
球児にメッセージ
「勉強を頑張ることで、すべては血肉になる。」ということです。本当にそれだけです。やれる時にやっておくことが自分の人生をよくすることになり、すべて将来の「自分」のためになることです。親のためなんかじゃありません。だから、多少の苦労はあっても全部「自分」のためなんです。