「自分の避け方悪かった」死球辞退後にホームランの菅原 謙伸 海外メディアも「これはカルマ」と称賛
菅原 謙伸(花咲徳栄)
この夏、あるワンプレーが話題となった。それは大会6日目第4試合に行われた、明石商対花咲徳栄の試合で起きた。
明石商の1点リードで迎えた7回表、一死走者なしの場面。打席に立っていたのは花咲徳栄の9番・菅原謙伸捕手だ。明石商の2年生エース・中森俊介の抜けた変化球が、菅原の左肩付近に当たった。球審が歩み寄り、死球と判定されるかに思われたが、ここで菅原が予想外の行動に出た。
「自分の避け方が悪かった」と、自ら死球を辞退。球審、相手バッテリー、相手ベンチに頭を下げ、再び打席に立ったのだ。再開直後の投球を振り抜くと、打球はレフトスタンドに飛び込む同点弾となった。
この行為に対し、13日、アメリカのYAHOO!SPORTSは「Japanese High Schooler Shows Great Sportsmanship(日本の高校球児が見せた素晴らしいスポーツマンシップ)」の見出しで、一連の流れを紹介した。
「花咲徳栄の菅原謙伸は7回の打席で、明石商業の投手の球が直撃した。しかし一塁へは進まず、自ら『前のめりになってしまった』と話し、相手投手、相手ベンチに頭を下げ、打席に戻った。そして、ホームランを放った。」
この記事を書いたダン・ガートランド記者は「I think that’s called karma.(これはカルマだと思う)」と記した。カルマとは、「業、行為、宿命」などと訳されるが、「良い行為にしろ、悪い行為にしろ、いずれ自分に返ってくる」とう因果応報を表す言葉だ。
同記者は、このような言い回しで菅原の行為を称賛しているのだ。
野球に限らず、勝ちに執着すると、相手を欺くことすら「必要なこと」と思ってしまいがちだが、菅原のようなフェアプレー精神を忘れずにありたい。また、そんな高校野球の姿を見せてくれた菅原に、改めて拍手を送りたい。
(記事=林 龍也)
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