第2回 東海・関東地区記者・手束 仁氏が選ぶ今年の東海地区ベストゲームTOP52015年11月10日

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【目次】
[1]5位:春季愛知県大会2回戦 愛知産大工vs岡崎城西 / 4位:秋季東海地区大会1回戦 三重vs栄徳
[2]3位:春季東海地区大会準決勝 いなべ総合vs岐阜中京 / 2位:第97回岐阜大会4回戦 斐太vs中津商
[3]1位:第97回愛知大会2回戦 豊橋工vs春日井西

 高校野球はすべての試合が、それぞれのチームにとって、そして、その試合に出場している者にとってのベストゲームである。だから、年間多くの試合を見ていく中で、ベストゲームを挙げるとなると、正直迷ってしまう。確かに、スコア上競り合った試合、延長になった試合などはベストゲームという印象は強い。しかし、そうではなくても、それぞれのベストゲームはある。そんな思いで選定した2015年東海地区のベストゲーム5選。

5位:春季愛知県大会2回戦 愛知産大工vs岡崎城西

福山 愛友主将と市川前校長先生(愛知産大工)

それぞれの野球部活動で思いが詰まっているのも高校野球

 全国に4000校の高校野球部があるとしたら、4000種類のそれぞれの部の思いと歴史があるはずだ。それは、明治時代からの歴史を引きずる重いものもあれば、ついこの間始まったばかりのものもあるのかもしれない。だけど、そこで白球を追っている選手たちの思いそのものには、そんなに大差はないはずである。

 愛知産大工は強豪ひしめく愛知県の中にあって、比較的新興勢力と呼ばれている私学である。もちろん、甲子園出場はまだない。それでも、「生徒たちが、必ずしも恵まれた環境じゃないけれども一生懸命やっているから、学校としても応援してあげたい」と尽力していたのが、市川 博前校長だった。この春定年退職となったのだが、そんな野球部の試合を見に足を運んでいた。そして、そのことに感動して、鈴木 将吾監督も、「春の県大会初戦、何とか勝ってウイニングボールをお渡ししたかった」という思いだった。それが果たせた試合となった。

 スコアだけを追っていってみたら、何の変哲もない試合だったかもしれないだけど、その中にはこうした思いも詰まっていたのだ。そして、その気持ちを込めて投げたのが左腕の高坂 翔悟君だった。181センチの恵まれた体格は、同校としても期待の逸材である。(試合レポート)

4位:秋季東海地区大会1回戦 三重vs栄徳

力投を見せる温水 飛和君(栄徳)

また一つ、ステップアップした栄徳、負けても前へ向ける試合

 部員わずか13人で93年に創部した栄徳2013年春季県大会で準優勝し初の東海大会に進出し、創部以来チームを見ている中野 浩治監督は、「それが大きな自信となった」と、昨夏東邦に敗れはしたものの準優勝。現実に甲子園が見えるところにまできていた。そして、この秋はセンバツを意識できる場への登場だ。

 しかし、それが気負いとなったのかどうかはわからないが、期待の下手投げ温水 飛和君の球が真ん中に集まりすぎて、三重打線につかまってたちまち4失点。やはり、ここで格の違いを見せつけられるのか、ワンサイドでも仕方がないかと思わせられかけた。ところが2回、二死一二塁で7番近藤 将人君の打球がふわりと上がりそのまま左翼スタンドに入った。これで、試合は俄然分からなくなった。「大丈夫だから、もっと内側を攻めていきなさい」という中野監督のアドバイスを、温水君も忠実に守った。

 6回に同点となり、試合は延長戦となった。結局10回、三重藤田 朋樹君、山岡 健人君と下位打線の連打で決勝点を挙げる。しかし、前年甲子園準優勝校の三重にここまで食い下がった栄徳は、間違いなく、チームとしても大きな自信となったはずである。(試合レポート)

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伊東 克峻(豊橋工) 【選手名鑑】
江川 清太郎(豊橋工) 【選手名鑑】
彦坂 拓真(豊橋工) 【選手名鑑】
森 奎真(豊橋工) 【選手名鑑】
愛知産大工 【高校別データ】
青山 【高校別データ】
明野 【高校別データ】
飯南 【高校別データ】
伊勢 【高校別データ】
いなべ総合 【高校別データ】
上野 【高校別データ】
宇治山田 【高校別データ】
栄徳 【高校別データ】
岡崎城西 【高校別データ】
海星 【高校別データ】
春日井西 【高校別データ】
川越 【高校別データ】
神戸 【高校別データ】
桜丘 【高校別データ】
水産 【高校別データ】
高田 【高校別データ】
中京 【高校別データ】
津 【高校別データ】
鳥羽 【高校別データ】
豊橋工 【高校別データ】
中津商 【高校別データ】
中津商 【高校別データ】
白山 【高校別データ】
斐太 【高校別データ】
三重 【高校別データ】
三重 【高校別データ】
四日市 【高校別データ】

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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