第26回 千賀 滉大投手(蒲郡-福岡ソフトバンクホークス)「育成ドラフト4位指名から‟お化けフォーク”で大ブレイクした原点は準備の心」2017年03月01日

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恩師が語るヒーローの高校時代 千賀 滉大

【目次】
[1]キャッチボールを見て、面白い存在になると思った
[2]社会人野球などを見させて上で野球をやりたい思いにさせていた
[3]三軍制があったことが千賀にとって幸運だった

 愛知県の無名の公立校から、ソフトバンクの育成ドラフト4巡目の選手として指名された千賀 滉大。球団としても、「万が一出てきたら儲けもの」みたいなところもあっただろうが、そこから這いあがってきた。スタートは二軍のもう一つ下の三軍だった。だから、1年目はファーム公式戦のウエスタンリーグでの登板機会すらなかった。それがいつしか、日本代表メンバーの一人として、侍ジャパンの投手陣の一角をなす存在となった。そんな千賀の高校時代はどんな選手だったのだろうか。当時、蒲郡高で指導していた金子 博志(現豊橋商)監督に聞いてみた。

キャッチボールを見て、面白い存在になると思った

金子 博志監督(現・豊橋商)

 小学2年生の頃から野球に触れ始めた千賀少年は、学童野球のクラブチームを経て普通に地元の蒲郡市立中部中学に進んでいる。そして、その野球部(軟式)に入部して三塁手としてプレーしていた。身長は高かったが、特に目立った選手というわけでもなかった。だから高校は、特に強豪校を目指すということはなく、地元の蒲郡高校に入学して野球部に入部した。

 最初の印象について、金子監督はこう振り返る。
「身長はありましたけれども、体重がなくてマッチ棒みたいでしたね。本人も、特にどうしたいということではなく、当初はボクシング部にしようかどうしようかなんて迷っていたくらいだったと思います」

 千賀の入学した蒲郡高校は、愛知県の東三河地区にある普通の公立校だったが、県内では珍しいボクシング部があるということで知られていた。そんなこともあって、千賀も心が動いたところもあったようだ。いずれにしても、中学時代にある程度野球選手としての実績があって、それが評価されていたという存在ではなかったことだけは確かだ。

 そんな千賀だったが、金子監督はキャッチボールをしている千賀を見て、「これは、もしかしたら面白い存在になるかなと思った」というくらいに、いい球を投げていたという。プロのスカウトがよく口にする、「球の軸がしっかりしている回転のいいボール」をキャッチボールの段階で投げていたのだ。金子監督も、入学前まではとりたてて情報のなかった千賀という選手だったが、その球筋に惚れ込んだ。ただ、千賀選手は、中学時代は三塁手としてやってきていて、高校でも、内野手として何とか試合に出られればいいかなという程度の意識だったという。

 金子監督は、何とか千賀をマウンドで投げさせたいと思っていたが、機を見てブルペンで投球練習をさせてみた。すると、思った通り、いい球筋で投げていた。
「もちろん、投手なんかやったことないですから、コントロールは目茶苦茶ですよ。だけど、ボールがいいなぁという気はしました。それで、練習試合も使ってみたんですよ。そうしたら、相手の監督さんからも『楽しみな投手になるんじゃないですか』というような評価は戴いていました」

 千賀自身も、何となく投手としてやれるのではないかと、最初にそんな気持ちになってきていたところでもあった。期待も込めて、1年生で、千賀は夏の大会のベンチにも入っていた。豊田大谷との負け試合ではあったが、最後に1イニングを投げ無難に抑えた。これで、金子監督としても、千賀を投手で育てていこうという意識は固まった。千賀としても、投手でいこうという意識が固まってきた時だった。

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千賀 滉大(蒲郡) 【選手名鑑】
蒲郡 【高校別データ】
コメント (1)
頑張ってください2017.10.21 小林勝利
俺も同じ蒲高は母校です。
まさかあんな学校って言ったら失礼やけど驚いてます。
これからも頑張ってください

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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