<2025年全国高校野球選手権愛知大会:中部大一6―2旭丘>◇29日◇1回戦◇豊橋市民球場
1915(大正4)年の第1回大会に参加した愛知一中時代以来、連続大会出場を継続している旭丘。第1回大会からの参加校は、愛知県では時習館と並んで2校しかない。そんな伝統校で、愛知県を代表する進学校でもある。筒状のような白地に二本線のみの帽子と真ん中に鯱が向かい合い「旭高」と書かれた校章のユニフォームを含め、伝統校としてのプライドはゆるぎない。チームのキャッチフレーズとしては「虎視眈々」である。ただし、旭丘の場合は「鯱視眈々」となっている。このあたりも、金鯱の名古屋城の元に、名古屋市を代表する学校でもあるのだというところを誇示していると言ってもいいのであろうか。
高校野球の歴史的には、いずれも愛知一中時代だが、夏は8回の出場実績がある。春のセンバツ大会も4度出場している。第3回大会には当時にはあった敗者復活制度で全国優勝を果たしている。
伝統校であり、人気校でもあるので、多くのファン人がスタンドの応援に詰めかけていた。旭丘の存在が、改めて高校野球の歴史を意識させるということにもなっている。
これに対して中部大一は、かつて名古屋第一時代には1994年夏に準優勝の実績もある。昨年、現役を引退した中日のストッパーも務めた田島 慎二の出身校でもある。近年は、春は2015年と2019年に優勝して東海地区大会に進出している。ただ、今春の名古屋地区予選は星城にブロックで1点差負け。2位トーナメントでは代表決定戦で名経大高蔵に敗れて県大会進出を逃している。それだけに、この夏にかける思いは強いはずである。
この3月に佐藤 吉哉監督が5年ぶりに指導の現場に復帰した。「当初は、私も少し戸惑いがあって、誰が何をできるのかなということを把握しながら、様子を見るというところもありました。そんなこんなで、春は県大会を逃してしまいました」と振り返る。それでも、練習試合などを積んでいきながら、徐々にチームとしての状況を把握していくことができ、まずは、この夏はお互いに勝ち上がっていけば4回戦で当たることになるであろう、系列校の中部大春日丘との対決を当面の目標としている。そして、そこから更なる飛躍を目指していくということを思い描いている。
しかし、この日の試合では、各打者は強くて鋭い打球は放ってはいるのだが、もう一つ打線としては繋がらず、なかなか得点にはなっていかない。「もっと大量点を奪える場面もあったのですけれども、なかなかそうはならない、歯がゆい展開でした」と言うように、4回こそ5本の安打を集中して4点を奪ったものの、打線にはなかなかなり切れていなかったというのが正直なところだろうか。
それでも、先発の治京 蒼空投手(3年)が4イニング投げ2安打で振り逃げによる1失点のみ。5回から投げた江口 浬斗投手(3年)は5イニング被安打5で失策による1失点のみに抑えて、無難な内容だった。
中部大一は、ベンチ入りの20人が全員3年生でもあり、チームとしてのまとまりはいいとも言えよう。
旭丘は5度、無死で安打が出たものの、得点したのは暴投と失策絡みの2度だけだった。それでも、守りでは、外野手が随所に好プレーを見せていた。初回の、一死一塁からの相手エンドランに対して右中間抜けていくかという打球を服部 憲人(2年)がダイビングでスーパーキャッチ。これで試合を引き締めた。4回、先発山口 晴太郎投手(3年)が掴まり、リリーフした前原 凛太郎投手(2年)も止めきれず、打者一巡で4点を奪われたのが悔やまれた。
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