<令和7年度 春季近畿地区高等学校野球大会:東洋大姫路9-2大阪桐蔭(8回コールド)>◇25日◇1回戦◇佐藤薬品スタジアム

 昨秋の近畿王者・東洋大姫路(兵庫)が大阪桐蔭(大阪)に8回コールド勝ち。大阪桐蔭が公式戦でコールド負けを喫するのは2013年秋の府大会4回戦で履正社に1対13で5回コールド負けして以来、12年ぶりとなった。

 東洋大姫路を2022年から率いているのが岡田 龍生監督。かつては履正社の監督として、大阪桐蔭の西谷 浩一監督と鎬を削った名将だ。

 東洋大姫路に移ってから大阪桐蔭と対戦するのはこれが初めて。「大阪桐蔭さんのおかげで成長させてもらったことがたくさんあって、色々勉強もさせてもらった。こんなに早く対戦させてもらえるとは思わなかったので、今日は楽しく野球できたなという感じですね」と岡田監督は笑顔でこの一戦を振り返った。

 大阪桐蔭の先発は中野 大虎投手(3年)。下級生から甲子園で活躍してきた世代トップレベルの右腕だが、初回から東洋大姫路が襲い掛かる。

 1回裏、一死一塁から3番・高畑 知季内野手(3年)が真ん中やや高めのストレートを捉えると、打球は左中間スタンドへ。2ラン本塁打で東洋大姫路が先制点を挙げた。打撃で意識していることについて、高畑はこう語っている。

「ベルト近辺のボールを打つように言われていて、それよりは少し高かったんですけど、振り負けないようにしようと思っていました。自分は県大会から少し短くバットを持っていて、振り遅れないようには対処していました。高めのボールは下からスイングしてしまうとフライになって飛ばないので、上から叩きつけるというか、スピンをかけてボールを飛ばすことをイメージしています」

 高畑の一発で流れを掴んだ東洋大姫路は3回裏にも無死三塁から2番・木本 琉惺(3年)の右犠飛で1点を追加。先発を任された木下 鷹大投手(3年)は序盤から快調に飛ばす。力のあるストレートで大阪桐蔭打線を圧倒。4回まで無失点に抑えた。

 長らく高校野球を牽引してきた大阪桐蔭が力負けするという珍しい展開。それでも5回表に意地を見せる。二死二塁から1番・宮本 楽久内野手(3年)の適時二塁打で1点を返すと、続く中西 佳虎外野手(2年)の三塁への内野安打に失策が重なり、1点差に詰め寄られた。

 この回は先頭打者が四球で出塁。「先頭バッターのフォアボールは得点に絡むというのを何回も言われているので、そこはまだまだかなと思います」と木下は反省していた。

 5回裏の東洋大姫路の攻撃は三者凡退。流れが大阪桐蔭に行きかけたが、その裏に木下のバットがそれを食い止めた。二死一、二塁のチャンスで打席が回ると、「打たないといけないので、打つ気しかありませんでした」とライト線へ適時二塁打で1点を追加。続く1番・渡邊 拓雲内野手(3年)も右越え2点適時二塁打を放ち、リードを4点に広げた。

 中野は7回表に代打を出されて降板。6回を投げて、9安打1四球5奪三振で6失点(自責点4)という内容だった。

「高めに抜けたを真っすぐをかぶせて捉えられたなという感じは初回からありました。シュートしたりスライダーしたり、ボールが動いた時にしっかり打ってきました。

 真っすぐ行った時は空振りが取れるんですけど、変化球を上手く使えなかったところが今日の課題かなと思います」と振り返った中野。相手打線に上手く対応される結果となった。

 大阪桐蔭は7回から森 陽樹投手(3年)が登板。最速は150キロを超える超高校級右腕に対しても東洋大姫路打線はしっかりと対応する。

 7回裏に一死二塁から5番・見村 昊成外野手(3年)が右中間へ適時二塁打を放ち、1点を加えると、8回裏には一死二、三塁から高畑の左越え2点適時打でコールド勝ちを決めた。

 森は1回3分の1を投げて、4安打2四死球2奪三振で3失点。「一番自信のあるストレートを打たれたので力不足です」と肩を落とした。

 この試合で東洋大姫路が放った長打は7本。「今日くらい長打出た試合はあまりないです。低反発バットになってから間を抜けるのは今までありましたけど、頭を越えるのはあまりなかった。振り負けてなかったですね」と岡田監督は自チームの打撃を振り返った。

 当てにいく打撃を嫌い、しっかり振ることを指導している岡田監督。それを大阪桐蔭相手に実践して、しっかり攻略した。間違いなく打力は全国トップクラスだろう。

 準決勝で対戦する奈良大付も投手力が高いチーム。好投手相手にどんな打撃を見せるだろうか。