<春季高校野球静岡県大会:常葉大菊川5―2東海大静岡翔洋>◇26日◇3回戦◇静岡草薙球場

 昨秋の県大会優勝校で、東海地区大会でも準優勝となり、今春のセンバツ出場を果たしている常葉大菊川。甲子園では、聖光学院と0対0でタイブレークにもつれ込んだ。そこから、10回は2点、11回は1点ずつを取り合う展開となって12回まで進んだ。敗れはしたものの、粘り強い戦い方は多くの人の共感を得た。

 今春の県大会でも優勝候補と目されている存在。初戦となった2回戦は沼津商に快勝して勝ち上がっている。

 対する東海大静岡翔洋は、昨秋もベスト4まで進出しているが、準決勝で常葉大菊川に2対4で敗れ、リベンジをかけた戦いでもある。かつて2000年夏には、東海大浦安を率いて甲子園準優勝した実績を誇る森下 倫明監督が就任し、2023年夏には静岡大会準優勝も果たしている実力校だ。中学野球の強豪校でもある系列中学からの進学者も多く迎え、‟タテジマの東海”の存在感を示している。

 常葉大菊川は1番を任されている橘木 千空主将(3年)がチームを引っ張るが、この日も先頭打者で二塁打してさらに三塁まで進んで、先制のホームを踏むなどリードオフマンとしての役を果たしつつ、3安打2打点に二本の長打で引っ張った。それでも、試合後は「先制点は取ったけれども、一旦はひっくり返されました。もっと点を取っていかれる場面もあったけど、チームとしての甘さが出てしまっていた」と、勝っても厳しく自分たちのチームを見つめていた。

 そんな、橘木主将に引っ張られるように1年生の小栁 祥太郎選手が躍動している。1年生ながら8番遊撃手で起用され、前の試合から3安打を含めて8打数6安打だ。この試合でも一旦は逆転された3回、先頭打者で右翼線二塁打すると橘木選手の三塁打で同点ホームインを踏んでいる。石岡諒哉監督は、「力があるという選手ではないですけれども、バットコントロールがいいですね。非常に確率の高い選手だと言えると思います。落ち着いてプレーできているというところもいいでしょうね。ただ、今は使っていますけれども、これでレギュラーというわけではないです。(小栁の先発起用は)夏へ向けていろいろ試していきながらやっていっている中の一つです。もっと、身体の強さも欲しいと思いますし、ここから細かいことを覚えていって、もう一山越えていって欲しいですね」と、期待は込めつつも、まだまだ厳しく見つめていた。

 常葉大菊川の先発マウンドは背番号4の佐藤 大加良投手(3年)だったが、「この大会で、どこかで投げさせておきたいと思っていた」というところでの起用だった。内容に関しては、「もう少しテンポよく投げて欲しかった」と、5回5安打2失点という内容に関しても、辛口の評価だった。

 その後の常葉大菊川のマウンドは、上野 琥太郎投手(3年)が3イニング、尾崎 昌也投手(2年)が1イニングを投げ、安打はされても無失点だった。

 昨夏の雪辱がならなかった東海大静岡翔洋の森下監督は、「リベンジできませんでしたね。今日の佐藤(大加良)君の先発はちょっと予想していませんでした」と言いながらも、単打だけだったが相手を上回る10安打を重ねられたことに関しては、「ウチ本来の繋いでいく形の野球は、できてきていると思います。3回のように四球と失策を足場に連打していって得点するというパターンができればいいのですが…」と、思いに近い形は徐々にできてきているという感触は得ているようだった。